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2021年04月07日
糖尿病性腎臓病の病態と治療
- 編・著:富野康日己 監修 / 和田隆志 編集 / 合田朋仁 編集
- 発行日:2021年4月 7日
- 判型・頁:B5・270
- 価 格:定価:7,480円(本体6,800円 + 税)
- 出版社:中外医学社
- 概要:近年,糖尿病性腎臓病という疾患概念が定着してきた.治療法においても,薬物療法から腎代替療法,生活指導まで,幅広い範囲で著しい進歩がみられる.本書は,そのような現状を踏まえ,同疾患の病態生理と治療を最新のエビデンスを反映して包括的に解説した.実現場で問題に直面した時にはポイントを絞って,全体を総体的に学びたい時には通読してほしい.基礎,臨床,ケアの実践的な知識を身につけられる,最適な1冊だ.
目次:
1.糖尿病性腎臓病(DKD)の診断
A.糖尿病性腎臓病(DKD)と糖尿病性腎症の概念〈村越真紀 合田朋仁〉
A.古典的糖尿病性腎症と糖尿病性腎臓病の臨床経過
B.疫学調査からみたDKDの臨床的特徴
C.Normoalbuminuric DKD(NADKD)の臨床的特徴
D.糖尿病患者の腎病理所見の多様性
E.アルブミン尿とは独立して腎予後を予測するバイオマーカー:可溶性TNF受容体
B.慢性腎臓病(CKD)重症度分類におけるDKDの位置付けと糖尿病性腎症病期分類(2014:日本)〜分類をどのように臨床に活かしていくのか〜〈丸山高史 阿部雅紀〉
A.CKDステージ分類からCKD重症度分類へ
B.CKDとDKD
C.糖尿病性腎症病期分類
D.糖尿病性腎症と腎硬化症の臨床経過の違い
E.糖尿病性腎症病期分類を治療に活かす
C.CKD with diabetesとは?〈山内真之〉
D.糖尿病性腎臓病(腎症)と遺伝〈前田士郎〉
A.糖尿病性腎症の遺伝素因
B.疾患感受性遺伝子研究の動向
C.1型糖尿病における糖尿病性腎臓病(腎症)解析
D.2型糖尿病における糖尿病性腎臓病(腎症)GWAS
E.Polygenic Risk Score(PRS)
2.症候・検査
A.蛋白(アルブミン)尿の見方・考え方〈富野康日己〉
A.尿蛋白(urinary protein)
B.尿蛋白検査法
C.蛋白尿とその臨床的意義
D.糖尿病性腎臓病DKDとアルブミン(蛋白)尿
B.血清クレアチニン・シスタチンCと推算糸球体濾過量(eGFR)の見方・考え方〈富野康日己〉
A.血清クレアチニン(serum creatinine:s-Cr)
B.血清シスタチンC(serum cystatin C)
C.腎臓病における血清シスタチンCの臨床的意義と血清クレアチニンとの関係
C.バイオマーカーによる診断・予後解明の可能性:尿検査,血液検査〈高橋和男 湯澤由紀夫〉
A.既存のバイオマーカー
B.探索的バイオマーカー
C.メタボローム解析
D.糖尿病性腎症の腎病理所見
1.主たる腎病理所見〈古市賢吾〉
A.光学顕微鏡所見
B.電子顕微鏡所見
C.蛍光顕微鏡所見
2.動脈硬化/高血圧による腎硬化症との鑑別〈清水美保 和田隆志〉
A.糖尿病性腎臓病と腎硬化症の疫学
B.糖尿病性腎臓病と腎硬化症の臨床経過と予後
C.糖尿病性腎症と高血圧性腎硬化症の病理分類とCKD重症度分類における比較
D.糖尿病性腎症の組織機能連関
E.糖尿病性腎症ならびに高血圧性腎硬化症の病理所見と予後
F.顕性アルブミン尿を伴わずにGFRが低下している糖尿病例の臨床・病理学的特徴と予後
3.糖尿病性腎臓病(DKD)の国際分類〈遠山直志 清水美保 古市賢吾 和田隆志〉
A.腎生検病理による糖尿病性腎症の検討
B.Renal Pathology Society(RPS)による分類
C.RPS分類の検証
D.病理評価表による分類
E.腎病理分類の発展
3.病態生理:発症・進展における主因子の関与機構
A.高血糖(終末糖化産物:AGE)〈山岸昌一〉
A.高血糖の記憶におけるAGE-RAGE系の役割
B.糖尿病性腎症,心腎連関におけるAGE-RAGE系の役割
C.AGE—RAGE系を標的とした新しい治療戦略
B.微小炎症〈宮本 聡 四方賢一〉
A.DKDの成因と微小炎症
B.DKDにおける自然免疫の関与
C.SM(d18:1/16:0)によるインフラマソーム活性化の可能性
D.抗炎症作用を有する薬剤
C.線維化・細胞外基質・microRNA〈萩原晋二〉
A.線維芽細胞転換と腎線維化
B.microRNAと腎線維化
D.ポドサイト障害〈牧野慎市 淺沼克彦〉
A.インスリン抵抗性
B.VEGF—A
C.接着分子
D.オートファジー
E.酸化ストレス,小胞体ストレス
F.エピジェネティック
E.高血圧:糸球体高血圧と全身高血圧〈横田祐之介 児玉 豪 深水 圭〉
A.全身高血圧の病態と関連する因子
