いま、1型糖尿病は
2007年07月05日
血糖値が気になって思うように食べられない
現在の日本では、医療機関を受診するたびに、血糖値やHbA1c値を測定します。インスリン注射している方は、自宅でもご自分で血糖値を測定していることが多いかと思います(インスリン注射していても血糖測定はしなければならないことではないので、もちろんしていない方も多いです)。
どこにいても、血糖値が自分のまわりをまとわりついてくるのか!という感情をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
今日もそのような方がいらっしゃいました。
食後に血糖が高かったと思うと、その日の夜は低血糖になったと言う。それも同じパターンではなく、朝食後の高血糖と夕食前の低血糖であったり、昼食後の高血糖と夜中の低血糖であったり。 こんなとき、それにあわせてインスリン調節をしていると、さらに悪化して、もっと高血糖と低血糖がはげしくなることがあります。
注射部位のことも考える
以前にも書きましたように、注射部位の問題がまず挙げられます。これは、以下のようなことが重なっておこっていきます。
同じ場所だけに注射していると、その場所がすこし膨らんで脂肪が増加してきて、注射しても皮下からの吸収が悪くなってしまうのです。そうすると同じ量を注射していても血糖が下がらないことがおきます。 すこし場所が変わったところに注射したときは吸収がよいので、良く血糖が下がりやすくなることも起こってきます。血糖がとても上下してきます。
どうして高血糖や夜中に目がさめるほどの低血糖をおこすのでしょうか。この方の性格はきっちりした方で、血糖値にとても敏感で、来院するたびに、血糖が上がってしまった、下がってしまったといわれる方です。
よくよくお聞きしてみますと、ご年配で家にいるだけなので、食後にくだものをそれなりにたべる、そうすると持効型溶解インスリンなのでこのような血糖上昇をすぐには下げられないので血糖は急上昇してしまうわけです。
そうすると、自分でこれはいけないと考えられて、夕食の食事量を減らしてしまう、そのために夜中に低血糖になってしまう、ということがわかりました。
よい血糖値を先生に見せたい、この一心なのでしょう。そのために、食事量がばらばらになってしまうのですね。まず食事量、食事の特に炭水化物量を一定にしてもらうことが第1ですねとお話しました。
1型糖尿病が発症すると、たいていは入院(平均10日から2週間くらい)していろいろ1型糖尿病の治療に慣れていたただき、退院しますね。ケト−シス状態が軽く、アルゴリズムを含めたインスリン治療が良く理解できる方なら、入院しないで外来診療だけで治療開始することもあります。 退院するころからインスリン注射量が減ってきて、退院後1カ月、2カ月すると、ときにはインスリン注射量を極端に減らさないと低血糖をおこすことがあります。これをハネ−ムーン期と呼びます。
ハネムーン期がどうしておこるのか?ですが、1型糖尿病を発症したといってもまだインスリン分泌がすこし残っている方がいます。この方にしっかりインスリン補充をしてあげますと、自分の膵臓のインスリン産生細胞が回復してインスリンを発症時より多く作りだすのではないかといわれています。そのために、注射量がだんだん減ってくる,減らさないと低血糖をおこしてくる、というわけです。
以前はインスリン注射をなしにしなければ低血糖をおこしてしまうようなハネムーン期が出現する1型糖尿病の患者さんもいらっしゃいました。 最近はどうしたわけか、ハネムーン期をもつ1型糖尿病患者さんがすくなくなりました。インスリンフリーになる患者さんはほとんどいません。
ハネムーン期のもうひとつの解釈
ところで、以前、ハネムーン期と診断された1型糖尿病の高校生(女性)が転院してきました。ところがよくよくお聞きしてみると、拒食症でした。食べていないので、インスリン注射量が減ってきたわけでした。
私達がまだ医者の卵だったころ、拒食症とか過食症などといった病気はみられませんでしたし、教わりもしませんでした。
もしかしたら、1型糖尿病のハネ−ムーン期というのは、1型糖尿病の方が発症してインスリン注射に慣れたころ、血糖を上げまい!として食事量を調節したためであったかもしれませんね。
どこにいても、血糖値が自分のまわりをまとわりついてくるのか!という感情をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
1. 血糖値に振り回されているという気持ちがでてくると
インスリン注射して血糖自己測定している方のなかには、血糖がどうしても上下してしまって測定していてもまったく予測できなーい!と、もういやになっている方はいませんか。今日もそのような方がいらっしゃいました。
食後に血糖が高かったと思うと、その日の夜は低血糖になったと言う。それも同じパターンではなく、朝食後の高血糖と夕食前の低血糖であったり、昼食後の高血糖と夜中の低血糖であったり。 こんなとき、それにあわせてインスリン調節をしていると、さらに悪化して、もっと高血糖と低血糖がはげしくなることがあります。
注射部位のことも考える
以前にも書きましたように、注射部位の問題がまず挙げられます。これは、以下のようなことが重なっておこっていきます。
同じ場所だけに注射していると、その場所がすこし膨らんで脂肪が増加してきて、注射しても皮下からの吸収が悪くなってしまうのです。そうすると同じ量を注射していても血糖が下がらないことがおきます。 すこし場所が変わったところに注射したときは吸収がよいので、良く血糖が下がりやすくなることも起こってきます。血糖がとても上下してきます。
2. 持効型溶解インスリン注射だけでも?
