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2010年11月15日
L-アラビノースの血糖上昇抑制効果 新たなセカンドミール効果
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機能性甘味料や飲料などの関与成分「L-アラビノース」についての知見が「ジャパンフードサイエンス」11月号に掲載された。L-アラビノースの血糖抑制効果のほか、「セカンドミール効果」について紹介している。
特定保健用食品「アラビノシュガー」
L-アラビノースは、植物の細胞を作っている糖類で、自然界に広く分布する天然素材。ふだん私たちが食している豆類や野菜、トウモロコシやアラビアガムなどにもL-アラビノースは含まれている。
通常、砂糖(ショ糖)は小腸内でスクラーゼと呼ばれる酵素によって分解され、体内に吸収されると血糖値を急激に上昇させることが知られている。L-アラビノースは、このスクラーゼの働きを小腸内で選択的に阻害し、その結果、血糖値の上昇が抑制される。また、L-アラビノースは少量を加えるだけで有効で、多量を摂取してもその効果は特に大きくならないという特徴をもっている。
食後の高血糖を抑えるという点では、最近流行りの低GI*食品が連想されるが、L-アラビノースは甘味料としても利用できるので、食品としての利便性はより高いといえる。
L-アラビノースは、テーブルシュガー「アラビノシュガー」(日清オイリオグループ)をはじめ、飲料、菓子類、健康食品などに利用されている。
「アラビノシュガー」は、砂糖にL-アラビノースを添加した血糖値が気になる方のお砂糖として、特定保健用食品の認可を取得。*
砂糖のおいしさを大切にした“血糖値が気になる方の甘味料で唯一のトクホ”。冷たい飲み物などにもサッと溶ける顆粒状。
* GI(グリセミック指数)は、ブドウ糖を摂取した後の血糖上昇率を100として、それを基準に食品ごとの血糖上昇率をパーセントで表した数値。この数値が低いほど、血糖値はゆっくり上昇すると考えられている。
研究では、健常な男女に対してショ糖単独とL-アラビノース添加ショ糖を投与し、2時間後にL-アラビノースを含まないショ糖入りの市販羊かんを摂取した場合の血糖推移について検討した。その結果、L-アラビノースを摂取したグループは、摂取していないグループに比べて食後の血糖値が有意に低い値を示した。
また、新たな知見として、動物試験ではL-アラビノースはショ糖、スクラーゼとともに複合体を形成し、スクラーゼ阻害を維持延長させる可能性が認められた。ショ糖とL-アラビノースを投与すると、それぞれを単独で摂取した場合より緩やかに流れて腸管内を滞留する(小腸では摂取量の30%に相当する)ことを示唆する結果が得られた。
今回の臨床試験や動物試験の結果は、L-アラビノースの「セカンドミール効果」を示唆している。このセカンドミール効果は数時間後まで持続するという。例えば、3回の食事にL-アラビノースを使うと、間食(おやつ)や夜間の食事などに含まれる砂糖(ショ糖)に対しても、セカンドミール効果が持続するとみられる。今後、研究が進んでいくと、さまざまなシーンで嬉しい結果を期待できそうだ。
(L-アラビノースのセカンドミール効果は2007年、2010年の日本栄養・食糧学会での発表内容に基づく)
* | 健常成人15名を対象に実施した試験によると、アラビノースを摂取した群は摂取しなかった群(対照群)に比べ、摂取15分後の血糖値が有意に低い値を示し、砂糖の吸収目安となる血糖濃度下面積の比較では、吸収を約40%抑制することが確認された。 |
L-アラビノースの機能性とその利用分野
ジャパンフードサイエンス Vol.49 No.11 2010 pp.67-71
血糖値が気になる方のお砂糖「アラビノシュガー」(日清オイリオ)
[ mhlab ]
日本医療・健康情報研究所