糖尿病 男の悩み ―糖尿病と性機能低下―

2006年10月01日

2. 一般女性への質問とその回答

回答者の中心は30〜40代。
夫が糖尿病の女性からの回答は、まだ少数

 今回のアンケートのテーマは、糖尿病に伴う男性性機能障害についてですが、夫が糖尿病である女性に、パートナーの立場から男性性機能障害をどうとらえているかを知るために、女性対象のアンケートも行っています。  ただし、アンケートの実施媒体である『糖尿病ネットワーク』の閲覧者の多くは、ご本人が糖尿病の患者の方です。糖尿病の夫をもつ女性のアクセスはそれほど多くはないと思われ、そのためか、今回のアンケートの質問趣旨に一致する回答者数は、今のところまだ多くはありません(Q. 2)。

 それでも30〜40代を中心とする多数の女性から回答をいただいていますので、現時点での集計結果をまとめてみます。

Q. 1 あなたの年齢、婚姻歴などをお聞かせください。

年 齢 (人) (%)
20歳未満 0.0
20〜29歳 13 10.7
30〜39歳 40 33.1
40〜49歳 38 31.4
50〜59歳 21 17.4
60〜69歳 5.0
70歳以上 2.5
121 100.1
婚姻歴 (人) (%)
あり 98 83.1
なし 20 16.9
118 100.0
配偶者 (人) (%)
あり 86 74.8
なし 29 25.2
115 100.0

Q. 2 あなたのパートナー(ご主人や恋人など)は、糖尿病もしくは血糖値が高いと指摘されていますか?

(人) (%)
糖尿病で、通院治療を受けている
→選択した人はQ. 3へ
20 22.2
以前に糖尿病と診断されたり、血糖値が高いと言われたことがあるようだが、現在は通院していないようだ
→選択した人はQ. 3へ
7.8
糖尿病と診断されたり、
血糖値が高いと言われたことはないようだ
→選択した人はQ. 4へ
55 61.1
わからない
→選択した人はQ. 4へ
8.9
90 100.0

パートナー(夫)の糖尿病に関連する心配事は、合併症と食事療法の負担

 パートナーが糖尿病である女性に対して、パートナーが糖尿病だと知ったときに、心配になったことを尋ねてみました。合併症の心配がトップであることは、ご自身が糖尿病である男性患者さんに対して尋ねたアンケートのQ. 7と同じ結果でした。ただし、男性患者さんご自身ではそれほど高くなかった、食事療法に対する心配が、パートナーの女性にとっては、わりと大きな心配事であることがわかりました。

Q. 3 あなたのパートナーが糖尿病だと知ったとき(または血糖値が高いとわかったとき)、どのようなことを心配しましたか?(複数回答)

糖尿病男性のパートナーとしてのさまざまな考え方、接し方

 引き続き、パートナー(夫)がEDで、その治療を受けることによる効果などの質問を設けてあります。今のところまだ全体に回答数が少なく、傾向を読み取るまでに至っていませんが、自由回答にはさまざまな記述がみられますので、集計結果とあわせて紹介していきます。

Q. 4 パートナーとの性生活に点数をつけるとしたら? 該当する点数を選んでください。

Q. 5 パートナーのED(勃起機能低下)についての質問です。パートナーの勃起機能について、どのように感じますか?

 パートナーの勃起機能の低下を感じている人が4割にのぼりました。また、「その他」の回答の中に、「年相応の低下で問題はない」「年相応に自然なことだと思っている」といった記述があり、パートナーの勃起機能低下を感じつつも「その他」を選択したケースがあるようです。

Q. 6 パートナーに、EDの治療を受けるよう勧めたことはありますか?

(人) (%)
ある 1.5
ない 67 98.5
68 100.0

 Q. 5で、パートナーの勃起機能低下を感じている人に、パートナーへ治療を勧めたことがあるかないか尋ねてみました。結果はご覧のように、治療を勧める女性はごく少数のようです。

 なお、治療を勧めたことがあると答えた1人の女性は、パートナーが糖尿病で通院中の30歳代の方です。この方はQ. 12の自由回答で、「(糖尿病とEDが)関連性がある、治療が必要であることを、医師から語るべきではないだろうか」と記しています。

Q. 7 パートナーに、EDの治療を受けるよう勧めたことはありますか?

(人) (%)
EDの治療を受けているようだ
→選択した人はQ. 8へ
0.0
EDの治療は受けていないようだ
→選択した人はQ. 10へ
56 93.3
わからない
→選択した人はQ. 10へ
6.6
60 99.9

Q. 8 パートナーがEDの治療を受けたことで、あなたはその効果をどのように感じましたか?

とても満足…0人
まあまあ満足…0人
やや不満…0人
とても不満…0人
その他…3人

 この質問はまだ回答数が少ないため、評価には、今後の回答を待つ必要があります。

Q. 9 パートナーのED治療で性行為の満足度が高くなると、次のような二次的な効果があると言われています。あなたの場合はどうでしたか?

→回答後はQ. 12へ

パートナーとの仲が良くなった 強くそう思う 0人、そう思う 1人、あまりそう思わない 1人、全くそう思わない 1人、わからない 2人
女であることの喜びが強くなった 強くそう思う 1人、そう思う 2人、あまりそう思わない 0人、全くそう思わない 1人、わからない 2人
生きていることをより強く実感するようになった 強くそう思う 0人、そう思う 2人、あまりそう思わない 1人、全くそう思わない 1人、わからない 2人

