糖尿病 男の悩み ―糖尿病と性機能低下―
2006年11月01日
2. 糖尿病で性機能障害になる人、ならない人
A. はじめに
前回、糖尿病でも性機能低下(とくにED)になる人とならない人がいると書きました。では、その違いが現れる原因は、なんでしょうか? 今回は、その原因について考えてみたいと思います。
B. 糖尿病の合併症は、どうして起こる?
a. 合併症は、血管がたくさんある部分に起こりやすい
糖尿病は「合併症の病気」と言われるくらいに、数々の合併症があります。とくに、血管と神経を中心に、障害が起きてきます。
例えば、眼の中の網膜。網膜には非常に細かい血管が一面に張り巡らされています。
糖尿病による高血糖が続いていると、その網膜の血管に異常が起きて、血管が破れたりつまったりして、視力や視野を奪います。糖尿病による網膜の病気「糖尿病網膜症」は、成人後の失明原因の上位に位置付けられています。
それから、腎臓。
腎臓の中の細い血管がつまって、血液をろ過し、きれいにする能力が低下してきて、尿毒症になると機械を使って血液を浄化する透析療法が必要になります。糖尿病による腎臓の病気「糖尿病腎症」は、透析療法が必要になる原因のトップで、2位以下を引き離してますます増えています。
b. 神経障害の影響は全身に及ぶ
そして神経障害。
神経は、頭のてっぺんから指先まで、全身に張り巡らされているので、その神経が障害されると、全身に影響が起きてきます。
自覚症状として多いのは、感覚神経の障害が起きたときに現れる、足や手のしびれや痛みです。それ以外に、自律神経の障害が進むと、全身に多彩な影響が現れてきます。
自律神経といいますのは、意志とは無関係に働き、体の諸機能を、そのときどきの状況にあわせて、ベストな状態にコントロールしている神経です。わかりやすい例を挙げると、発汗による体温の調節、血管の拡張や収縮による血圧の調節、食後に胃腸の働きを活発にする、運動時に心臓の鼓動を速くする、といったことです。
糖尿病によって自律神経が障害を受けると、このような自然な反応がスムーズに起こらなくなります。その結果、例えば、起立性低血圧、いわゆる立ちくらみが起きたり、下痢や便秘が続いたりします。
※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。
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