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2006年10月12日

サプリメントは本当は良い?悪い? (2)

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 糖尿病ネットワークが行った医療スタッフ対象のサプリメントについての調査では、糖尿病患者からの相談について、「よく受ける」が7%、「ときどき受ける」が54%で、6割以上が医療の現場で相談をもちかけられていることが示された。

患者がサプリメントを利用することを
医療スタッフはどうみているか
 糖尿病患者がサプリメントを利用する良い点として、医療スタッフの45%が「健康意識の向上に役立つ」と回答した。それ以外にも「病識向上にもつながる」(薬剤師)、「自己管理の意識向上に役立てばよい」(看護師)、「カルシウムなど食事で足りない栄養素を補う目的ならよい」(管理栄養士)、「精神的な癒し効果があるのでは」(看護師)といった意見がみられた。

 サプリメント利用で懸念される点としては、「効果が不明」(33%)、「治療を中断するおそれがある」(29%)、「治療効果を悪化させるおそれがある」(20%)という意見が多く、「サプリメントに頼り治療をおろそかにする」(管理栄養士)、「有効性が確認されていないものが多い」(医師)、「安全と思い込んでいる」(薬剤師)、「有害なものや不当に高価なものもある」(医師)といった意見も多くみられた。

 相談を受けた場合の指導については、「糖尿病の治療内容や状況によって個別に判断する」が70%と最も多く、サプリメントの利用を「やめるように勧める」と回答した人は9%と少なかった。具体的には、「服用中の治療薬との相互作用について」(薬剤師)、「利用する前に相談して欲しい」(看護師)といった意見が多かった。

日本臨床内科医会の調査

 日本臨床内科医会が昨年12月から今年2月にかけて、会員医師1,663人を対象に行ったサプリメントについての調査では、「患者さんから質問されることはありますか?」という質問については、「よくある」と回答したのが17%、「たまにある」が61%で、約8割が患者からサプリメントについて質問されていることが分かった。

 患者からの質問の内容は、「特定のサプリメントの効果」、「医薬品との相互作用」が多く、次いで「疾患に対する効果」、「安全性(副作用)」が多かった。

 「今後サプリメントを診療に取り入れていれるか?」という質問では、「取り入れるつもりはない」と回答した医師が6割に上り、診療に取り入れる条件として、「信頼できるエビデンス」、「情報の充実」、「価格」、「メーカーの信頼性」、「品質の良さ」などが挙げられた。


» 糖尿病患者はサプリメントを利用することを、どう感じているか。
利用すると良いことがあるのか
サプリメントに対し肯定的な意見も
 栄養素をバランス良くとることが健康的な食事の基本だ。多様な食品を組み合わせ栄養素を少しずつとるよう工夫することが大切で、糖尿病の食事療法は必要な栄養素や食物繊維を過不足なくとれるように考えられてある。しかし、現実には毎日の食事だけでは必要な栄養素をとれないという人も多い。

 「国民健康・栄養調査」によると、例えば食物繊維、抗酸化ビタミンなどについては、循環器疾患やがんなどの予防に効果的と考えられており、これらの栄養素を摂取するために野菜や果物を十分にとることが必要だが、若年成人では摂取不足の傾向が続いている。若年女性では、約半分が鉄の摂取が不足している。さらに、カルシウムについては成人で1日あたり600〜700mgの摂取量が必要とされるが、若年成人では不足している。

 糖尿病で食事療法を行っている患者、特に蛋白質の摂取制限のある患者では、亜鉛やマグネシウムが不足しやすくなる。また海外で、高脂血症治療薬で治療を行っている患者では、コエンザイムQ10を服用することで血液中の脂質が改善したという研究も報告されている。

 動脈硬化の危険因子として、糖尿病、肥満、高血圧、高脂血症、喫煙などに加えて、ホモシステインが新たに注目されている。ホモシステインはアミノ酸の一種で、増え過ぎると血管内皮が傷めつけられ、動脈硬化が進みやすくなる。ホモシステインの産生は、ビタミンB12やビタミンB6により抑えられる。サプリメントでこれらを補うことが可能ではないかという報告もある

 先に紹介した日本臨床内科医会の調査でも、質問を受けた医師の約3割はサプリメントについて「治療を補助するものと考えている」と回答し、約2割は「予防の役割は大きい」、「医療が関与できれば利用も考える」と回答し肯定的な意見を示した

 毎日の食事で必要な栄養素をとれていない人が、不足分を補う目的でサプリメントを利用するのは有効である可能性があるが、まず足りていない栄養素が何で、補充するためにどんな方法が良いかを事前に確かめることが大切のようだ。また、サプリメントや健康食品の成分や素材に関する有効性、安全性についての情報も知っておきたい。そのためには、医師、薬剤師、管理栄養士などの医療スタッフのアドバイスが欠かせない。

参考文献:日臨内ニュース, 第70号, 1-2, 2006.

サプリメントや健康食品に関する情報を入手できるサイト
「健康食品」の安全性・有効性情報 (国立健康・栄養研究所)
健康食品の国内外の安全性情報や、国内外の医学論文を元にした評価を掲載。

東京都 食薬インフォベース (東京都福祉保健局)
健康食品を利用する際の注意点などを解説。

サプリメントデーターベース (日本サプリメント協会)
医師や研究者らによる解説や注意点などを紹介。


関連情報

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マグネシウムがメタボリックシンドロームのリスクを低下させる
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アンケート「サプリメント」(糖尿病情報BOX&Net.)

[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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