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2015年11月06日
ウォーキングで腰痛対策 楽しみながら続けて腰痛を改善
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- フットケア情報ファイル 運動療法

背骨(脊柱)は、横から見ると、ゆるやかなS字のカーブを描いている。このカーブがあることで、上半身の重さが分散され、腰にかかる負担が軽くなる。
脊柱の腰の部分は「腰椎」と呼ばれる5つの椎骨で構成されている。この腰椎を含めた脊柱を支えているのが筋肉だ。脊柱を主に支えているのは、腰椎の前側にある「腹筋」、腰椎の後ろ側にある「背筋」だ。腹筋と背筋が腰椎を支えることで、脊柱のS字カーブを維持できる。
腹筋と背筋は、30歳代から老化がはじまり、運動不足などが加わると、筋肉はさらに衰えていき、やがて脊柱を支えられなくなる。姿勢が悪いと姿勢を保つために筋肉が緊張し、コリや痛みがあらわれる。痛みがあると運動しなくなり、筋肉がさらに衰えるという悪循環に陥りやすくなる。
また、運動不足が続くと筋肉が硬くなり、腰回りの柔軟性が失われてしまい、可動域(動かせる範囲)が狭くなる。すると腰を少し動かしただけでも、可動域の限界に達して痛みが生じる。
痛みの改善および予防に効果的なのがウォーキングだ。ウォーキングを続けていれば、腹筋や背筋が鍛えられ、脊柱を支える力が高まり、硬くなった筋肉がやわらかくなる。
腰痛の80%以上ははっきりとした原因がみつからない。エックス線検査などの画像検査で、背骨の異常や神経の圧迫などの明確な原因が見つからず「原因を特定できない」という。
キャツ-ルーレル氏らの研究チームは、腰痛をもつ52人の患者を無作為に、医療機関での標準的な治療を受ける群(標準治療群)と、週に2~3回のウォーキングなどの運動を行う群(ウォーキング群)に分けた。
ウォーキングは1回20分からはじめて、慣れてきたら40分に延長された。6週間後に、ウォーキングを続けたウォーキング群では、医療機関でのみ治療を続けた標準治療群と同等の治療効果を得られることが判明した。
「腰痛対策のウォーキングは、15~20分ほどから始めて、歩けるようになったら少しずつ距離を延ばしていくと効果的です。あせらずに、じっくり続けるのがコツです。専門家の指導を得られれば、より安全・効果的に行うことができます」と、キャツ-ルーレル博士はアドバイスしている。

オーストラリアでは成人の80%が生涯に腰痛を発症している。そのうち10~20%が慢性の腰痛を患っているという。「腰痛が慢性化するのを防ぐのに、ウォーキングを3ヵ月以上続けると効果的です」と、フェラー氏は言う。
研究の参加者には、ウォーキングの速度を自分で決めてもらい、運動を楽しみながら行うことを優先して取り組んでもらっているという。無理をせず、できる範囲でウォーキングを楽しく続ける工夫が必要だ。
腰痛を予防・改善するには「正しい歩き方」も大切だ。筋肉をバランス良く刺激し、全身を使うようにして歩くと効果的だという。
【視線】 | 前方を見る |
【腕】 | ひじを伸ばしたまま、前後に大きく振る |
【お腹】 | 腰が反らないようにし、おなかに力を入れる |
【足】 | 前足はかかとからしっかり着くようにし、後ろ足で地面をしっかり蹴る |
ウォーキングを安全に行うために、足に合ったクッション性のある靴底のシューズを選ぶことも必要だ。また、運動の前後にストレッチを行えば、腰の可動性と安定性を高めることができる。
「腰痛のある人が運動を行う場合は、事前に医師や理学療法士に相談することをお勧めします。専門家は無理のない範囲で体を動かすようにする方法を教えてくれます。高血圧や糖尿病のある方は注意が必要となる場合もあります」と、フェラー氏はアドバイスしている。
Walking away from back pain(テルアビブ大学 2013年3月5日)
Study aims to ease the burden of lower back pain(南オーストラリア大学 2014年3月19日)
Preventing Back Pain at Work and at Home(米国整形外科学会 2012年3月)
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