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2018年12月05日
運動不足は糖尿病リスク 仕事と運動を両立できるデスクを開発
運動をする時間をなかなかとれない働き盛り世代のために、デスクワークをしながら運動ができる「ペダルデスク」が開発された。
運動不足を解消するためには、新しい発想が必要だという。
運動不足を解消するためには、新しい発想が必要だという。
座位を減らし運動を増やすのは難しい
30〜50歳代の働き盛り世代で、運動やスポーツの実施率が低い傾向がある。仕事や家事で忙しく、運動のための時間を確保するのが難しいのが理由だ。
長時間座ったままで体を動かさないのは、人間にとってそもそも「不自然」な行動だ。長時間の座位行動は、肥満、2型糖尿病、心疾患の発症など、健康状態にさまざまな悪影響を及ぼす。
しかし、デスクワーク中心の現代に、いかに1日の中で座位時間を減らし、運動時間を増やすかで、頭を悩ませている人は多い。とくに働いている人では、生活スタイルを変えるのは並大抵のことではない。
米国糖尿病学会(ADA)は、少しでも座位時間を減らし、運動時間を増やすために、机に向かって仕事をしているときなどに、30分ごとに立ち上がって体を動かすことを奨励しているが、普通の人にとってこれを実行するのは難しいだろう。
そうした悩みを一気に解決する画期的なデバイスが開発された。自転車こぎのペダルと、パソコン作業などができるデスクを合体させた「ペダルデスク」だ。
関連情報
仕事と運動を同時に行えれば運動不足を解消できる
運動によりインスリン感受性が改善
試験には12人の過体重か肥満の男女が参加したり。参加者を2つのグループに分け、片方には「ペダルデスク」に1日に2時間座ってもらい、好きな時に運動をしてもらった。もう片方には通常のデスクに座ってもらった。参加者はコンピュータを使用した読解力や集中力、注意力を必要とするタスクに取り組んでもらった。試験は3日間続けられた。
その結果、「ペダルデスク」を使用したグループは、血糖値、インスリン値が低下し、遊離脂肪酸の代謝や肥満も改善した。これらは2型糖尿病のインスリン抵抗性と関連が深い。また、「ペダルデスク」を使うことで、作業の能率が低下することはなかった。
インスリン抵抗性とは、肝臓や筋肉、脂肪細胞などでインスリンが正常に働かなくなった状態のことをいう。インスリン抵抗性があると、食事で高くなった血糖値を感知して、膵臓からインスリンが分泌されても、筋肉や肝臓が血液中のブドウ糖を取り込まないため、血糖値が下がらず、2型糖尿病を発病・進展しやすくなる。
健康な人であれば、血液中のブドウ糖が多いとインスリンが多く分泌され、多くのブドウ糖が筋肉などに取り込まれ、血糖値が一定に保たれる。しかし、インスリン抵抗性があると、インスリンの効きが悪くなっており、血糖値を下げるためにより多くのインスリンが必要になる。
2型糖尿病患者を対象とした試験も計画中
「運動を続けていれば、インスリンが効きやすい体に変わっていくので、必要なインスリン量は少なくなります。このペダルデスクを使った人は、標準的な机を使った人に比べ、血液の血糖や遊離脂肪酸の値も低く保たれました。しかも、仕事の邪魔にはならなかったのです」と、チップキン氏は言う。
仕事中のパソコン使用や会議などによるデスクワークの長時間化、余暇におけるテレビ視聴やゲームなどの娯楽、通勤時の自動車運転など、現代人の長時間の座位行動(座りすぎ)時間ますます長くなっている。近年、この「座りすぎ」がもたらす健康リスクが注目され、盛んに研究が行われるようになっている。
仕事と運動を両立できるデバイスの開発はニーズが高い。仕事中に運動をすることでストレスの軽減やうつ病の予防にもつながる可能性もある。
「ペダルデスク」は試作タイプだが、研究チームは運動器具メーカーと共同で製品化することも考えているという。利用者のニーズに合わせて、さまざまなタイプの「ペダルデスク」を考案する予定だ。
今回の試験は健常者を対象としたものだったが、チップキン氏らは今後の研究で、2型糖尿病患者を対象とした試験も計画中だという。
Pilot Study Suggests Pedal Desks Could Address Health Risks of Sedentary Workplace(アマースト大学 2018年11月7日)Pilot Study of Impact of a Pedal Desk on Postprandial Responses in Sedentary Workers(Medicine & Science in Sports & Exercise 2018年10月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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