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2008年04月01日

【2008年度診療報酬改定】 糖尿病フットケアの算定を新設

 厚生労働省は、診療報酬の算定方法に関する都道府県等宛ての通知を3月5日付けで公表した(3月28日に一部訂正を公表)。
 公布された平成20年度診療報酬改定の改正省令・告示などの一覧表が示されている。これらはすべて4月1日から施行される。

   今回の改定について、わかりやすく要約した文書も公表した。糖尿病に関連した主な項目は次の通り
生活習慣病管理料
 「生活習慣病管理料」は、患者の自己負担額を下げ広く普及させる考えから、今回の改定で点数が下げられた。インスリン療法を行っていない2型糖尿病患者に血糖自己測定に基づき指導を行った場合の加算が新設された。
B001-3 生活習慣病管理料
 生活習慣病管理料は、脂質異常症、高血圧症又は糖尿病を主病とする患者の治療においては生活習慣に関する総合的な治療管理が重要であることから設定されたものであり、治療計画を策定し、当該治療計画に基づき、服薬、運動、休養、栄養、喫煙及び飲酒等の生活習慣に関する総合的な治療管理を行った場合に、許可病床数が200床未満の病院及び診療所である保険医療機関において算定する。
診療報酬算定
厚労省サイトの掲載ページ
診療報酬の算定方法
第2章
 医学管理等 PDFファイル
B001-3 生活習慣病管理料
1 保険薬局において調剤を受けるために処方せんを交付する場合
イ 脂質異常症を主病とする場合 650点
ロ 高血圧症を主病とする場合 700点
ハ 糖尿病を主病とする場合 800点

2 1以外の場合
イ 脂質異常症を主病とする場合 1,175点
ロ 高血圧症を主病とする場合 1,035点
ハ 糖尿病を主病とする場合 1,280点

注3 糖尿病を主病とする患者(2型糖尿病の患者であってインスリン製剤を使用していないものに限る。)に対して、血糖自己測定値に基づく指導を行った場合は、年1回に限り所定点数に500点を加算する。

(9) 「注3」に規定する加算については、中等度以上の糖尿病(2型糖尿病の患者であってインスリン製剤を使用していないものに限る。)の患者を対象とし、必要な指導を行った場合に1年に1回に限り算定する。なお、中等度以上の糖尿病の患者とは、当該加算を算定する当月若しくは前月においてヘモグロビンA1c(HbA1c)が8.0%以上の者をいう。
(10) 「注3」の加算を算定する患者に対しては、患者教育の観点から血糖自己測定器を用いて月20回以上血糖を自己測定させ、その検査値や生活状況等を報告させるとともに、その報告に基づき、必要な指導を行い療養計画に反映させること。
血糖自己測定器加算
 1型糖尿病患者について、頻回の血糖の自己測定が求められる患者が多いことから、血糖自己測定器加算について見直しが行われた。血糖自己測定の月100回、120回の加算を新たに設け、インスリン療法を長期続けている患者では、3カ月分をまとめて算定できるようになった。
診療報酬算定
厚労省サイトの掲載ページ
診療報酬の算定方法
第2章
 在宅医療 PDFファイル
C150 血糖自己測定器加算
  1 月20回以上測定する場合 400点
  2 月40回以上測定する場合 580点
  3 月60回以上測定する場合 860点
  4 月80回以上測定する場合 1,140点
  5 月100回以上測定する場合 1,320点
  6 月120回以上測定する場合 1,500点
糖尿病合併症管理料
 「糖尿病足病変」は重点的に指導すれば発症を予防できることから評価が新設された。
診療報酬算定
厚労省サイトの掲載ページ
診療報酬の算定方法
第2章
 医学管理等 PDFファイル
B001 特定疾患治療管理料
20 糖尿病合併症管理料 170点
注1 別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして地方社会保険事務局長に届け出た保険医療機関において、糖尿病足病変ハイリスク要因を有し、医師が糖尿病足病変に関する指導の必要性があると認めた入院中の患者以外の患者に対して、医師又は医師の指示に基づき看護師が当該指導を行った場合に、月1回に限り算定する。
2 1回の指導時間は30分以上でなければならないものとする。

(1) 糖尿病合併症管理料は、次に掲げるいずれかの糖尿病足病変ハイリスク要因を有する入院中の患者以外の患者(通院する患者のことをいい、在宅での療養を行う患者を除く。)であって、医師が糖尿病足病変に関する指導の必要性があると認めた場合に、月1回に限り算定する。
  ア 足潰瘍、足趾・下肢切断既往
  イ 閉塞性動脈硬化症
  ウ 糖尿病神経障害
(2) 当該管理料は、専任の常勤医師又は当該医師の指示を受けた専任の常勤看護師が、(1)の患者に対し、爪甲切除(陥入爪、肥厚爪又は爪白癬等に対して麻酔を要しないで行うもの)、角質除去、足浴等を必要に応じて実施するとともに、足の状態の観察方法、足の清潔・爪切り等の足のセルフケア方法、正しい靴の選択方法についての指導を行った場合に算定する。
(3) 当該管理料を算定すべき指導の実施に当たっては、専任の常勤医師又は当該医師の指示を受けた専任の常勤看護師が、糖尿病足病変ハイリスク要因に関する評価を行い、その結果に基づいて、指導計画を作成すること。
(4) 看護師に対して指示を行った医師は、診療録に看護師への指示事項を記載すること。
(5) 当該管理を実施する医師又は看護師は、糖尿病足病変ハイリスク要因に関する評価結果、指導計画及び実施した指導内容を診療録又は療養指導記録に記載すること。
平成20年度診療報酬改定に係る通知等について(厚生労働省)

関連情報
 糖尿病の医療費などについてわかりやすく解説している。
糖尿病の医療費・保険・制度(糖尿病NET)

診療報酬
 公的医療保険を使って医師にかかったときの医療行為に支払われる公定価格のこと。内容ごとに細かく点数化されており、1点10円で計算される。治療や検査などの診療行為や調剤などに対し、患者は原則3割を負担し、患者が加入する医療保険が残りを病院などに支払う。
 診療報酬は、厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会の審議を経て、ほぼ2年に1度のペースで改定されている。

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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