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2022年12月16日

ワカメやメカブで糖尿病リスクを低下 海藻から食べて血糖上昇を抑える HbA1cも改善

 ワカメ、コンブ、ヒジキ、モズク、メカブなどの海藻を食事に取り入れると、2型糖尿病やメタボ・肥満のリスクを減らすのに役立つという報告が発表された。

 「食べる順番」によって、食後の血糖上昇を抑えられることが注目されている。

 食事では、海藻やサラダなどの食物繊維を含む食品から食べはじめ、その後でごはんなどの炭水化物を含む食品をいっしょに食べる食事法などが提案されている。

海藻の食物繊維が糖尿病や肥満のリスクを減少

 ワカメ、コンブ、ヒジキ、モズク、メカブなどの海藻は、食物繊維、カリウムなどのミネラル、タンパク質などが含まれ、低カロリーだ。海藻の摂取は、日本の⾷事バランスガイドなどでも推奨されている。

 海藻に含まれる食物繊維は、2型糖尿病やメタボ・肥満のリスクを減らすのに役立つと考えられている。その効果については、食物繊維が消化管からの糖の吸収を遅くしたり、食物中の脂質を吸着して吸収されにくくするといったことが考えられている。

 また、最近の研究では、食物繊維が腸内細菌叢の組成や代謝物を変化させることで、腸内環境を改善し、腸管内の炎症を抑えるのにつながることも分かってきた。

ワカメを糖尿病の人の食事に活用

 海藻のなかでもワカメは、日本食に欠かせない食材だ。日本人は古くからワカメを食べてきた。海藻は日本では馴染み深い食品だが、欧米ではあまり食べられていない。食文化は多様化しており、海藻の健康効果は世界から注目されている。

 ワカメを食べることで、⾷後の⾎糖値や脂質の上昇が抑えられるという研究も発表されている。海藻をよく食べる人では、心筋梗塞や狭心症などの虚血性心疾患の発症リスクが低いことは、日本人を対象とした大規模な調査でも示されている。

 乾燥カットワカメであれば、保存が効き、水戻しをすればいつでも食べられるので、利便性が高い。ふだんの食事にワカメを使った料理を一品加えることは、すぐに取り組める食事法になる。

「食べる順番」も食後の血糖上昇に影響

 近年、「食べる順番」によっても、食後の血糖上昇を抑えられることが注目されている。

 食事をはじめてから、5分間くらいは、サラダや海藻などの食物繊維を含む食品、魚料理などのタンパク質や脂質を含む食品を食べ、その後でごはんなどの炭水化物を含む食品をいっしょに食べる食事法などが提案されている。

 食物繊維を豊富に含む野菜や海藻を先に食べることで、食後の血糖上昇を抑えられ、体重も減少できることが報告されている。1~2ヵ月の血糖値の平均が反映されるHbA1cが改善するという研究も発表されている。

 炭水化物の多い食品を食べる前に、食物繊維やタンパク質、脂質を含む食品を食べることで、GLP-1とよばれる消化管ホルモンの分泌が促され、胃の動きをゆるやかにすることで、食後高血糖を改善できると考えられている。

関連情報

最初にメカブを食べて食後の血糖上昇を抑える

メカブ
提供:トリトンフーヅ

 和洋女子大学などは、メカブを先に食べることで、食後の血糖上昇を抑えられ、消化管ホルモンの「GLP-1」の分泌も促されることなどを、実験で明らかにした。

 研究は、和洋女子大学家政学部健康栄養学科の多賀昌樹准教授とトリトンフーヅが共同で行ったもの。同社は、モズクやメカブなどのさまざまな海藻類の加工品を販売しており、食事で最初にメカブを食べる「めかぶファースト」を提唱している。

 メカブはワカメの根元の部分で、ネバネバした食感が特徴。カロリーが低いだけでなく、栄養価の高い部位にあたり、ヌルヌル成分であるフコイダンや、カロテノイドの一種であるフコキサンチンなどの栄養も含まれる。最近は利用しやすくなっており、独特の食感は和食でも人気が高い。

 一方、インクレチンは、消化管をすると小腸から分泌され、インスリンの分泌を促す働きをするホルモンで、「GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)」と「GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)」がある。GLP-1とGIPは、糖尿病の治療薬としても注目されている。

食事の前にメカブを食べたらGLP-1の分泌が増えた

 研究では、成人女性7人を、(1) 白米200gのみ、(2) 白米+メカブ40g、(3) 白米+キャベツ40gの3つのグループに分け、食前、食後30分おきに血中のGLP-1濃度を測定した。

 その結果、メカブ1食分(40g)を摂取したグループは、食後120分までGLP-1濃度が高く持続したという。また、血中GLP-1濃度曲線下面積(AUC)についても、メカブを摂取したグループでもっとも高い数値が示された。AUCは、薬物などの吸収率や利用能などの指標として用いられ、その効果の強弱を反映するひとつの目安になる。

 これまでの研究でも、食事で最初にメカブを食べる「めかぶファースト」により、食後の血糖上昇を抑えられることが示されているという。メカブには、調理しやすい、和食によく合うといった利点もある。

 「今回の試験で、メカブ摂取後の血糖上昇の抑制作用は、消化管ホルモンであるGLP-1の持続的な分泌によることが明らかになりました。GLP-1によるインスリン分泌作用と胃内容物排出抑制作用により、ゆっくりと消化することで血糖上昇を抑制するだけではなく、心臓の保護作用や食欲抑制作用をもつと考えられます」と、多賀准教授はコメントしている。

 「メカブ摂取による消化管ホルモンの作用については、まだ解明されていないところが多くあります。和食文化の見直しを含め、今後も海藻摂取による生活習慣病予防効果について研究を続けて行きたいと思います」としている。

出典:トリトンフーヅ、2022年

モズク・メカブ・ワカメなどの海藻食品のほか、メカブなどの海藻レシピも紹介されている。

和洋女子大学家政学部健康栄養学科

Effects of Undaria pinnatifida (Wakame) on postprandial glycemia and insulin levels in humans: a randomized crossover trial (Plant Foods for Human Nutrition 2019年8月15日)
ヒトにおけるわかめ摂取が食後脂質代謝に与える影響 (⽇本栄養・⾷糧学会誌 2019年72巻6号)
Seaweed intake and risk of cardiovascular disease: the Japan Public Health Center-based Prospective (JPHC) Study (American Journal of Clinical Nutrition 2019年9月13日)
Dietary instructions focusing on meal-sequence and nutritional balance for prediabetes subjects: An exploratory, cluster-randomized, prospective, open-label, clinical trial (Journal of Diabetes and Its Complications 2019年10月19日)
A simple meal plan of 'eating vegetables before carbohydrate' was more effective for achieving glycemic control than an exchange-based meal plan in Japanese patients with type 2 diabetes (Asia Pacific Journal of Clinical Nutrition h 2011年3月9日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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