Q. 10 あなたは、あなたのパートナーにEDの治療を受けてもらいたいと思いますか? また、その理由は?

上記の回答を選択した理由

以下の回答に出てくる「Q. 4」は、「パートナーとの性生活に0〜100点の間で点数をつけるとしたら何点か」という質問。
また、「Q. 5」は、パートナーの勃起機能についてどのように感じているかを「とても低下していると思う」「やや低下していると思う」「低下しているとは思わない」「その他」の中から選択する質問。

「できれば治療を受けてほしいと思う」を選択した方の理由

まだ40歳なのに、今後を考えるとかわいそう(30歳代の方。パートナーは、糖尿病で通院している方。Q. 4…0点、Q. 5…勃起機能は‘とても’低下していると思う)

性生活がすべてではないけれども、それも大事だから。今まで満たされていて急に満たされなくなるとさみしいから(20歳代の方。パートナーは、糖尿病で通院している方。Q. 4…60点、Q. 5…勃起機能は‘やや’低下していると思う)

夫婦の間で大切な問題だから(50歳代の方。パートナーは、糖尿病で通院している方。Q. 4…20点、Q. 5…勃起機能は‘とても’低下していると思う)

(できれば治療を受けてほしい)と思うが、すでに腎症の入り口。これ以上、負荷を掛けたくない。もともと病院・薬嫌いで、慣れさせるのも大変だった(40歳代の方。パートナーは、糖尿病で通院している方、Q. 4…10点、Q. 5…その他;完全勃起障害)

本人がとても気にしているのを知っているから(40歳代の方。パートナーは糖尿病で通院している方、Q. 4…30点、Q. 5…勃起機能は‘とても’低下していると思う)

自分自身の感覚の鈍さがあるのかもしれないが、子どもが独立していく夫婦間では重要だと思うから(50歳代の方。パートナーは糖尿病ではない方、Q. 4…50点)

やはりメンタルな部分の問題。治療も大切だけど、心の問題に無理じいしたくはない(30歳代の方。パートナーの糖尿病の有無不明、Q. 4…50点)

「どちらでもよい」を選択した方の理由

私が性生活を希望していないから(40歳代の方。パートナーの糖尿病の有無不明)

年齢から見ると治療が必要とは思われない(50歳代の方。パートナーの糖尿病の有無不明、Q. 4…60点)

本人の意思に任せます(30歳代の方。パートナーは、糖尿病で通院している方、Q. 4…100点、Q. 5…勃起機能は低下していると思わない)

SEXはないならないでいいから(40歳代の方。パートナーは、糖尿病ではない方、Q. 4…80点、Q. 5…勃起機能は低下していると思わない)

主人は仕事・家族・義母・義父のこともあり精神的・肉体的に負担がありこれ以上おいこむようなことを言いたくない(年齢不明。パートナーは、糖尿病で通院している方。Q. 4…0点、Q. 5…勃起機能は‘とても’低下していると思う)

本人が望めば治療すればよいと思うが、望まなければそのままでよい(30歳代の方。パートナーは、糖尿病ではない方、Q. 4…30点、Q. 5…勃起機能は‘やや’低下していると思う)

生活に大差はないから(50歳代の女性。パートナーの糖尿病の有無不明、Q. 4…30点)

どのような治療で、どういう病状の人が対象かわからないから(30歳代の方。パートナーは糖尿病ではない方、Q. 4…30点、Q. 5…勃起機能は‘やや’低下していると思う)

「あまり治療を受けてほしくない」を選択した方の理由

勃起障害が糖尿病によるものだと改めて認識させられることよって、機能が低下しているとは感じているものの、今はある勃起機能が精神的なものではなくなってしまいそうだから(20歳代の方。パートナーは糖尿病の方。Q. 4…40点、Q. 5…その他)

自分に魅力が不足しているなど自分のほうの問題を指摘されたりしたくない(20歳代の方。パートナーは、糖尿病で通院している方。Q. 4…60点、Q. 5…勃起機能は‘やや’低下していると思う)

現状のままで可(50歳代の方。パートナーは糖尿病で通院している方、Q. 4…10点、Q. 5…勃起機能は‘とても’低下していると思う)

副作用がこわい(50歳代の方。パートナーは糖尿病で通院している方、Q. 4…50点、Q. 5…勃起機能は‘やや’低下していると思う)

私もしたくない(40歳代の方。パートナーは糖尿病または血糖値が高いと言われたが通院していない方、Q. 4…20点、Q. 5…勃起機能は‘やや’低下していると思う)

副作用が心配(30歳代の方。パートナーの糖尿病の有無不明、Q. 4…0点)

