糖尿病患者さんの間食指導をどうする?

III. 「効果的な間食指導」とは何かを考える

1) 患者さんの“許容範囲”をつかみ、フィードバック

2009.11.13

浜野:前回は、「原則禁止派」と「容認派」のお2人が、現場でどのように指導をされているのかをおうかがいしました。今回は、今までのお話を加味しながら、“では、どうしたらよいのか?”ということで、「効果的な指導方法」について、探っていこうと思います。
 前回、患者さんのタイプに応じた指導方法が必要であるという話が出ましたが、患者さんへの聞き取りの中で、どのようなところをチェックして、指導していくとよいでしょうか。
吉田: 栄養指導では、時間のある時には1人1時間くらい割いてゆっくり話します。良くなっても話にきてもらうこともあります。「コントロールは良くなったのだけど、お酒はどれぐらい飲んでいいですか?」などの質問も多いですよ。1回良くなった患者さんは、血糖コントロールするための知識をお持ちの方が多い。
 今後、ご自身で把握してもらうために、今まで食べなかったものを中心に、何をどれだけ食べたかを記録していただき、例えば、週1回食べて1ヵ月後HbA1cがどう変化したか、体重が変化したか、等を見ます。改善しているのであれば、それはその人の“許容範囲”で、そのぐらいの範囲はOKと判断。例えば、それを週2回にして悪化する数値が出たら、“許容範囲を超えている”という判断をして再度調節をする。このように、試行錯誤を重ねて、患者さんのタイプや許容範囲を探っていくことが、重要だと思います。
井上: 試してみて、結果を見て、フィードバックしていくことって大事だと思うんですよね。外来でできるだけやろうとしても難しいので、栄養士さんと協力して、フィードバックしたうえで自分がどこまでが“許容範囲”なのかを患者さん自信が把握する、理解することが、持続して血糖コントロールを行っていくうえで大切なことだなと思います。
浜野: うちの病院の教育入院で、低カロリーの和菓子を食べてもらい血糖測定したところ、概ねデータはフラットで経過したんですけど、そのなかの1人の男性患者さんに、「これから血糖が安定していたら、少しは食べてもよいですよ」と申し上げたところ、声をあげて泣いたんです。「自分は甘い物に、もう一生触れられないと思っていた」、と。ですから、食べても問題のない条件や状況があるなら、そこまで喜ばれるものを、無理やり奪っていいのかというのが、今回の企画の原点でもあるんです。
 もし、血糖が上がらなければ、代替というか、低カロリーで、きちんと計算されたものであれば、加藤先生は、食べることを許してくださいますか? 加藤先生がおっしゃっておられた、“ホップ・ステップ・ジャンプ”の、これは“ホップ”くらいなのではと思うのですが。

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