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2008年07月23日

世界で子供の肥満が増加 先進国で進められる対策

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 子供の肥満増加は、日本を含め、いまや世界的な課題になった。子供のうちから生活習慣を改善しないと、将来に2型糖尿病などの増加につながる。世界各地で対策が進められている。
 
米国で子供の運動量が低下
 米国で成人だけでなく子供の肥満も増えている。米国立衛生研究所(NIH)の調査などによると、過去20年間で過体重の子供の割合は、6歳から11歳の6.5%から18.8%に、12歳から19歳では5.0%から17.4%に増加した。

 全米各地の9歳から15歳までの子供の運動習慣を調査したカリフォルニア大学サンディエゴ校の小児医学の研究者らの発表によると、米国の15歳の子供の1日の運動時間は大幅に減っている。この調査は、2000年から2006年にかけて全米10都市で、1000人を越える子供や若者を対象に運動習慣などを調べたもので、「米医師会雑誌(JAMA)」に発表された。

 身体活動を分ごとに記録する加速度計を腰にベルトで装着し、子供の平日と週末の活動レベルを計測した。その結果、1日当たりの適度で活発な身体活動に費やしている時間は、9歳の子供では平日と週末を合わせて平均3時間だったが、15歳では49分35分に減り、週末に限ると35分に減少することがわかった。

 この年齢層の子供は毎日、サイクリングやウォーキング、水泳など「中度から強度の運動」を最低60分行うことが勧められている。その基準を満たしている子供は15歳では平日で3割程度で、週末にはさらに減少した。

 研究者らは「10代のうちから運動不足で肥満傾向があると、高血圧、高コレステロール血症、2型糖尿病の発症リスクが高まる」と話している。

EUで子供の肥満対策 野菜や果物を学校に配布
 欧州連合(EU)の加盟国では、2200万人の子供が過体重だという。肥満の子供は500万人以上で、毎年40万人ずつ増えている。そこでEUは今年7月に、通学している子供の野菜や果物の摂取を増やそうと、学校に青果物を無料配布する計画を発表した。年間に9000万ユーロ(約152億円)の費用をかけ、加盟各国で共同で子供の食生活の改善を促す。

 肥満や、心疾患や2型糖尿病などの生活習慣病の発症は、加齢とともに増える。野菜や果物を十分にとり、子供のうちから健康的な食事を続けることが予防につながる。WHOは1日に400gの青果物をとることを勧めているが、欧州では野菜の摂取量は低下している。

 欧州委員会のフィッシャーボエル 農業・農村開発委員は「野菜や果物をあまり食べない子供が増えている。そうした子供たちは、野菜や果物がおいしいことを知らない。子供の頃から良い食習慣を身につけることは重要だ」と話している。

 欧州で行われた研究では、健康的な食習慣は幼年期に形成されることが確かめられた。幼年期に青果物を多く食べていた人は、成人してからも健康的な傾向がある。逆にあまり食べない人は食習慣を変えることが少なく、自分の子供にも野菜を食べさせない場合が多い。また、低収入層では青果物の消費が少ない傾向があることも示された。こうした食品の学校への配布は、特に低所得層の多い地域で効果を生むだろうと予測されている。

日本でも子供の肥満は増加
日本の肥満傾向児の割合

平成19年度学校保健統計調査より
 日本の子供を対象にした調査でも、肥満の増加が報告されている。2007年の「学校保健統計調査」では、肥満傾向児の割合が男子では9歳から17歳で10%を超え、女子では11歳から17歳で9%を超えた。要因として子供の食習慣の変化が指摘されている。

 2005年の「国民健康・栄養調査」によると、小学校4年生から6年生で「子供だけで朝食を食べている」子供の割合は1988年は29%だったが、2005年には40%に増えた。また、夕食を遅い時間に食べる子供の割合が増えており、夕食を夜7時以降に食べる子供は1988年は37%だったが、2005年には46%に増えた。

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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