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2019年08月07日
糖尿病の人は夏こそ「フットケア」 水虫に対策するための8つの方法
温度・湿度が高い夏は水虫に注意が必要だ。糖尿病の人が水虫を治療しないで放置しておくと、深刻な事態に進展してしまうおそれがある。
水虫に対策するための8つの方法をご紹介する。
水虫に対策するための8つの方法をご紹介する。
水虫は軽視できない
日本の夏は高温・高湿だ。じめじめするこの時期に、気になるのが水虫。日本皮膚科学会によると、水虫の患者数は国内に約2,200万人に上る。
水虫の原因になる真菌は、体力が落ちているときや抵抗力が弱くなっていると増殖し、トラブルの原因になる。水虫に感染しないために、日常生活で心がけることが肝心だ。
水虫は、足の裏や指の間の角質層に常在する真菌が増えることによって起こる感染症だ。一般的な真菌感染症としてもっとも多いのは、真菌の一種の白癬菌が寄生して起きる足白癬(水虫)で、次に多いのが、主に足の指の爪にできる爪白癬。
足に80種類以上の真菌が生息
米国立衛生研究所(NIH)は、DNAシーケンス解析でゲノム解析を行い、人間の体に真菌がどれだけ生息するかを調べた。その結果、人間の細胞は、多くの細菌や真菌と共生していることが判明した。
「人間の体はひとつの生態系になっていると言えます。真菌は体のさまざまな部位で生息しており、とくに足には多く、健康な人の足にも40〜80種類の真菌が生息しています」と、米国立ヒトゲノム研究所(NHGRI)のダニエル カスナー氏は言う。
足には多い人で80種類を超える真菌が生息しており、これに比べると、背中、首の後ろ、耳の内側、耳の後ろ、頭や胴体の部位は、それぞれわずか2〜10種類しか生息していないという。
なぜ白癬菌は足を好むのか? 「足は靴や靴下を履いているため湿度が高くなっています。特に夏の靴の中は湿度が95%にも及びます。また、足は体の一番下にあるため、体の他の部分に比べて温度が低い傾向があり、それらが白癬菌の繁殖に適した環境をつくります」と、カスナー氏は説明する。
血糖コントロールが良好でないと、足の感染症にかかりやすい
水虫に対策するための8つの方法
白癬菌は湿度70%以上、温度15℃以上になると活発に増殖するため、梅雨から蒸し暑い夏には注意が必要だ。
生活でちょっとした工夫をすることで白癬菌の感染を抑えられる。米国糖尿病学会(ADA)では、水虫に対策するために、次のことをアドバイスしている。
● 適切な血糖コントロールが大切 |
前述のとおり血糖値が高いと菌と戦う力が弱まるので、糖尿病の治療をきちんと行い、血糖コントロールを良好に保つ必要がある。
糖尿病の合併症である神経障害や血管障害は感染症の原因となるので、感染につながる合併症を防ぐためにも、良い血糖値を保つことがいっそう重要となる。
● 清潔と乾燥が予防の基本 |
風呂やシャワーをこまめに利用し、体全体を石鹸を使って洗い、よく乾かそう。洗い方は、足の指一本一本を丁寧に洗うことが肝要だ。
● 足を強くこすって洗わない |
● 通気性の悪い靴・靴下を避ける |
● 靴下を毎日履きかえる |
靴下を毎日履きかえ、使った靴下は洗ってしっかりと乾燥させよう。
● 足拭きマットは汚染されやすい |
面倒な場合は、水虫の人は足拭きマットを使わずに使い捨てのキッチンタオルなどで足を拭こう。
● 共同で使う施設では素足を避ける |
共同で使う施設に行ったときは、サンダルを履くなどして素足でいるのを避け、帰宅後にケアすることが重要だ。
● 医師の診断を受ける |
爪の水虫は皮膚の水虫と違ってかゆみがないばかりか、見た目ではわからないこともある。しかし、放置すると爪が厚くなり手入れをしにくくなる。また、変形したり割れやすくなって、ケガのもとにもなる。
日ごろから足を観察し、「水虫」「乾燥やひび割れ」「たこやうおのめ」「靴ずれ」「皮膚の色や温度」などを見逃さないようしよう。 皮膚病や水虫に悩まされている人は、医師に診断してもらい適切な治療を受けることが望ましい。
足のトラブルに悩む糖尿病の人や、足の変形や痛みで困っている場合は、足潰瘍や足壊疽などの「糖尿病足病変」の予防を目的として、糖尿病の人を対象としたフットケア外来を開設している医療機関がある。
高齢者の水虫は転倒リスクに
早稲田大学スポーツ科学学術院の中村好男教授らが、平均年齢75.2歳の高齢者1万581人を対象に行った調査によると、足の指や爪に足白癬、皮膚の炎症、爪の肥厚や変形、血流障害などの問題を抱えている高齢者は、男性の46.0%、女性の39.0%に上る。
そうした人は転倒のリスクが高くなる。中村教授らの調査では、「足白癬」のある人ではそうでない人に比べ、過去1年間に転倒を経験した割合が、男性で1.37倍に、女性で1.29倍に増加することが分かった。
高齢者の転倒による骨折は、要介護になる原因のひとつで、健康寿命を縮めることにつながる。転倒を防ぐためにも、水虫への対策は重要だ。
Athlete's foot(メイヨークリニック 2018年5月16日)Skin Complications(米国糖尿病学会 2014年3月31日)
NIH researchers conduct first genomic survey of human skin fungal diversity(米国立衛生研究所 2013年5月22日)
地域在住高齢者における足部に関する問題と転倒経験・転倒不安との関連(日本公衆衛生雑誌、2010年)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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