いま、1型糖尿病は
2006年04月17日
吸入インスリンについて
アメリカの食品医薬品局(FDA:アメリカの食品や医薬品を発売していいかどうかの評価をする役所。この役所の許可を得てはじめてアメリカで販売できる)は2006年1月27日に世界の大手医薬品メーカー・ファイザー社が長らく開発してきた吸入インスリン「エクスベラ」を認可しました。発売に向けてよろしいという認可です。すぐに発売されるということではありません。
「もう注射しなくてもいいのか?」とたいへん期待されたことと思います。私どもの外来にも、吸入インスリンをすぐ使いたいから、という希望で初診される方がいらっしゃいます。
日本糖尿病協会月刊誌「さかえ」4月号に、このことについて解説を載せましたので、もう読みになった方も多いことと思います。「さかえ」はこのように、ニュースに敏感に反応して糖尿病の皆さんにできるだけ早い情報をお伝えしようという皆さんの月刊誌ですので、この機会に講読してみてはどうでしょう(日本糖尿病協会のホームページ に「さかえ」が詳しく紹介されています)。
吸入インスリンは、私たちの肺の細胞からインスリンを吸入させようというものです。ひとりの肺の細胞全部の表面積はテニスコートくらいになるそうです。すごいですね。考えただけでもたくさんのインスリンを吸入してくれそうです。
ここで、いつくか知っていてほしいことがあります。吸入インスリンは速効型ないし超速効型インスリンと同じ種類のものです。持続するインスリン(Nとかランタスなどのインスリンのこと)の代わりにはなりません。これはこれまで通り注射で体に入れます。
第2に、1単位の調節とか、0.5単位のインスリン調節ができません。最小の単位が3単位で、その後は6単位、8単位、11単位となります。今後、1単位きざみで調節ができるようになると思いますが今はまだです。
第3に喫煙者または禁煙6カ月以内の方は吸入インスリンを使用することができません。肺の細胞膜から吸入されやすくなるからです(吸収する細胞膜に穴があくようになると考えるといいかもしれません)。3単位分吸入しようと思ってもたとえば6単位分吸入したような血中濃度になってしまうということです。
肺の細胞にとっては細かいインスリン粒子であれ異物ですので、第4として肺機能にはあまりよろしくない結果がアメリカでの臨床試験(患者さんに理由を話しして承諾のもとにお試しすること)では報告されました。
第5として、同じく臨床試験時インスリンに対する抗体ができました。特に治療には悪さをしないようです。
第6に、喘息などの呼吸器の病気があるときは肺の細胞膜からの吸収が悪くなるようで、吸入インスリン量を増やさなければならないようです。
第7に、吸入インスリン量の約1割しか肺の細胞膜から吸収されないので、たくさんのインスリンが必要になります。
第8に、咳、呼吸がしづらい、痰がでる、などの副作用が同じく臨床試験時は多く見られたようです。
小児、思春期の患者さん、腎臓や肝臓に障害ある患者さんには臨床試験は行なわれていません。これから臨床試験がなされなければならないでしょう。
「もう注射しなくてもいいのか?」とたいへん期待されたことと思います。私どもの外来にも、吸入インスリンをすぐ使いたいから、という希望で初診される方がいらっしゃいます。
日本糖尿病協会月刊誌「さかえ」4月号に、このことについて解説を載せましたので、もう読みになった方も多いことと思います。「さかえ」はこのように、ニュースに敏感に反応して糖尿病の皆さんにできるだけ早い情報をお伝えしようという皆さんの月刊誌ですので、この機会に講読してみてはどうでしょう(日本糖尿病協会のホームページ に「さかえ」が詳しく紹介されています)。
吸入インスリンは、私たちの肺の細胞からインスリンを吸入させようというものです。ひとりの肺の細胞全部の表面積はテニスコートくらいになるそうです。すごいですね。考えただけでもたくさんのインスリンを吸入してくれそうです。
ここで、いつくか知っていてほしいことがあります。吸入インスリンは速効型ないし超速効型インスリンと同じ種類のものです。持続するインスリン(Nとかランタスなどのインスリンのこと)の代わりにはなりません。これはこれまで通り注射で体に入れます。
第2に、1単位の調節とか、0.5単位のインスリン調節ができません。最小の単位が3単位で、その後は6単位、8単位、11単位となります。今後、1単位きざみで調節ができるようになると思いますが今はまだです。
第3に喫煙者または禁煙6カ月以内の方は吸入インスリンを使用することができません。肺の細胞膜から吸入されやすくなるからです(吸収する細胞膜に穴があくようになると考えるといいかもしれません)。3単位分吸入しようと思ってもたとえば6単位分吸入したような血中濃度になってしまうということです。
肺の細胞にとっては細かいインスリン粒子であれ異物ですので、第4として肺機能にはあまりよろしくない結果がアメリカでの臨床試験(患者さんに理由を話しして承諾のもとにお試しすること)では報告されました。
第5として、同じく臨床試験時インスリンに対する抗体ができました。特に治療には悪さをしないようです。
第6に、喘息などの呼吸器の病気があるときは肺の細胞膜からの吸収が悪くなるようで、吸入インスリン量を増やさなければならないようです。
第7に、吸入インスリン量の約1割しか肺の細胞膜から吸収されないので、たくさんのインスリンが必要になります。
第8に、咳、呼吸がしづらい、痰がでる、などの副作用が同じく臨床試験時は多く見られたようです。
小児、思春期の患者さん、腎臓や肝臓に障害ある患者さんには臨床試験は行なわれていません。これから臨床試験がなされなければならないでしょう。
[ DM-NET ]
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