糖尿病患者さんの間食指導をどうする?

II. 「糖尿病患者さんの間食指導」、どうしていますか?

3) 憩いのクッキーを止めるか否か?

2009.10.31

浜野:間食を改善したような症例はありますか?
加藤:  81歳の女性患者さん(初診では75歳)。一時期HbA1cが9%まで悪くなりました。食事内容などを聞いてみると、この方は、通院や習い事など外出をして帰宅すると、必ずクッキーと紅茶を召し上がっていたことがわかりました。そのクッキーと紅茶を食べた後に夕食を食べるのが、どうも血糖に影響していそうですねという話をしました。そのクッキーをやめてみてはどうかと提案しました。すると、どんどん良くなり6.6%まで下がったのです。もう栄養指導は卒業かなと思ったらまたじわじわっとHbA1cの数値が上がってきました。お聞きしたところ、夕方のクッキーが再開していたのです。それで、この間食時に乳製品や果物、バナナ半分のようにこの方が不足している食品に変えてみてはどうかという提案をしました。幸い、血糖も下がっていきました。外出して帰宅してホッとした時に何か食べたくなるというのは理解できますので、その時に食べる物や量などの選択ができないと、食前の血糖が下がり切らず、次の食事で上がって高血糖になってしまって、前回お示ししたような、“ホップ・ステップ・ジャンプ型”になるのかな、と思います。
吉田:  要するに、食べているものが血糖値をあげやすい食品だったり、量が問題だったりする場合には、他のものに替えるという提案をすることによって、解決できることがあるということですよね。患者さんには、どれくらいのカロリー、頻度で摂っているか、とにかく自分で気付いてもらいたいなと私は思います。おばあちゃんが、外出から帰ってきてクッキーを食べるのであれば、ここで何キロカロリー摂ってるから許容範囲を超えている、じゃあ、許容範囲内だと、どうやって食べたらいいか?を一緒に考えます。
浜野:外出から帰ってきた後は、おばあちゃまの憩いのひとときだったかもしれませんからね。
吉田: そうですね。その量に気がついていただいて、前後の食事で調節が可能なのかどうか、など、“止めること、食べないこと前提”ではなく、“食べること前提”でどう調節したらいいかを一緒に考えて進めていくという指導を行いたいです。
浜野:その中で、止められる方は止めていくだろうし。ただ、あまりに調節しすぎると、主食を損ねてしまうという危惧はありませんか?
吉田:そうですね、ご飯のかわりにケーキでいいですか?みたいな極端な患者さんもいらっしゃいますから。

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