いま、1型糖尿病は
2008年12月03日
家族の気づかいがかえってうっとうしい
このようなことをよく患者さんから聞きます。みなさんはどうですか。
家族が変によそよそしい感じを与える
これまで、悪いことをすると、厳しくしかってくれていた親が、糖尿病を発症したとたん、厳しくしからなくなった、変によそよそしくなったような気がする、これは子どもにとってとてもさびしいものです。泣きたくなるほどさびしいものです。親にしてみれば、「たいへんな病気になってこれからもたいへんそうだし、毎日インスリン注射もしなければならないし。だから、ついやさしい言葉をかけてしまって・・・」という気持ちでしょう。
親御さんの気持ちはとてもよくわかります。
でも、でもです。これはやはり親御さんが、「子どもがたいへんだろう、だからやさしくしてあげたい」、という気持ちに正直になっているだけではないかしらと思うわけです。
「お子さんのどうしてほしい」という気持ちに応じているわけではないということになります。
きっと、このことはお母さん方にもお聞きしましょう。
いかがですか。反論ももちろんあろうと思います。
子どもというものは、悪いことをすれば心の底では、お母さんにしかられたいと思うものです。しかってもらうことで、自分がお母さんの大事な子どもなんだ、だからしかってくれたんだと確認することができるのです。大事な子どもでなかったら悪いことをしても見てみぬふりをするかもしれないと。
しかってくれていたお母さんが、昔はしかられたようなことをしでかしたのにもかかわらず、以前みたいにしかってくれなくなって、なぜかやさしく注意するだけになってしまったとなると、自分の存在はお母さんの大切なものでなくなったのかも? と疑心暗鬼な気持ちに陥ってしまうのです。
病院でも看護師さんが自分だけにやさしい言葉をかけてくれるが、ほんとうはいやなんです
なぜ、自分だけに、看護師さんは、猫なで声で声をかけてくれるのだろうか。そんなに自分は弱い子なのかしら? そんな気持ちになってしまいます。わかったような態度をしめすこともあります。しかし、それは、患者さんにはなんのためにもなりません。変な圧迫されるような気持ちに陥ります。ほんとうはに理解してくれていないんだな、とひそかに患者さんは理解していきます。
茶の間に下りていったら、親がなにかを隠すようなしぐさを
「どうもなにか食べようとしていたようなんです。そこに私が入っていったので、あわてて隠したような」。このようなことは1回でもあると、もう親との信頼関係はくずれてしまいます。「親から大事にされていない私」を感じて、さびしい気持ちになります。
人間の一番さびしい気持ちは、人から無視されることでしょうか。このようなことがあると、「自分なんかどうなってもいい」というなげやりな気持ちになっていってしまいます。
気づかいなく、普通に接して欲しい
糖尿病をもっている自分で十分だ、自分で自分のことはする、親には迷惑をかけたくない、そう思っているところに、大丈夫? 大丈夫? と必要以上に声をかけてくれたりされると、親の気持ちはわかっていても、「うるさーい。ほっておいてほしい」と思うもので普通に接してほしい。これがほんとうの気持ちでしょう。親には必要以上に心配してもらいたくなーい、でしょう。
子どもというものは、いつの時代も、おとうさんには元気に会社で仕事してもらいたいし、お母さんにはいつも明るいお母さんでいてほしい、これが願いなのです。「あなたのために、私は一生懸命なのよ」という姿は、かえって逆効果になってしまうように思います。
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