災害に備えて

2011年08月17日

【糖尿病患者さんの声】(東日本大震災後のアンケート調査から抜粋)

Q. 今回、被災された方や、過去に自然災害などを経験された方におうかがいします。糖尿病の療養生活上でお感じになられたことや、注意が必要と思ったこと、今後の教訓となるようなことなどがありましたら、ご記入ください。(自由記述)
  • 岩手の内陸住まいで物流が途絶え、粗食になり、血糖値は落ち着きましたが 避難所暮らしで家、家族、仕事を失っていたら高血糖で死んでたと思います。その後、余震が続き、家が壊れるのではと思い車の中に衛生材料はしまいました。常に薬剤やセンサーのストックは多めに持っておくべき、安全で持ち出しやすい所におくべきと思いました。

  • 食糧不足になり、カロリー計算がしにくい。停電で注射に困る。

  • 非常袋に薬を入れておくようになった。

  • 軽度の糖尿なのと、震災が起きたとき外出中だったため、薬の持ち歩きはしていなかった。偶然2週間分の薬があったのですが、情報が全くなく、余震の頻発・断水・停電・都市ガス不可の為や身を守るのに精一杯でした。

  • インスリン注射薬等は災害時処方箋無しでも自己申告で売ってほしい。

  • 10年前に水害にあって、自宅は大丈夫だったのですが会社が全壊しました。精神状態も食事も運動も、平常時に出来ていた事が全く出来なくなり、異常の状態になります。まずは出来るだけ毎日の服薬やインスリンを忘れない事、出来るだけ通院は行う事。そして異常な状態から1日でも離れてリフレッシュする大切さを感じています。恐らく今回の地震の様な災害が起きれば通院している病院は崩壊するでしょう。恐らくカルテも無くなると思います。それを踏まえて出来る限りの準備は必要だと思い、色々と用意しました。

  • 震災後の片づけや買い出しのため、通常時より運動量が増加し、低血糖に陥りやすい。今回は冷や汗が出る程度であったが、対処が必要であった。

  • 避難所生活は糖尿病患者にとって、食事療法する者にとっては相当困難であることが容易に想像できるが、対処法はみつからず。緊急時にはトリアジー判定(重症者優先判定)などからすると、見放されて当然な扱いでしか位置づけされていないのだと思う。

  • 私自身、被災者ではないが、周りに居る高齢者、ひとり暮らしの方の避難状況を見て(民生委員として)の感想として、「薬局から薬の処方の段階で、病状等に合わせ非常持ち出し用の薬(冷蔵庫等に)を出しておけば非常時助かるのでは」と思った。

  • 夏、特に暑い時節に災害が起きた時のインスリン保管方法を知りたい。阪神淡路も東日本大震災も寒い時期でしたので…。

  • 今回、出張時に被災しました。自宅にはインスリン等の備えはあったのですが、出張時には持ち歩いていなかったので、非常に困りました。幸い翌日に帰宅が叶い大事には至りませんでした。今後は旅行、出張時にも、数日分のインスリン、測定チップ等を持ち歩く必要があると感じました。

  • 仙台市内在住で、2006年1月1日発行号の「ネットワークアンケート(7)糖尿病患者さんの自然災害のための備え」で挙げられた「インスリンのストック2週間分(阪神淡路大震災時・・・」を回答したI型DMの者です。

    ○被災から3週間ぐらいの状況について:今回の震災でこの準備が有効な対策であることが証明されました。(室内は散乱しましたが自宅倒壊はしなかったことも背景としては大きいのですが)避難所でも数日でインスリンの必要な避難者に対して申請用紙・受付が開設されていたようで、この点は阪神淡路大震災時の経験が活かされていると考えます。ライフラインが全滅した中で、アンケートで記載されていた「水の確保」についても、H5N1型鳥インフルエンザのパンデミックに備えて購入していたペットボトル入りの長期保存水、消毒洗浄剤で対応しました。(パンデミック対策はそのまま被災時対策にもなります)しかし、物流停止による食料調達は非常に困難でした。避難所での炊き出し以外に、限られた食料品の争奪状態になると、開店待ちの行列並び等も含め、どうしても通常以上の体力(血糖)を消耗します。普段から低血糖対策以上の食料品備蓄をしていたことが如何に安心につながったかが今回身に染みて分かったような状況でした。

