目と健康シリーズ Eye & Health
2015年06月01日
涙は動物が海から生まれた名残
涙は動物が海から生まれた名残 | |
―まぶたと涙のお話― |
まぶたにはいくつかの役目がありますが、一番大切な役目は眼球を保護することです。眼球には皮膚がなく、傷つきやすい角膜と結膜がむき出しになっています。まぶたはその角結膜を保護するとともに、瞬きによって涙の分泌と排出を促し、凸凹している角膜表面を滑らかにする涙の膜を作り、よく見えるようにしてくれます。
生物は、原始海洋で誕生しました。そして長い時間をかけて、両生類、爬虫類、鳥類・哺乳類と、陸を住みかとする動物が進化してきました。この間、エラは肺に、ヒレは手足にと、陸上生活に適した身体に変わりました。まぶたや涙腺・涙道もやはり、生物が海から陸に上がるときに作られた構造です。
涙は原始海洋の成分を反映したものであり、原始海洋は今の海水を約3倍に薄めた濃度であるといわれています。少しロマンチックに“涙は目の表面を潤す太古の海”という見方もできます。
そんな涙も人間の場合、角膜や結膜の乾燥を防ぐため以外に使われることがあります。そう、悲しいときや感動したときなどに、こらえきれずにこぼれてしまう涙。なぜこのようなときに涙が分泌されるのかよくわかっていませんが、興味深い研究がいくつかあります。
そのうちの一つは、涙には血液の何倍ものマンガンが含まれている、というものです。血液中のマンガンが増え過ぎると気分が不安定になることがあるので、涙を流すことはその軽減に役立っているというのです。また涙には、快感物質が含まれているとの報告もあります。泣くことにより気が楽になるのは確かです。
もくじ
特集
- No.1. 目で見る眼の仕組みと病気
- No.2. 糖尿病網膜症
- No.3. 糖尿病黄斑症
- No.4. 高血圧網膜症
- No.5. 網膜静脈閉塞症
- No.6. 網膜動脈閉塞症
- No,7. 加齢黄斑変性
- No.8. 中心性漿液性脈絡網膜症
- No.9. 網膜色素変性症
- No.10. 緑内障
- No.11. 白内障
- No.12. 網膜裂孔・網膜剥離
- No.13. 色覚の異常
- No.14. ドライアイ
- No,15. 屈折異常・調節異常─近視・遠視・乱視・老眼─
- No.16. 子どもの目の病気
- No.17. 結膜炎
- No.18. 角膜の病気
- No.19. ぶどう膜炎
- No.20. 黄斑円孔・黄斑前膜
- No.21. 眼の神経の病気
- No.22. 涙道や涙腺やまぶたの病気
- No.23. 目の外傷
- No.24. 目の病気の手術治療
- No.25. 目の病気の薬物治療
- No.26. バセドウ病と目の病気
- No.27. まぶたの病気とQOL
- No.28. 眼精疲労
- No.29. アレルギーによる目の病気
- No.30. コンタクトレンズ
- No.31. 飛蚊症
- No.32. ロービジョンケア
- 別冊:視神経乳頭の"異常"と"正常"
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