HealthDay News
2025年01月29日
2型糖尿病患者はビタミン、ミネラルが不足している

2型糖尿病患者の半数近くが、微量栄養素不足の状態にあるとする論文が、「BMJ Nutrition, Prevention & Health」に1月29日掲載された。
国際健康管理研究所(インド)のDaya Krishan Mangal氏らが行ったシステマティックレビューとメタ解析の結果であり、とくに、ビタミンD、マグネシウム、鉄、ビタミンB12の不足の有病率が高いという。
研究を主導した同氏は、「この結果は2型糖尿病患者における、栄養不良の二重負荷の実態を表している」と述べ、糖尿病治療のための食事療法が栄養不良につながるリスクを指摘している。
この研究では、システマティックレビューとメタ解析のガイドライン(PRISMA)に準拠して、Embase、ProQuest、PubMed、Scopus、コクランライブラリ、およびGoogle Scholarといった文献データベースを用いた検索が行われた。
また、灰色文献(学術的ジャーナルに正式に発表されていない報告書や資料など)も、包括基準(2型糖尿病患者〔合併症の有無は問わない〕でのランダム化比較試験、縦断研究、横断研究、コホート研究)に照らし合わせて採用した。
なお、1型糖尿病や妊娠糖尿病、18歳未満の2型糖尿病での研究、症例報告、レビュー論文などは除外した。
2人の研究者が独立してスクリーニングなどを行い、最終的に132件(研究対象者数は合計5万2,501人)の報告を抽出した。
メタ解析の結果、2型糖尿病患者における微量栄養素不足の有病率は45.30%(95%信頼区間40.35~50.30)と計算された。性別にみると、男性の42.53%(同36.34~48.72)に対して女性は48.62%(42.55~54.70)であり、女性の方が高値を示した。
微量栄養素不足の分布を正規分布に近づけるための統計学的処理の後、不足の有病率が最も高い微量栄養素はビタミンD[60.45%、55.17~65.60]で、次いでマグネシウムが41.95%[27.68~56.93]であり、鉄が27.81%[7.04~55.57]、ビタミンB12が22.01%[16.93~27.57]だった。これらのうちビタミンB12については、メトホルミンが処方されている患者に限ると、26.85%[19.32~35.12]とより高値となった。
以上の結果にもとづき著者らは、「2型糖尿病の食事療法では、エネルギー出納や主要栄養素の摂取量を重視する傾向がある。しかし本研究によって、いくつかの微量栄養素不足の有病率が高いことが明らかになった。栄養バランスを総合的に把握したうえでの最適化が、常に優先されるべきであることを再認識する必要がある」と総括している。
また、代謝にはさまざまな栄養素が関わっているため、微量栄養素の不足が糖尿病を悪化させたり、糖尿病以外の健康問題を引き起こしたりすることもあるという。
さらに、「微量栄養素の不足は糖代謝とインスリンシグナル伝達経路に影響を及ぼし、2型糖尿病の発症と進行につながることも考えられる」と述べ、栄養不良自体が2型糖尿病の潜在的なリスク因子である可能性を指摘している。
[HealthDay News 2025年1月29日]
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