ニュース
2013年10月25日
食事療法の個別化・多様化するニーズ 病態栄養セミナーを開催
- キーワード
- 食事療法
宅配食による食事療法の効果は半年後も持続
患者1人ひとりに合わせた食事療法を提案
講演の第2部では、慶應義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科の税所芳史氏が、「食事療法は何故難しい? 最近の知見から食事療法の重要性についてもう一度考える」と題して講演した。
税所氏は「食事療法を長期にわたり継続するためには、安全性とともに日本の食文化や患者さんの嗜好性についても配慮することが必要です。大切なのは、カロリー、バランス、続けやすさであり、決められた食事療法をひとつだけ患者さんに求めるのは無理があります」と指摘した。
日本人の食に対する価値観や食品・食習慣・食環境は、多様化してきており、食事指導でも患者の病態や嗜好性により柔軟に対応することが必要となってきている。最近では、炭水化物について、血糖に対する直接的な影響ばかりでなく肥満への影響から、その摂取量に関心が高まっているが、栄養素についてはエネルギー代謝に関する全体的な視野に立って評価すべきであり、個々の栄養素に限定して考えるのは誤った方向だという。
2型糖尿病の食事療法は、総エネルギー摂取量の適正化によって肥満を解消し、インスリン作用からみた需要と供給のバランスを調整し、高血糖および高血糖から引き起こされる糖尿病合併症を予防することを目的としている。インスリンの作用は糖代謝だけでやく、脂質やタンパク質代謝などにも及んでおり、これらは相互に密接な連関をもっている。
「体重の適正化をはかるためには、運動療法とともに積極的な食事療法を指導すべきであり、総エネルギー摂取量の調整が優先されるべきです。総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限するのは、患者さんが食事療法を長期的に守れなくなるおそれがあり、脂質が悪化する可能性もあります。患者さん1人ひとりに合わせた食事療法を、根気強く提案していくことが重要です」と、税所氏は強調した。
武蔵野フーズ ムサシノ食品健康宅配本部
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
食事療法の関連記事
- 「卵を1日に1個」は健康的 卵を毎日食べても糖尿病や心臓病のリスクは上昇しない
- 塩分のとりすぎは糖尿病リスクを高める 減塩すれば高血圧も改善 減塩食品は身近で買える
- 気候変動による気温上昇が糖尿病リスクを高める エアコンを効果的に使い高温によるリスクを減少
- 牛乳やヨーグルトが脂肪酸のバランスを向上 野菜は高血圧を改善 菓子類はなぜNG? 糖尿病の人の食事
- タバコは糖尿病リスクを高める 禁煙すると合併症リスクは大幅に減少 禁煙後に太るのをどうすれば防げる?
- 「植物ベースの食事」が糖尿病リスクを軽減 高血圧も改善 肝臓と腎臓を守る
- 糖尿病とともに生きる人の寿命は延びている 自分らしく長生き いますぐ取り組むべき「8つの生活スタイル」
- 果物の食べすぎは糖尿病の人に悪い? ドライフルーツなら大丈夫? 果物の効果的な食べ方が判明
- 「低カロリー甘味料」が過体重や肥満の人の体重管理を改善 糖尿病リスクも高めない 欧州肥満学会議が発表
- 「歯周病」は糖尿病の合併症 血糖値を下げると歯周炎も改善 歯科でケアを受けるのは効果的