B.糸球体高血圧の病態と関連する因子
F.脂質異常〈川浪大治〉
A.糖尿病およびDKDにおける脂質代謝異常
B.脂肪毒性とDKD
C.DKDにおける脂質低下療法の意義
G.高尿酸血症〈古波蔵健太郎〉
A.高尿酸血症による腎障害
B.糖尿病と高尿酸血症の関連
C.糖尿病性腎症の病態における高尿酸血症の関連
D.糖尿病性腎症の発症,進展の予測因子としての高尿酸血症の意義,観察研究
E.糖尿病性腎臓病に対する尿酸降下薬による介入の意義
H.肥満・サルコペニア・フレイルとCKDの関係〈北田宗弘 古家大祐〉
A.肥満(高body mass index:BMI)とCKD
B.メタボリックシンドロームとCKD
C.肥満関連腎症(obesity—related glomerulopathy:ORG)
D.肥満・メタボリックシンドロームと関連した腎障害(糸球体過剰濾過/糸球体高血圧)の機序
E.CKDに対する減量の効果
F.サルコペニア・フレイルとCKD
G.CKDに対する運動療法の重要性
H.サルコペニア・フレイルのリスクの高い高齢者に対する蛋白質制限
I.加齢〈久米真司〉
A.アルブミン尿期の進展における加齢の影響
B.腎機能低下における加齢の影響
C.高齢DKD患者の治療の問題点
D.SGLT2阻害薬の可能性
E.抗腎老化に対する基礎的知見―新たな治療標的の探索―
J.腸内細菌〈菊地晃一 阿部高明〉
A.DKDと腸内細菌叢
B.腎不全と腸内細菌由来尿毒素
C.腸内細菌由来尿毒素が生体に及ぼす悪影響
D.腸内細菌叢を標的としたDKD治療の可能性
E.DKDとフェニル硫酸
4.生活指導・薬物治療・透析療法とチーム医療
A.生活指導:病期(eGFR,アルブミン尿)を考慮した管理選択
1.食事療法の留意点:蛋白質(リン),食塩,カリウムなど―CKD分類G1〜G3aとG3b〜G5,G5Dに大別した食事内容―〈鈴木芳樹〉
A.CKD重症度分類による食事療法基準
B.ステージG1〜G3aのCKDの食事療法
C.ステージG3b〜G5のCKDの食事療法
D.ステージG5DのCKDの食事療法
E.糖尿病性腎症の病期分類と食事療法
F.注目されている問題および今後の食事療法の展望
2.生活指導の留意点
A.運動(運動リハビリテーションの意義),肥満・フレイル対策〈豊田雅夫〉
B.禁煙,禁酒,睡眠,感染症〈谷本光生〉
C.妊娠・出産時の留意点〈田中伸枝〉
B.薬物治療:病期(eGFR,アルブミン尿)を考慮した治療選択
1.メガトライアルの全体像〈大島 恵 遠山直志 和田隆志〉
A.糖尿病性腎臓病の治療戦略
B.新薬開発を促進する末期腎不全の代替エンドポイント
C.糖尿病性腎臓病に期待される新規治療薬
2.血糖管理〈越田剛生 合田朋仁〉
A.腎機能を考慮した治療薬の選択
B.血糖降下薬の特徴
C.DKDを念頭においた血糖管理と新しいエビデンスへの期待
D.糖尿病性腎臓病の各ステージにおける血糖管理
3.血圧管理〈山本 遼 児玉 豪 深水 圭〉
A.尿蛋白の観点から
B.腎機能の観点から
C.各降圧薬の使い方と使用上の注意点
4.脂質管理〈的場圭一郎 宇都宮一典〉
A.スタチン系薬剤
B.フィブラート系薬剤
5.尿酸管理〈美馬 晶〉
A.高尿酸血症と糖尿病
B.高尿酸血症によるDKDへの臨床的関与
C.DKD発症,進展メカニズムにおける尿酸の関連
D.アロプリノールによる腎障害進展抑制
E.新規キサンチンオキシダーゼ阻害薬による腎障害進展抑制
F.キサンチンオキシダーゼ阻害薬とSalvage経路
G.腎保護目的での尿酸治療目標値
H.DKD・CKDにおける尿酸降下薬の選択
6.リン・カルシウムの管理〈横山啓太郎〉
7.貧血管理〈安倍寛子 田中哲洋〉
A.腎性貧血の病態
B.腎性貧血の診断
C.鉄欠乏の診断
D.ESAによる腎性貧血の治療
E.鉄補充
F.ESA低反応性
G.貧血治療の目標Hb値
H.新たな腎性貧血治療薬―PHD阻害薬―
8.尿毒素管理〈富野康日己〉
A.尿毒素(uremic toxin)とは?
B.尿毒素としてのインドキシル硫酸と臓器障害
C.尿毒素管理:尿毒症治療薬(経口吸着炭素製剤AST-120)
C.透析療法継続のための留意点:DKDと非DKDの違い
1.血液透析〈坂井宣彦 和田隆志〉
A.導入基準
B.導入後生存率
C.血糖管理
D.合併症管理
2.腹膜透析〈濱田千江子〉
A.透析導入
B.維持透析
C.予後
D.わが国における腎移植の現状―DKDを中心として―〈島本真実子〉
A.日本における腎移植
B.先行的腎移植とは?
C.糖尿病患者の腎移植
D.腎移植を受けた糖尿病性腎症患者の予後
E.糖尿病性腎症の腎組織所見
F.腎移植後糖尿病
G.膵腎同時移植について
E.集約的治療とチーム医療の重要性〈櫻井吾郎 徳丸季聡 遠山直志 和田隆志〉
A.集約的治療の治療目標と治療の流れ
B.集約的治療の効果
C.チーム医療の実際