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2016年10月14日
70歳以上の低HDL-C男性でアスピリンが初発イベント抑制 JPPP-70
- キーワード
- 糖尿病合併症
アスピリンの一次予防効果を検討した臨床試験の一つとして、「JPPP(Japanese Primary Prevention Project with Aspirin)」が挙げられる。JPPPは、心血管イベント危険因子である、高血圧、脂質異常症、糖尿病のいずれか一つ以上を有する60〜85歳の患者約1万5,000名を、アスピリン投与群と非投与群の2群に分けPROBE法で追跡したもの。結果は2014年に報告され、イベント発生率に両群間の有意差はなく、アスピリンの一次予防の有用性は否定されていた。
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日本臨床内科医学会にて、JPPP-70 の結果概要を発表した菅原正弘氏 |
結果だが、一次エンドポイント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中の複合エンドポイント)は、アスピリン群141名、非アスピリン群154名に発生し、ハザード比(HR)0.92(95%CI:0.74-1.16)、p値0.50で、群間差はなかった。また二次エンドポイント(前記に加え、一過性脳虚血発作、狭心症、外科手術またはインターベンションを要する動脈硬化性疾患を加えた複合エンドポイント)は、アスピリン群184名、非アスピリン群217名に発生し、HR0.85(95%CI:0.70-1.04)、p値0.11で、やはり有意な群間差はなかった。一方で、輸血または入院を要する頭蓋外出血はアスピリン群35名、非アスピリン群18名と、アスピリン群で有意に多く発生していた。
次に、危険因子を個別に検討すると、一次エンドポイントの発生と関連のあった因子として、HDL-C40mg/dL未満(HR1.73,95%CI:1.26-2.39, p=0.0008)、喫煙(HR1.72, 95%CI:1.26-2.00 p=0.0006)、糖尿病(HR1.59, 95%CI:1.26-2.00, p=0.0001)が挙がった。
菅原氏は、「心血管危険因子を有し低HDL-C血症を伴う70歳以上の男性には、頸動脈IMTを施行するなど、積極的にリスクを評価し、適切に対応すべきと思われる」と結論をまとめた。
関連ページ:
動脈硬化性疾患に対するアスピリンの一次予防効果を調べる研究が国内でスタート
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