糖尿病臨床栄養1・2・3
2006年12月11日
患者さんが頻発する質問から
食事療法の実践法を考える(続)
患者さん自身は“どのような時に、どのようなもの”を食べたいと欲求し、自らを制するのに苦慮しているのか。患者さんが頻発する質問を列挙し、その対応について述べたい。
Q4. 肥満で減量が必要だが、体重が減少しはじめると、
とにかく何かを飲食したい
食事療法を開始すると、一定期間は強い空腹感があります。なかにはその空腹から夜眠れないことを訴える人もいます。食べる量そのものが減ることも空腹感の一因ともなりますが、高血糖に慣れていた状態から、低下しはじめた血糖に対して、高い血糖に戻そうとする空腹感の場合もあります。
このような空腹感は、入院療養では1週間程度、外来通院ではおおよそ1ヵ月間で消失します。
ともかく、1週間あるいは1ヵ月間は空腹感に耐えれば、その後は徐々に消失しますが、その間は、次のいづれかの対応を勧めます。
- 水、緑茶、ウーロン茶などの飲み物を好きなだけ飲む
- トコロテン、酢昆布などを食べる
- ノンシュガーガムを噛む
- 食事に、こんにゃく、海藻、キノコなどを主にした料理を追加する
- よく噛んで、ゆっくり食べる
- 1ヵ月は、我慢する
Q5. パーティーなど、みんなといるとつい食べてしまう
食欲を視覚・聴覚から刺激され、周囲の雰囲気の影響を受けやすい状況でみんなと食事摂取すると、とかく摂取エネルギー過剰となってしまうようです。
その場の雰囲気、周囲の食べる速度、1人前の量そのものが多い、料理に油脂を多く使用、野菜類が少ないなど料理そのものが高エネルギーであることも食べ過ぎの要因です。
この状況に対応に、次のような対策も必要です。
みんなと一緒の食事での食べ過ぎ防止対策
- 食事療法中であることを周囲に知らせておく
- 飲食物を近づけない、近づかない
- 1食に摂取するエネルギー量を決めておく
- どう食べる(選ぶ)か、どう残すか、を考えておく
1食に摂取するエネルギー量の決め方
指示エネルギー量を3で割ったものが1食に摂取するに適した食事量で、1,800kcalが指示されている方は600kcalです。イタリア料理、フランス料理、中華料理など様々なコース料理は1,000〜2,000kcal/食、立食パーテーも一人前相当分として1,000kcal/食が用意されているのが一般的です。
コース料理、立食パーテーともに周囲の人と同等量を食べるのではなく、40%は少なめに食べ控えます。
1,600kcalが指示されている方は500kcalで、50%は食べ控えます。
どう選ぶか
“食べたい料理”より“食べるべき食品”から食べる。目の前にごちそうが並べられると食欲が湧くものですが、まずはエネルギーの低い料理から食べます。具体的には、和え物、酢の物や煮物、食材料では野菜、きのこ、海草などです。
どう残すか
油脂の多い料理の、天ぷら、フライ、から揚げなどの揚げ物料理は残します。どうしても食べたい場合は、味見程度の量にとどめます。
魚、肉、豆腐などの食品の量は、全部で1食に200g程度(掌と同等の大きさ)を上限量とし、これを超える量は残します。
食事指導のポイント
このような“食べたい欲求”への対応にあたり、治療方法、治療を開始してからの期間、血糖値のコントロール状況、血清脂質値、現体重および過去2〜3ヵ月間の体重の経過、病気ならびに治療の受け入れ状況、適正なエネルギー量の摂取の可否、抑うつ、緊張などの精神的ストレスの有無、性、年齢、生活環境、などを考慮して個別の対応を行うことが肝要です。
もくじ
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