ニュース
2015年12月12日
日本人の男性の16%、女性の10%が糖尿病 【国民健康・栄養調査】
- キーワード
- フットケア情報ファイル 糖尿病の統計 糖尿病予備群 食事療法
肥満の増加に歯止めがかかった一方で、女性の「やせ」志向が続いており、運動習慣のある人も全体の約3割など、生活習慣改善の必要性が引き続き示された。
厚生労働省は「2014年国民健康・栄養調査」の結果を発表した。調査は昨年11月、無作為抽出した5,432世帯を対象に実施し、3,648世帯(67.2%)から有効回答を得た。
糖尿病は50歳を超えると増えはじめ、70歳以上では男性の4人に1人(22.3%)、女性の6人に1人(17.0%)が糖尿病とみられる。

調査では、世帯所得が200万円未満、200万円以上600万円未満、600万円以上に分けて、生活習慣病について比較した。
17の食品群では、低所得者層は野菜類や肉類、きのこ類、卵類、乳類など半数以上の項目で高所得者層より摂取量が少なく、穀物類だけ多かった。
主食である穀類の1日当たりの摂取量は、世帯所得が600万円以上の男性で494gだったのに対し、200万円〜600万円未満は520g、200万円未満では535gだった。女性もそれぞれ352g、359g、372gと、所得が低いほど量が多くなった。
一方、野菜の摂取量は所得600万円以上の男性は322g、女性313gだったのに対し、200万円未満では男性253g、女性271gに減少。肉も野菜と同様に開きがあった。

1日の歩数も所得が多いほど増える傾向があり、男性では600万円以上は7,592歩なのに対し、200万円未満では6,263歩だった。女性では600万円以上は6,662歩なのに対し、200万円未満で6,120歩だった。
喫煙者の割合も同様で、男性では600万円以上は29.2% なのに対し、200万円未満で35.4%に上った。女性では600万円以上は5.6%なのに対し、200万円未満で15.3%で、3倍近い差が出た。
厚生労働省では「所得の低い人は時間的にも精神的にもゆとりを得られにくく、食事で多くの食材を使うなど手間をかけることを避けている。健康に対するセルフケアに関しても、意識が回りづらいのではないか」と分析している。

痩身志向は若い女性ではホルモンバランスの乱れ、高齢者では低栄養の原因になので、厚労省は「健康な体の維持に影響しかねない。高齢期に向けて生活習慣を改善する必要がある」と注意を呼びかけている。
また、65歳以上でBMI20以下の「低栄養傾向」にある人は17.8%に上り、高齢者(85歳以上)では23.6%に上った。
エネルギー摂取量とエネルギー消費量が等しいとき、体重の変化はなく、健康的な体格(BMI)が保たれる。「日本人の食事摂取基準」では、体格指数が摂取エネルギーの指標として採用している。
年齢層別にみると、食塩摂取量がもっとも多いのは60歳代で、男性では11.6g、女性では9.8gに上った。

1日の歩数の平均値は、男性が7,043歩、女性が6,015歩であり、10年間で減少している。65歳以上では男性が5,779歩、女性が4,736歩となっており、高齢者で歩数の減少傾向が明らかになった。

現在習慣的に喫煙している人のうち、「たばこをやめたい」と思っている人は、男性で26.5%、女性で38.2%に上った。

健診の受診状況別に生活習慣等の状況(たばこ、運動、体型、血圧)を比較すると、女性の肥満者の割合は未受診者で高く、また男女ともに現在習慣的に喫煙している人の割合、運動習慣がない人の割合、血圧の平均値は未受診者で有意に高い。
平成26年「国民健康・栄養調査」の結果(厚生労働省 平成27年12月9日)
フットケア情報ファイルの関連記事
- 京都大学発の新たな人工皮膚が承認 「糖尿病性潰瘍」に効果
- 糖尿病患者の痛風リスクがフェノフィブラートで半減 FIELD試験
- 糖尿病腎症による透析導入はやや減少 「健康日本21」中間評価
- 腎臓専門医への「紹介基準」を公表 日本糖尿病学会・日本腎臓学会
- PCSK9阻害薬の適正使用フローチャート 動脈硬化学会が見解を表明
- 糖尿病の人は「足の冷え」「しびれ」に注意 足の動脈硬化を改善
- 自分の足を知ろう 「足潰瘍」は合併症 足切断の5分の4は防げる
- ウォーキングで下半身を強くすると運動を続けやすい 「老化は足から」
- 水虫に対策するための8つのケア 糖尿病の人は夏こそ「フットケア」
- 次の診療で足を見てもらおう 「PAD」(末梢動脈性疾患)にご注意