年末年始は何かとイベントの誘いが増える。なかにはあまり気の乗らないイベントがあるかもしれない。そのような時、「せっかく誘ってくれたのに断ったら、相手は嫌な思いをするのではないだろうか」と心配し、断り切れずに参加してしまうということがないだろうか。
しかし、新たに発表された研究報告によると、そのような心配はあまり必要ないことが明らかになった。人々は一般的に、他人の誘いを断ることによる相手の心情への影響を気にしすぎる傾向があるという。
この研究は、米ウェストバージニア大学のJulian Givi氏と米ニューヨーク工科大学のColleen P. Kirk氏によるもので、詳細は「Journal of Personality and Social Psychology」に12月11日掲載された。
調査によると、4人に3人以上(77%)は、イベントに誘われた際に参加を辞退した場合の影響を懸念して、参加したくない誘いへの招待に応じた経験があるとのことだ。
なぜ、人々は誘いを断ることに後ろめたさを感じ、無理をしてイベントに参加するのかという理由を探るために、Givi氏らは2,000人以上を対象とするいくつかの実験を行った。
なお、同氏自身も、「絶対に参加したくないイベントに招待されたことがあるが、参加しなかったら招待してくれた人が機嫌を悪くするのではないかと不安だったので参加した経験がある」という。
しかし一連の研究の結果、「誘いを断ることのマイナスの影響は、人々が考えているよりはるかに軽微であることが分かった」と同氏は述べている。
ある実験では、招待される側に設定された人には、レストランでの有名シェフによるディナーに友人から招待されたものの、その日はすでに日中の予定が決まっていて夕方以降は自宅でくつろぎたいとの理由で、誘いを断るというシチュエーションを想像してもらった。
その一方、招待する側に設定された人には、声をかけた友人から上記と同じ理由で断られたというシチュエーションを想像してもらった。
すると、誘いを断った側の人は断られた人以上に、その後の友人関係への影響を懸念し、「これからはもう同じような誘いをしてくれなくなるのではないか」と心配しがちであることが分かった。
別の実験は、恋愛期間5年以上が74%、1~5年未満が21%を占める、付き合いの長いカップル160人を対象に行われた。
カップルのうち1人に、今後数週間以内に2人でやってみたいこと(例えば映画鑑賞や外食、ハイキングなど)のパートナー宛の招待状を書いてもらった。その招待状を受け取ったパートナーには、「家でリラックスしたいから」という理由で断るように求めた。
すると、断った側の人は、パートナーが実際に感じている以上に怒っているのではないかと懸念したり、または誘いを断ったことが相手の存在を軽視していると解釈されるのではないかと過度に心配したりすることが分かった。
これにより研究者らは、たとえ互いに長年の親密な関係にあったとしても、誘いを断った側はその影響を過大評価すると結論付けている。
Givi氏は、無理をして誘いに乗るよりも時には断ることで、燃え尽き症候群のリスクが低下するというメリットがあるとする。
同氏は、「休みの日にあまりに多くのイベントがあると、燃え尽き症候群になることが実際にあり得る。よって、誘いを断ることを恐れないでほしい。ただし、他者とともに過ごす時間によって人間関係が構築されることも確かであるため、すべての誘いを断ってよいということではない」とのアドバイスをしている。
[HealthDay News 2023年12月12日]
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