米国では子供の肥満が増えており、将来に2型糖尿病などの増加につながると問題視されている。米国厚生省疾病管理・予防センター(CDC)の発表によると、米国でBMI(肥満指数)値が30以上の肥満の子供の割合は16%に上り、1988〜94年(11%)から5ポイント増加した。
子供の肥満対策が本格化
全米の青少年を対象とした調査「SEARCH」では、全米の20歳未満の青少年の糖尿病診断率は0.18%だったことがあきらかになった。同調査は青少年の糖尿病について調べた大規模調査で、米国の主な人種を対象とした調査としては最大規模のものとされる。調査結果について、医学誌「Pediatrics」(小児科学)10月号で発表され
た。
調査によると、2001年に全米の青少年約8,100万人のうち約15万4,000人が糖尿病だった。9歳までの小児では1型糖尿病と診断されるケースがほとんどだった。10歳以上19歳以下の青少年では、どの人種でも2型糖尿病がみられたが、やはり1型糖尿病が多かった。この年齢層の糖尿病の診断率は、白人の青少年で0.32%、黒人で0.3%、ヒスパニック系で0.22%、アジア・太平洋諸島系で0.13%だった。
こうした状況を受け、子供の肥満対策を打ち出す企業や業界団体が増えている。米国飲料協会(ABA)は今年5月に、公立小中学校でコーラなどのエネルギー量、糖質、脂質の多い清涼飲料水の発売を全面的に停止すると発表した。ABAにはコカ・コーラ、ペプシコなど清涼飲料大手が加盟し、学校での飲料売り上げの87%を占めている。米国では子供の肥満が増えており、学校の自動販売機や食堂で、子供が清涼飲料を簡単に買えることが一因とされていた。
2008年の新学期から全米の75%の学校で販売をやめ、翌年の夏休み後の新学期から全面停止する。炭酸飲料などの販売を禁止するほか、ミネラルウォーターや果汁100%ジュース、低脂肪の乳飲料などを許可し、低エネルギーのダイエットコーラなどは高校から販売を許可するという。
また、米国のレジャーランドやメディアなどの大手のウォルト・ディズニーは、レストランの子供向けメニューを見直し、肥満予防のために脂肪や砂糖の量を制限する基準を導入すると
発表した。ディズニーランドなどのレストランで10月から、油で揚げたフライドポテトや炭酸飲料の販売をやめ、低脂肪乳や果汁100%のジュース、ニンジンなどの野菜を増やしたメニューに切り替える。
新基準では脂肪分を総エネルギーの30%以下、砂糖を同10%以下にする。今後はミッキーマウスなどディズニーのキャラクターを使ったお菓子などにも適用するという。新基準の導入は当面は米国内にとどめるが、今後は世界的に広めていく方針だ。
Pediatrics(概要/英文)
ウォルト・ディズニー・カンパニー(プレスリリース/英文)
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清涼飲料水は子供の肥満につながる 米小中学校で販売停止へ
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所