糖尿病患者さんの間食指導をどうする?
監修者プロフィール

この連載では、糖尿病患者さんの“おやつ”に対して、医療スタッフは、どのように指導すべきなのか?について考えてみます。他にはない試みとして、「原則禁止」派と「容認」派に分かれて、そのメリット・デメリット、患者さんの生活環境やQOLに配慮した効果的な指導など、それぞれの考えを出し合うことにしました。
この企画を始めるにあたって、私自身、もしお菓子を「一生食べてはだめ」と言われたら辛いだろうなと思い、日常診療時でも、“自分ができる糖尿病治療”を心がけていることもあり、何かよい方法はないのかなと興味を持ったのがきっかけでした。糖尿病ネットワークのアンケート結果で、回答された糖尿病患者さんの2/3が間食を日常的に摂っているという現実。一方で、一生食べられないものと信じて疑わないお菓子好きの患者さんが、甘い香りのする店の近くを通っては涙し、会社でのおやつタイムに参加できず疎外感を毎日味わっている、そんな方も多く見受けられました。
糖尿病治療の基本として、食事療法をきちんと行うことは言うまでもありませんが、食事療法を成功させるには、医療スタッフは患者さんの間食の実態を把握し、適切な指導を行う必要があります。その際には、例えば目の前のメロンパンが患者さんの体にどのような影響を与えるのか、患者さんに理解してもらった上で、“お菓子との付き合い方”を患者さんと一緒に考えていく必要があるのではと、思っています。
そして、毎号の記事掲載後に、私たちのディスカッションに対して、広く読者の皆様方から、ご意見やご感想、症例などを募り、ここでご紹介したいと思っております。
このテーマについて、ここで正しい答え、結論を出そうと思っているわけではありません。まずは、皆さんと一緒に“考えること”、皆さんに“意識してもらうこと”が大事だと思っています。どうぞ、いろいろな意見や想いを持って、読んでいただければ、幸いです。
座長: | 浜野久美子 先生(関東労災病院糖尿病内分泌内科部長) |
原則禁止派: | 加藤則子 先生(加藤内科クリニック・管理栄養士/CDEJ) |
容認派: | 吉田美香 先生(管理栄養士/CDEJ) |
オブザーバー: | 井上真理子 先生(糖尿病内分泌代謝内科医師) |
もくじ
- I. 「糖尿病患者さんの間食」、どう思いますか?
- II. 「糖尿病患者さんの間食指導」、どうしていますか?
- III. 「効果的な間食指導」とは何かを考える
- IV. 指導症例(管理栄養士編)
- V. 指導症例2 (臨床医編)
参加者プロフィール
加藤則子 先生
加藤内科クリニック・管理栄養士/日本糖尿病療養指導士。日本女子大学家政学部食物学科管理栄養士専攻課程卒、病態栄養専門師、日本臨床栄養協会サプリメントアドバイザー、葛飾糖尿病医会世話人、東京都糖尿病対策推進会議委員、月刊糖尿病ライフ「さかえ」編集委員会委員、NSTコーディネーター、「図解でわかるメタボリックシンドローム」「はじめてのカーボカウント」分担執筆。
吉田美香 先生
管理栄養士/日本糖尿病療養指導士。服部栄養専門学校栄養士科卒業後、米国AHCN大学学士課程終了。食品メーカーなどでメニュー開発、栄養指導。NTT東日本関東病院・栄養指導(糖尿病教育入院・人間ドック)担当を経て、近年は、セミナー講師、国際理容美容専門学校非常勤講師、クリニックでの栄養指導など。「食品カロリー早わかりBOOK」「糖尿病の人ためのカロリーハンドブック」「『食品交換表』を使って糖尿病の食事をつくる本」など著書多
井上真理子 先生
医学博士/日本内科学会認定内科医、日本内科学会・日本糖尿病学会・日本内分泌学会学会員。東北大学医学部卒業後、糖尿病・内分泌内科医として都内の病院で臨床に従事。現在は糖尿病の原因解明に関わる研究に携わっている。
※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。
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