    ○インスリンの入手と使用について:インスリンについては、「非常時は医師の処方が無くてもインスリンは買える」ということを教えられていたのであわてることなく対応していました。但し以前主治医から「薬局が無事であった場合は自分が使用しているタイプのインスリンが入手できる可能性はあるが、非常時に支給されるインスリンはNPHタイプのみなので血糖管理に注意すること」と指導されていました。このため「非常時にいつも使っているインスリンは入手できないと考え、極力自分で確保しておくべきである」といえると考えます。通院先の病院は、津波被災もなく建築被害も小さかったため、震災発生日2週間後の予定になっていた外来検診は通常通りで行え、長期に及ぶ薬剤入手不可には至らずに済みました。ですがこれはたまたま良い条件であっただけのことでどこで被災するか分からないことを前提に物事を考えるべきと思いました。もし、津波被災だった場合は自宅備蓄インスリンは全滅したでしょうし、常時携帯していたとしても使用不能になったでしょう。また、今回のように燃料を含む物流が大きく滞ってしまうと通院不能、医薬品も長期に渡って入手できない期間が続きます。こればかりは被災時の状況次第なので、可能な限り二重三重の用意をすべきであると考えます。

    ○今後想定される地震に対して:自分はかなり以前から地震に対する意識が高かったので、上記のような準備で助かりましたが、他の地域のDM患者の方々は今回の大震災を踏まえても恐らくなかなか実行には至れない方も多いと思います。インンターネットによる情報配信など、阪神淡路大震災時から大きく改善された一面もありますが、やはり最後は自身の準備次第で生き残れるかが左右されると考えます。このアンケートを元に今まで以上に大きく取り上げての注意・準備の喚起を望みます。

  • 震災当日たまたま手持ち(携帯している)インスリン残量が少なかったため、意地になってインスリンがある自宅まで6時間もかけて夜中まで歩いて帰った。それ以降は常に十分なインスリン、針を持ち歩くようにしている。

  • インスリンポンプの部品を一まとめにして、逃げる時に持ち出せるようにしました。

  • 今、関東ブロックの糖尿病教室では地震対応についての講義が盛んになされています。非常持ち出し、避難所の生活対応は馬鹿にせずに何度も聞いておくことと思いおり、東西南北中央のブロック教室に出来る限り参加しています。生々しい状況の報告と講義はどこか脳の中に残りやすく感じます。それで、訓練や授業は回数が多くこなしていないと実際には役に経たないと思っている所です。

  • 帰宅できなかった。会社にインスリンを保管したあったが、持ち出さずに近所の公民館で一夜を過ごした。翌朝会社に行ったが、エレベータが止まっていて事務所に入れず、持ち出せなかった。建物に被害がなくても、何が起こるか分からないので避難するときに持ち出すべきであった。夜間の低血糖防止用の食品、ブドウ糖は、携行した。
Q.今回の震災を見て、経験されて、糖尿病であることで不安なこと、主治医・医療スタッフに聞いてみたいことなど、お感じになっていることをご記入ください。(自由記述)
  • インスリン、血糖測定器が手元になかったらということ。

  • 避難所生活(または物流が途絶える)など食事療法が十分に行えない日が長引きそうなとき、どうすべきか聞きたいと思っています。

  • インスリン注射をしていますが,この震災のような場合で,薬剤を持ち出せなかったときの対処方法(病院も同様の被害を受けた時)を知りたい。

  • マスコミ等ではまったく報道されていないが実体験された方の話又は手記を読ませて貰いたい(参考にしたい)。

  • 避難所の生活では耐えられないと思う。たとえ不自由であっても自宅で過ごせる準備をしておきたい。CPAPも使用しているので、自宅医療機器用の発電機や蓄電池の開発を望む。

  • 緊急時、患者同士のインスリンの貸し借りは可能か?

  • 震災でインスリンが足りなくなったら、優先的に処方してもらえるのか?病院で足りなくなることは無いのか?かかりつけ以外での処方は可能なのか?

  • 一型DMです停電でテレビも見られず携帯でmixiのコミュニティーの情報が最も有力でした。また主治医とメールできる環境でしたので心強かったです。ライフラインが止まり、ガソリン不足で移動手段なければ何もならない=ストックは重要だと思いましたし、冬季真っ只中でなかったのは不幸中の幸いだった。

  • インスリンと服用している薬剤の予備が切れてしまった時、どこで手に入れられるかという情報をスムーズに貰えるかどうかが心配です。血糖測定のチップも無いと困ります。予備としての最低量がどの位あればいいのかも知りたいです。

  • 災害などによりインスリン注射ができない状況になったとき、患者はインスリンを打たなくてもいいものか聞いてみたい。注射は必要になっているのだが、どのくらいの期間、打たなくても大丈夫なのか?

