植物性食品由来の肉(植物性肉)は、超加工食品であるにもかかわらず、動物の肉よりも心臓の健康に良いのではないかとする、ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)のEhud Ur氏らのレビュー論文が、「Canadian Journal of Cardiology」に6月25日掲載された。
動物の肉を植物性肉に置き換えると、血清脂質や体重といった心臓病の危険因子の多くが改善することが報告されているという。
論文の上席著者であるUr氏はNBCニュースの取材に対して、「植物性肉は健康的な代替品であり、心血管疾患のリスク因子の明らかな低下に関連している」と述べている。
レビューの対象となった臨床試験のなかには、植物性肉の摂取によって、総コレステロールは13%低下し、"悪玉"のLDLコレステロールは9%低下、トリグリセライド(中性脂肪)は53%低下して、"善玉"のHDLコレステロールは11%増加したとする報告も含まれていた。
ただし、植物性肉に含まれるナトリウムや飽和脂肪酸の量などの栄養価に、商品によって大きなばらつきがあることも分かった。
たとえば、2種類のハンバーガーを比較すると、古くからある商品の飽和脂肪酸含有量は1日の推奨摂取量の6%であるのに対して、後から発売された牛肉の味に近い商品は30%だった。コレステロールについても、前者は0%で後者は27%だった。
さらにNBCニュースは、大半の植物性肉は高度に加工された、いわゆる「超加工食品」であり、そのような食品は食物繊維が少なく、塩分、砂糖、添加物が大量に含まれている傾向があると報じている。
ただしUr氏は、「超加工食品だからといって、それらのすべてが心臓に悪いわけではない」とし、「植物性肉は、確かに高度に加工されているのは間違いないが、それは、健康に良くない飽和脂肪酸や単純糖質を多く含んでいるという意味ではない」と述べている。
そして、「研究の次のステップは、動物の肉を食べる人と植物性肉を食べる人で、心臓発作や脳卒中のリスクに差があるのかを検証する、盲検化された研究を行うことだ」としている。
そのような研究では、肉の風味の違いなどによって研究参加者が、自分がどちらの群に割り付けられているのかが分かってしまう可能性があるが、同氏によると「最近の植物性肉のなかには、本物の肉に非常に近い風味をもつものがある」という。
一方、米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のWalter Willett氏は、NBCニュースに対して、「一般的な最良の選択肢は、自然食品を摂取することだ」と話している。
しかし同氏も、「誰もがそのようにできるわけではないため、超加工食品と呼ばれる食品も考慮の余地はあるだろう」と付け加えている。
超加工食品である植物性肉が考慮に値することを示す一例として同氏は、2020年に「American Journal of Clinical Nutrition」に掲載された論文を挙げている。その論文は、動物の肉を植物性肉に置き換えることで、コレステロールと血圧が約10%低下したことを報告しているという。
また、米マウントサイナイ・フスター心臓病院のAnu Lala氏は、「植物性肉が健康的か否かを判断するには、地中海食のメリットが確立される過程で行われてきたような、より長期間の追跡調査が必要だ」と、NBCニュースに対して語っている。
[HealthDay News 2024年6月26日]
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