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2008年03月18日

都市環境が肥満や糖尿病に影響 カナダ・米国の調査

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 肥満や2型糖尿病などの生活習慣病の発症に都市環境が影響するという研究結果が発表された。治安や都市整備の悪化は、住民の栄養摂取や肥満増加に影響するという。

 この研究は、アルバータ大学(エドモントン州)の健康プロモーション研究センター長のキム・レイン博士の研究チームが、カナダ健康情報研究所(Canadian Institute for Health Information)の助成を受けて行ったもの。カナダ、米国、オーストラリアで実施された355件の研究を検証しまとめた。

都市環境と健康的な体重に関する研究報告
(カナダ健康情報研究所、英文)
 北米で過去20年間に肥満者の割合が急速に高くなっており、健康的な生活習慣や肥満対策を促進する有効なアプローチが求められている。レイン博士らは北米の低所得層の多い地域で成人と子供の肥満と食生活の関連について調査した。

 その結果、所得の低い世帯では食品の入手しやすさに制限があり、ファーストフードなど高エネルギーの食品を選ぶ傾向があることがあきらかになった。より健康的な食材が並ぶスーパーマーケットへのアクセスが難しく、自動車で移動することが多い郊外では運動不足から肥満が増えるという。

 「都市環境が個人の運動や栄養摂取、体重に深く関わっている。家族のために健康に良い食品を買いたいと思っても、そうした食品を扱っている小売店は家から遠く離れていて、価格も高い。一方で近くにファーストフードの店がたくさんあり、安く利用できるとしたら、賢明な選択をするのは難しくなる」とレイン博士は述べている。

 「肥満の対策を講じるうえで、環境の整備を考えることも必要であり、アクセスしやすい住宅周辺にレクリエーション施設をつくったり、歩道を整備し歩きやすくすることが、生活習慣の改善を支援するのに有効だ」。

 街路の歩きやすさには、住宅の密集度、混成の度合い、街路の接続性などの要素がからんでくる。住宅が疎らだと、乗用車の利用が増え、運動量が低下する傾向がある。また、低所得層が多い地域では、健康的な食生活を扱うスーパーマーケットを誘致するため、税制上の優遇措置を与えることなども必要になるだろうと指摘している。

都市計画と肥満率の増加(アルバータ大学、英文リリース)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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