  • 災害時の備えについて指導を受けたことがないので…病院で説明など聞きたいです。

  • 真夏インスリンをカバンに入れて持ち歩きだめにならないか。インスリン、針、消毒綿、血糖測定器、チップ、採血器、をセットにしてできるだけ小さくして携帯できるようにしてほしい。

  • 日本糖尿病学会の地震対策本部の起ち上げが早く、よかったと思います。患者同士はSNSなどでつながっているので、それらの情報を学会に吸い上げて、被災した患者に迅速に対応できるということが、患者に安心感を与えると思うので、今後も柔軟な対応を期待します。

  • 震災時どうしても偏った食事になると思いますが、摂取の仕方はどうしたらいいでしょうか?炭水化物がほとんどで、食物繊維の摂取ができないと思います。

  • 炭水化物だけの救援物資。

  • いざという時に救助ではお年寄りやけが人が重要視されるが、糖尿病など(特に一型)は見た目で判断されない場合どのようにして伝えるのがよいのか?手帳などない場合はどうしたらいいのか?

  • 1型糖尿病でインスリンが不可欠の為、被災した地域の患者が、被災しなかった地域のどこに連絡したら薬品等をすばやく手に入れることが出来るかを、国、地方自治体等マニユアル化して知らせてくれるようにしてほしい。

  • 投薬されている薬の余剰を持っていない。医師に言えば入手可能なのか。定期診断時に毎回2ヵ月分のみの入手になっている。

  • 処方薬が切れた時に、通常の食品・飲料の中で、薬効が期待できるような代替品があるかないか。

  • もし自分が被災したら、血糖値コントロールを無視して、「食べる」という行為を優先すれば良いのか、食べれるものにありつけるまでは、水、お茶のみで「絶食」するのがいいのか、どちらかの選択をせざるをえないと思います。

  • 食糧問題が心配。配給食は万人向けの菓子パンや高カロリーレトルト食品ばかりで、ほとんどの場合、糖尿病その他の療養食には目が向けられないのが現状。

  • 製剤は、普段冷蔵庫保管しているため、緊急時にそれを持ち出す時間があるか、機転がきくか不安である。食べ物がない不安、しかしながら食べなくてもストレスからか高血糖となっているとの情報も伺った。見た目、健常者につき、優先はされないし不安である。

  • 阪神淡路の経験者です。避難所での食事は不規則で、内容も炭水化物中心でした。にも関わらず、血糖は常に高めで、インスリンを多く打ちたくとも低血糖が心配で打てませんでした。低血糖の対処が平時と違い出来なかったからです。このような時、どう対処すればいいでしょうか。

  • 「食事ができなくてもインスリンは必ず打ってください」の貼り紙が出ていました。手持ちのインスリンが少ないからといって注射量を減らしたり、止めたりすると短期間でケトアシドーシスに陥る危険がありますが、普段の検診からDM患者にはシックデイの時のことも含め、インスリン注射を止めてはならないという指導と在庫の自己確保はもっと積極的に指導されてもよいのではないかと考えます。

  • 血糖値はストレスなどでも上がってしまうと先生から聞きました・・・避難所では集団生活になるためかなりのストレスが溜まってしまいそうで不安です。

  • 病院からの災害対策の説明があれば勉強になり役立つのに、何もないことに不安に感じています。他の病院の先生は、どのようなのか知りたいです。

  • 食事のコントロールは全く出来ないと思います(日々、生きる事に精一杯、お年寄りや子供優先にしたい)そんな中で私達がどう生活すべきか。どうやって助け合いながら自己管理すべきか。

  • 未使用インスリンが常温で本当に何日もつのか?食事が決まった時間に必要なカロリーとれないときのインシュリンの量はどうするか、診察時に聞きたい。避難・瓦礫撤去など運動とその後の糖分補給、低血糖対策には気おつけていますが。着の身着のままで手ぶらの状態ではどうしたらよいか?周りの人も他人にかまっている暇はないはずです。

  • ただでさえ、生命存続の危機的状況。いくら非常用持ち出し袋を準備していても、其れを持って非難できるのか…という不安があります。何より、避難所の様子が報道される度に、衛生面もそうですけど血糖コントロールや食事のバランスに対する不安がとても強くなりました。誰もが被災者、だから特別扱いは基本ないと思うんです。(見た目にも分からないですからね)今回の震災&津波被災された方の心中を思うと、本当に心が痛みます…。一日も早い復興を祈ってます。
[ DM-NET ]

※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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