いま、1型糖尿病は
2006年06月15日
1型の食事はごく普通に食べること
最近、発症してまもない5歳や6歳の1型糖尿病のお子さんがよく初診にこられます。1型糖尿病を発症し急性期の治療を終えて、さあこれから実際の生活にもどるとなって、インスリン注射をどうやっていけばいいのか? 幼稚園や小学校にどうやって通園や通学をすればいいのか? ご家族の方がハタと不安になって来院されるようです。いまではどこの病院でも1型糖尿病の急性期の治療は十分にできます。しかし、問題は「その後のこと」をどうやっていくのか、うまく両親に伝わっていません。 まず、実際の毎日の生活の中で、どうやってインスリン治療をして血糖を合わせていくのかということです。
高血糖にさせたくない、かといって低血糖にもいやだ。自宅にいるときはまだいいが、これから幼稚園、小学校で先生はわかってくれるだろうか。はてしなく不安が大きくなっていきます。途方にくれて“うつ状態”になって来院されるおかあさんもいらっしゃいます。
そしてもうひとつ悩みの種は、何を食べさせたらいいのかです。
はかりと奮闘しているおかあさんもおられて、もう精神的に追い詰められて限界に達した顔で来院されたりします。こんなときはともかく治療の基本にかえりましょう。
1型糖尿病治療の基本は、一日の血糖値の上がり下がりに合わせてインスリンの血糖降下作用がうまく効くようにインスリン注射するだけです。極端なことを言えば、血糖の上がり下がりがよくわかる子は血糖測定しないでHbA1cを良好にして毎日すごしています(成長期は血糖値がわかっている方がやりやすいですが)。
そして食事は基本的に発症する前と同じでいいと考えて肩の力を抜いていやってみましょう。
お兄ちゃんがいれば、お兄ちゃんと同じ量を食べればいい。これまで通りでいいのです。
なぜなら、1型糖尿病は、食べ過ぎたから糖尿病になったわけではなく、体内の血液中のインスリンが欠乏状態になって糖尿病になったのです。だから、食事量はこれまで通りと考えましょう(どの教科書にも1型糖尿病の食事量は減らしなさいと書いてありません)。
これまで通り、日本人が普通に必要としているカロリーを摂取してみてください(表)。
この表は2005年改定された日本の食事摂取基準です。普通の体格の日本人が普通に活動したとき、平均するとこのカロリー数を、普通摂取しているということです。つまり、このカロリー数は普通の活動量の日本人が摂取してよいひとつの目安といえます。男性は15〜17歳まで摂取エネルギー量が増えています。女性は12〜14歳まで上昇しています。そして、これらの時期は成壮年期よりも摂取エネルギーが多いことがわかります。1型糖尿病患者さんの食事量もこれでいいのです。普通に食べましょう。
いつぞや初診でおかあさんに連れられて受診された細い男の子がいました。診察が終わりしっかり食べるのよと話し、「今日の昼はおかあさんとステーキでも食べたら?」と薦めたら、眼から涙をひとすじ流した14歳の1型糖尿病の男の子がいました。
高血糖にさせたくない、かといって低血糖にもいやだ。自宅にいるときはまだいいが、これから幼稚園、小学校で先生はわかってくれるだろうか。はてしなく不安が大きくなっていきます。途方にくれて“うつ状態”になって来院されるおかあさんもいらっしゃいます。
そしてもうひとつ悩みの種は、何を食べさせたらいいのかです。
はかりと奮闘しているおかあさんもおられて、もう精神的に追い詰められて限界に達した顔で来院されたりします。こんなときはともかく治療の基本にかえりましょう。
1型糖尿病治療の基本は、一日の血糖値の上がり下がりに合わせてインスリンの血糖降下作用がうまく効くようにインスリン注射するだけです。極端なことを言えば、血糖の上がり下がりがよくわかる子は血糖測定しないでHbA1cを良好にして毎日すごしています(成長期は血糖値がわかっている方がやりやすいですが)。
そして食事は基本的に発症する前と同じでいいと考えて肩の力を抜いていやってみましょう。
お兄ちゃんがいれば、お兄ちゃんと同じ量を食べればいい。これまで通りでいいのです。
なぜなら、1型糖尿病は、食べ過ぎたから糖尿病になったわけではなく、体内の血液中のインスリンが欠乏状態になって糖尿病になったのです。だから、食事量はこれまで通りと考えましょう(どの教科書にも1型糖尿病の食事量は減らしなさいと書いてありません)。
生活強度:II の推定エネルギー必要量 (kg/日)
|
この表は2005年改定された日本の食事摂取基準です。普通の体格の日本人が普通に活動したとき、平均するとこのカロリー数を、普通摂取しているということです。つまり、このカロリー数は普通の活動量の日本人が摂取してよいひとつの目安といえます。男性は15〜17歳まで摂取エネルギー量が増えています。女性は12〜14歳まで上昇しています。そして、これらの時期は成壮年期よりも摂取エネルギーが多いことがわかります。1型糖尿病患者さんの食事量もこれでいいのです。普通に食べましょう。
いつぞや初診でおかあさんに連れられて受診された細い男の子がいました。診察が終わりしっかり食べるのよと話し、「今日の昼はおかあさんとステーキでも食べたら?」と薦めたら、眼から涙をひとすじ流した14歳の1型糖尿病の男の子がいました。
[ DM-NET ]
※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。
Copyright ©1996-2024 soshinsha. 掲載記事・図表の無断転用を禁じます。
治療や療養についてかかりつけの医師や医療スタッフにご相談ください。