ニュース
2007年11月28日
75年へ希望つなげる 「リリーインスリン50年賞」発表
- キーワード
受賞した工藤茂雄さん(右)、 中村圀子さん(左) 中央はニコール・ジョンソンさん ![]() ![]() |
中村さんは16歳で1型糖尿病を発症し、主婦として家事、育児をしながら仕事も続けた。患者会でも積極的に活動しているという。
表彰式ではスペシャルゲストとして、ニコール・ジョンソンさんが花束贈呈を行った。ニコールさんは19歳で1型糖尿病を発症したあと、1999年度ミス・アメリカに選ばれた。糖尿病療養への取り組みや意識向上に向けた活動などを通じて、糖尿病の国際的なスポークスマンというべき立場を務め、またジャーナリストとしても活躍している。現在は糖尿病と妊娠についての書籍を準備しているという。
当日は受賞した工藤さんの担当医である小坂樹徳・東京大学名誉教授、岩本安彦・東京女子医科大学糖尿病センター センター長、中村さんの担当医である濱ひとみ・新潟県立新発田病院医師らが講演し、「ぜひ75年のお祝いまで長生きして欲しい」と祝福の言葉を贈った。
ニコール・ジョンソンさんの講演 「糖尿病であっても何でもできる、いろいろなことに挑戦したい」 ![]()
ニコールさんは米国国立保健研究所の患者代表会議や、米国糖尿病協会の患者団体などでの活動や、講演や執筆活動を積極的に展開している。昨年2月に女児を出産。
|

インスリンは1921年にカナダの医学者フレデリック・バンティングとチャーチル・ベストによって発見された。1923年にイーライリリーが世界初のインスリン製剤「アイレチン」を開発・発売した。
現在では病態に合わせたさまざまなインスリン製剤が開発されており、注入器も利便性の高いものが開発され、患者の負担は軽減されている。しかし今回の受賞者が治療を始めた頃は、超速効型インスリンはおろか、ヒトインスリンもなかった。血糖自己測定もなく、血糖値をリアルタイムに知ることはできなかった。インスリン療法の患者の負担や苦労は、現在とは比較にならないほど大きかった。
授賞式で、工藤さんは「インスリン注射以外は普通の人と変わらない生活ができる。インスリン療法を行い、健康に気を配ってきたおかげで、いまは同年代では自分が一番元気ではないかと気づくこともある」と話し、中村さんは「1型糖尿病と診断されたときには、結婚もしないだろうと思っていたが、理解ある夫に出会い子供は宝物になった」と話した。
●Diabetes.co.jp 日本イーライリリー(株)
●Nicole Johnson.com(英文)