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2023年07月13日

30代でともに脳卒中を発症 舞台で倒れ込む 一生の絆を確かめ合う2人の俳優

HealthDay News

2年違いで脳卒中を体験したミュージカル俳優同士が結婚――AHAニュース

 Job Ethan Christensonさんは、ブロードウェイでミュージカル「Billy Elliot」を演じ終えてステージを去った後、ロビーで2人の観客と会話をしている最中に突然、彼らの腕の中に崩れ落ちた。

 その2年後、Jason Vance Campbellさんは、ミュージカル「Life Could Be a Dream」の公演中に意味不明なセリフを口にし、ステージ上で倒れ込んだ。

 2人ともまだ30代で、原因不明の脳卒中によるものだった。

 数年後に共通の友人を通じて2人は出会い、ともに若い年齢で脳卒中を体験するなどの共通点の多さに気付き、親交を重ね、昨年結婚に至った。

 「Jasonと私はトラウマの絆を共有している。それは極めて強力で奥深く、そして困難をともなうものだ。われわれはこの絆を一生のものだと感じており、互いに『聖なるソウルメイト』と呼んでいる」とChristensonさんは語っている。

 そのChristensonさんの脳卒中発症は、2012年のクリスマスの3日後、彼が38歳のときのことだった。

 公演後にロビーで仲間の俳優たちとともに、エイズ関連非営利団体への寄付を募っていたとき、視界がぼやけ霧の中にいるように感じ、自分の体が傾いていることに気付いた。

 彼は、寄付のために立ち止まっていた男女の腕の中に抱えられていた。意識はあった。

 駆け付けたマネージャーが、「なんてことだ。顔がゆがんでいる」と口にした。Christensonさんは、顔面のゆがみが脳卒中の兆候であることを知っていた。

 診断は出血性脳卒中だった。体の右側が麻痺し、移動には車椅子が必要で、会話も不能となった。

 リハビリテーションを1ヵ月続け、発語と歩行はなんとか可能になったが、自分の考えをまとめることが困難で会話に難渋し、また右足を引きずるような歩き方で、さらに右側の視野の一部を失ったままだった。

 それでも、表現者としての自分の人生を取り戻したいと考え、劇作家の養成学校に入学。それ以来、自分自身の経験を題材にした演劇と映画のシナリオを書くようになった。さらに、ソーシャルワークの修士号を取得し、最近ではセラピストとしても働き始めた。

 一方、Campbellさんは彼が34歳のとき、バージニア州での公演開始20分後にステージ上で意識を失った。虚血性脳卒中だった。

 周囲の人が迅速に対処したため、血栓溶解療法を施行可能な時間内に病院に搬送され、治療が行われた。しかしその時点ですでに、言語を司る脳の部分に重大なダメージが生じていた。

 医師から、「再び歩くこと、働くことはできないのではないか」と告げられた。リハビリ施設で3週間を過ごし、失語症や失行症を抱えたまま自宅に戻った。

 話すのに苦労し、憂うつになった。家族や友人は彼の精神状態を心配し、四六時中付き添った。

 その後、失語症ケア専門施設の存在を知り、6週間のプログラムを受けた。保険が適用されない治療だったが、費用は家族が援助してくれた。

 集中的な言語療法により、自分の名前を含む単語を少しずつ言えるようになった。現在も改善は続いている。しかし、話したい言葉を見つけるのに苦労し、脳卒中以前のように自分を表現することはできない。

 2017年、Christensonさんはニューヨークに、Campbellさんはフロリダにいた。2人の共通の友人が彼らを引き合わせ、ビデオ通話を始めるようになった。

 その頻度は、最初は週1回だったがすぐに毎日となった。しかし、直接会う機会はなかなか訪れなかった。

 2020年4月、コロナパンデミックが始まった頃、CampbellさんはChristensonさんに、好きだと伝えた。そして6月、2人はカップルとなり、7月にはついに直接会った。やがて同棲生活を始め、2022年1月にはニューヨークの自宅で、家族や世界中の友人が視聴する中、バーチャルの結婚式を挙げた。

 その結婚式の数ヵ月後に2人は、白いハバニーズを飼い始めた。2人の男性と1匹の犬という家族の名前のイニシャルが全て一致するように、そのハバニーズを「JC」と名付けた。

 2人はともに自分たちのポジティブな面に目を向けて、脳卒中後に自分たちが達成してきたことを大事にし、互いをサポートしながら刺激し合っている。

 とは言え、脳卒中サバイバーの日常生活にはさまざまな困難がある。Christensonさんによると、「誰もが本当に速く動いている。われわれの動作や話す速度が遅いと、脇に追いやられることがよくある」という。

 それでも2人は自分たちの芸術を通して力強く生き、喜びを見つけている。最近では、Campbellさんの脳卒中体験を戯曲化した。

 「われわれは自分たちの物語の続きを生きようとしている。脳卒中の後遺症によるフラストレーションや落胆する瞬間に打ち負かされないために、自分たちがどれだけ遠くまで来たのか、どれだけのことを成し遂げてきたかを思い出す必要がある。そして、その作業の大半を芸術活動が占めている」とChristensonさんは語っている。

[American Heart Association News 2023年6月14日]

American Heart Association News covers heart and brain health. Not all views expressed in this story reflect the official position of the American Heart Association. Copyright is owned or held by the American Heart Association, Inc., and all rights are reserved. If you have questions or comments about this story, please email editor@heart.org.
Photo Credit: Job Ethan Christensonさん(左)とJason Vance Campbellさん(本人提供)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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