「絶対に治療を受けてほしくない」を選択した方の理由

心電図に異常がある(50歳代の方。パートナーの糖尿病の有無不明)

「その他」を選択した方の理由

治療を受けても年齢的に無理(60歳代の方。パートナーは糖尿病ではない方、Q. 4…0点、Q. 5…勃起機能は‘かなり’低下していると思う)

自然が一番であり、私自身もそれほど欲求もないので、治療の必要を感じない(40歳代の方。パートナーは糖尿病ではない方、Q. 4…60点、Q. 5…その他;勃起機能の低下は年齢的に自然なことだと思う)

 勃起機能改善薬の副作用を必要以上に恐れている記述や、高齢では効果がないとの誤解も少なくないようです。また、治療法について知らない女性が多いようなので、今後は男性ばかりでなく、女性に対しても正しい情報が届くような啓蒙(教育・施策)がさらに必要なのかもしれません。

 それにより男女間のコミュニケーションが良くなれば、ED治療を話題にする機会も増えるでしょうし、パートナーと話をすることで、治療を受け始めるであろう潜在的な患者さんの存在も窺えます。

 勃起機能改善薬の副作用を必要以上に恐れている記述や、高齢では効果がないとの誤解も少なくないようです。また、治療法について知らない女性が多いようなので、今後は男性ばかりでなく、女性に対しても正しい情報が届くような啓蒙(教育・施策)がさらに必要なのかもしれません。

 それにより男女間のコミュニケーションが良くなれば、ED治療を話題にする機会も増えるでしょうし、パートナーと話をすることで、治療を受け始めるであろう潜在的な患者さんの存在も窺えます。

Q. 11 あなたのパートナーがEDの治療を受けようとしないのには、どんな理由があると思いますか?(複数回答)

 Q. 11は、パートナー(夫)の勃起機能が低下していると感じている女性へ、パートナーがED治療を受けない理由を推測してもらったものです。その答えの第一位が、「本人は『自分はEDではない』と思っているのではないか」でした。男性は「EDではない」と思っていても、女性はそうではないかと考えているケースは、ひょっとすると、少なくないのかもしれません。

 なお、その他の回答には、「EDの治療を知らないからだと思う」「治療が必要だと思っていない」「まずなによりも性欲がわかない」「その気もなし」「わからない」などが挙げられていました。

Q. 12 糖尿病とEDについて、なにかご意見やお考えがありましたら、お聞かせください。

  • 糖尿病の彼をもって早5年。低血糖昏睡になっても自己注射を目の前でしていても平気ですが、EDの問題は、私にも関わってきます。昔は自然だった性生活が今では調子のいいときだけするもの(20歳代の方)
  • とかく日本人は秘密にしたがりますが、大切なことだと思います(40歳代の方)
  • 発症年齢など、だいたいの統計を知りたい(20歳代の方)
  • きちんと治療をすべきだと思います(30歳代の方)
  • 主人の場合、10年以上前に発病していて、そのころはEDについて一般的に言われていなかったし、こちらも知識がなかった。もっと早くにわかっていればと思います(50歳代の方)
  • すべての病気の元は糖尿病だと思います(70歳代の方)
  • 糖尿病とEDに関係があることはあまり考えていませんでした(40歳代の方)
  • うちは結婚する前から弱くなりかけ2年目からEDになりました。自分が不妊関係で婦人科や泌尿科の医師にも相談したが、当時、薬の効果や使うことに抵抗を示す医師が多く、かといってほかの有効なアドバイスもとくにもらえませんでした。早く主人が大丈夫なうちにもっと専門的に得意な医師を探せばよかったし、いるとは思わなかった(40歳代の女性)
  • 本気で相談することができる先生と出会うことの難しさを治療全般で感じている(40歳代の方)
  • それが原因で子供ができないのかな?(30歳代の方)
  • EDのことを考えますと…男性も糖尿病を公に言うのが恥ずかしい? 病気に対する誤解が世間に広まらないことを願います(40歳代の方)
  • 今のところはEDについての心配はないので、考えたことはない。でも、何か気付く点があったときの治療の勧め方や方法があるなら、積極的に公表してほしい(30歳代の方)
  • 当事者にとっては微妙な問題かもしれませんね。ただ、糖尿病とEDが関連しているという認識が罹患者に浸透していないのではないでしょうか? 診察の際、医師と患者との間でこのような話があるとしても、患者から切り出さないと話題にはしにくいと思いますが…(40歳代の方)
  • 世間で言われているほどは、「糖尿病=EDのみが深刻」でないのでは? と感じます(主観ですが…)。仕事が忙しかったりするのに加え、糖尿病の治療だけでいっぱいいっぱいになりがちで、奥さんの強い不満がなければそれほど気にしない人が多いのではないかと思います。また、血糖値が改善していけばEDも改善してくるのでは? と思います(EDに限ったことではありませんが…) (40歳代の方)
  • 一般には、(糖尿病とEDについて)意外と知られていないと思います(20歳代の方)
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