その方はご年配の2型糖尿病の方で、1日1回の持効型溶解インスリンを注射しています(頻回に注射している1型糖尿病の方より、普通なら血糖の上下はしにくいはずです。他の同じインスリン注射している2型糖尿病のご年配の方では、1日の血糖はゆっくりと上下する程度ですから)。なのに、意外な時に血糖が下がるし、思わないときに血糖が上がると、こまっていらっしゃいます。どうして高血糖や夜中に目がさめるほどの低血糖をおこすのでしょうか。この方の性格はきっちりした方で、血糖値にとても敏感で、来院するたびに、血糖が上がってしまった、下がってしまったといわれる方です。
よくよくお聞きしてみますと、ご年配で家にいるだけなので、食後にくだものをそれなりにたべる、そうすると持効型溶解インスリンなのでこのような血糖上昇をすぐには下げられないので血糖は急上昇してしまうわけです。
そうすると、自分でこれはいけないと考えられて、夕食の食事量を減らしてしまう、そのために夜中に低血糖になってしまう、ということがわかりました。
よい血糖値を先生に見せたい、この一心なのでしょう。そのために、食事量がばらばらになってしまうのですね。まず食事量、食事の特に炭水化物量を一定にしてもらうことが第1ですねとお話しました。
3. ハネムーン期
ハネムーン期の考え方1型糖尿病が発症すると、たいていは入院(平均10日から2週間くらい)していろいろ1型糖尿病の治療に慣れていたただき、退院しますね。ケト−シス状態が軽く、アルゴリズムを含めたインスリン治療が良く理解できる方なら、入院しないで外来診療だけで治療開始することもあります。 退院するころからインスリン注射量が減ってきて、退院後1カ月、2カ月すると、ときにはインスリン注射量を極端に減らさないと低血糖をおこすことがあります。これをハネ−ムーン期と呼びます。
ハネムーン期がどうしておこるのか?ですが、1型糖尿病を発症したといってもまだインスリン分泌がすこし残っている方がいます。この方にしっかりインスリン補充をしてあげますと、自分の膵臓のインスリン産生細胞が回復してインスリンを発症時より多く作りだすのではないかといわれています。そのために、注射量がだんだん減ってくる,減らさないと低血糖をおこしてくる、というわけです。
以前はインスリン注射をなしにしなければ低血糖をおこしてしまうようなハネムーン期が出現する1型糖尿病の患者さんもいらっしゃいました。 最近はどうしたわけか、ハネムーン期をもつ1型糖尿病患者さんがすくなくなりました。インスリンフリーになる患者さんはほとんどいません。
ハネムーン期のもうひとつの解釈
ところで、以前、ハネムーン期と診断された1型糖尿病の高校生(女性)が転院してきました。ところがよくよくお聞きしてみると、拒食症でした。食べていないので、インスリン注射量が減ってきたわけでした。
私達がまだ医者の卵だったころ、拒食症とか過食症などといった病気はみられませんでしたし、教わりもしませんでした。
もしかしたら、1型糖尿病のハネ−ムーン期というのは、1型糖尿病の方が発症してインスリン注射に慣れたころ、血糖を上げまい!として食事量を調節したためであったかもしれませんね。
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※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。
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