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2015年07月29日

ナッツを毎日食べると健康増進の効果を得られる がんリスクも低下

キーワード
食事療法
 アーモンド、クルミ、カシューナッツ、ピスタチオなど、日本人にも身近な食材として親しまれているナッツは、健康的な食品として注目されている。最近の研究で、ナッツが心筋梗塞などの心疾患やメタボリックシンドロームの改善に役立ち、がんを予防する効果もあることが分かってきた。
メタボや高血圧などを予防
 ダイエットやアンチエイジングの効果がある健康的な食品として、ナッツに熱い視線が寄せられている。百貨店の食料品売り場には専門店が登場し、コンビニエンスストアの棚に陳列されるナッツの種類も増えてきた。

 「ナッツは現代人に必要な栄養素が多く含まれており、メタボリックシンドロームやがんを予防する効果がある」という研究が相次いで発表された。

 ナッツは、脂質を多く含む多脂性食品で、少量でもカロリーの多い食品だが、不飽和脂肪酸、カルシウム、カリウム、マグネシウム、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれており、メタボリックシンドロームや高血圧などの予防に効果的であることが、過去の多くの研究で確かめられている。

善玉と悪玉のコレステロールのバランスを改善
 ナッツ類に含まれる抗酸化作用をもつ栄養素やフィトケミカルが、悪玉のLDLコレステロールを低下させ、善玉と悪玉のコレステロールのバランスを改善すると考えられている。

 ナッツ類に含まれるフラボノイド、レスベラトロールなどのフィトケミカルには、血管や細胞を傷つけ、動脈硬化などを引き起す活性酸素を抑える抗酸化作用がある。

 FDA(米国食品医薬品局)は、ナッツ類について「1日に1.5オンス(42g)を食べると、心筋梗塞などの心血管疾患のリスク低下に効果的です」と表示することを認めている。

 また、「DASHダイエット」は高血圧の予防、改善のために開発された食事スタイルで、玄米や全粒パンなどの全粒穀物や、低脂肪の肉や乳製品、豆類などを積極的にとることが勧められている。このDASHダイエットにナッツ類が取り入れられている。

 専門家はひとにぎり(28g)のナッツ類を毎日食べることを勧めている。

体重の増加と心血管疾患のリスクを抑制
 アーモンド、クルミ、カシューナッツ、ヘイゼルナッツ、マカダミアナッツ、ブラジルナッツ、ピスタチオなどのナッツ類を食べると体重の増加を抑えられ、メタボリックシンドロームや心血管疾患のリスクを下げられるという調査結果を、米国のルイジアナ州立大学の研究チームが発表した。

 ナッツ類を摂取すると、体格指数(BMI)と収縮期血圧が低下し、血糖を下げるインスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性が改善し、善玉のHDLコレステロールが上昇するという。

 研究チームは、米国健康栄養調査(NHANES)の2005~2010年のデータを調査し、1万4,386人の19歳以上の男女の参加者のデータを解析した。

 「参加者の6.8%が、ナッツ類を毎日摂取していました。少数と思うかもしれませんが、米国の全人口に換算すると、およそ1,200万人がナッツ類を食べている計算になります」と、ルイジアナ州立大学農業センターのキャロル オニール教授は言う。

 研究では、ナッツ類を食べる習慣のある人は、平均して1日におよそ44.3g(1.5オンス)を食べていることが判明した。これは、FDAが認めている健康機能表示で示される量とほぼ同じだ。

 その結果、ナッツ類を日常的に食べている人は、食べていない人に比べ、肥満が25%少なく、腹囲周囲径が高い人が21%減少することが示された。

 さらには、ナッツ類を食べているグループでは食べていないグループに比べ、BMIが0.8kg/m²、腹囲周囲径が2.3cm、収縮期血圧が2.6mmHg、インスリン抵抗性を示すHOMA-IRの値が0.3、それぞれ減少することが明らかになった。善玉のHDLコレステロールは1.5mg/dL上昇していた。

ナッツ類のがん予防効果
 ナッツ類には、がんの予防効果もあるという調査結果を、米国のメイヨークリニックとミネソタ大学の研究チームが発表した。

 研究チームは、食事とがんや生活習慣病の発症との関連を調べた36件の研究を調査し、3万708人の患者を対象に解析した。

 その結果、ナッツ類を摂取すると、直腸がん、子宮がん、すい臓がんのリスクが低下することが明らかになった。発症リスクは最大で、直腸がんで24%、子宮がんで42%、すい臓がんで32%低下した。

 「ナッツ類が心血管疾患のリスクを低下させることは多くの研究で確かめられていますが、今回の研究では、がんのリスクを低下させる効果があることが示されました。毎日の食事にナッツ類を加えることで効果を得られる可能性があります」と、メイヨークリニックのラング ウ―氏は述べている。

ナッツ類は間食にうってつけ
 ナッツ類には体に良い不飽和脂肪酸が豊富に含まれ、オレイン酸を含むものも多い。オレイン酸には悪玉のLDLコレステロールを減らす作用がある。

 また、ナッツ類を食べると肥満のリスクが減るのは、食物繊維が含まれ、食べるときの咀嚼回数を増え、満腹感を得やすくなり、ナッツ類を食べた後で食事の量が減るからだと考えられている。

 「米国人は1日の摂取カロリーの25%を間食からとっているという調査結果があります。栄養価の高いナッツ類は間食にうってつけです。夏になり屋外で活発に過ごす人が増えますが、ナッツ類は携帯できるので、キャンプやハイキング、ビーチなどに持って行けます」と、国際ツリーナッツ会議のモーリーン ターナス氏は言う。

 「ただし、市販されているナッツ類は食塩を添加してあるものが多いので、高血圧予防の観点から食塩無添加のものをお勧めします」と付け加えている。

Tree Nut consumption is associated with better adiposity measures and cardiovascular and metabolic syndrome health risk factors in U.S. Adults: NHANES 2005-2010(utrition Journa 2015年6月28日)
Nut consumption and risk of cancer and type 2 diabetes: a systematic review and meta-analysis(Nutrition Reviews 2015年6月16日)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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