糖尿病 男の悩み ―糖尿病と性機能低下―

2006年07月01日

1. 糖尿病と性機能低下の不思議な関係

A. はじめに

 「糖尿病の男性はインポテンツになる」と、ずいぶん昔から巷間でよく言われてきました。今でも多くの男性が(または女性も)、そう思っているのではないでしょうか。この断片的で誤解を招きやすい情報は、いつごろどのように世間に広まったのでしょうか?

 インポテンツは患者数の多い“メジャーな”病気ですから、例えば高血圧などと同様に、医学的な情報――なぜ発病するのか、予防や治療はどうするのかといったこと――が、しっかりと患者さんや社会全体に供給されるべきなのに、これまであまりそうはされてきませんでした。にもかかわらず、糖尿病男性は性機能が低下しやすいと昔からよく知られていたという事実は、人々がやはり性機能の低下をそれだけ深刻な問題ととらえてきたことの表れだと考えられます。

 そこで『糖尿病 男の悩み』の第2回目は、糖尿病性の性機能低下について、情報を整理します。このコーナーの次回以降をお読みいただくうえでの「基礎編」だと思ってください。題して、『糖尿病と性機能低下の不思議な関係』です。

 なお、インポテンツという言葉は、ドイツ語のimpotenz、英語のimpotence という単語の発音を、カタカナで書き表したものです。「能力がない」とか「虚弱」とかいった意味で、やや軽蔑するような語感があるため、今では世界的に ED (erectile dysfunction.勃起障害)と呼ぶようになりました。このページでも以降、勃起障害については ED と言います。

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※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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