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2006年10月09日

子供の肥満増加は深刻 日米の取組み

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 米国や日本で子供の肥満の増加している。それぞれ政府や地域の機関などが対策が進めているが、実際的な効果に結びついていないという現状が伝えられている。
米国で子供の肥満が増加 対策は進まず
 米国医学研究所(IOM:Institute of Medicine)は、子供の肥満防止を目指し2004年から2年間実施されてきたさまざまなプログラムの成果について報告書を発表した。それによると、米国の子供の17%が肥満とされ、今後10年で子供の5人に1人が肥満児になる可能性があるという

 成長期にある子供でも、肥満は脂肪の過剰な蓄積につながり、糖尿病や動脈硬化性疾患などを引き起こす危険が高まるので深刻だ。報告書では、政府の肥満防止対策が進んでおらず、予算も足りていないと指摘されている。

 肥満予防プログラムは、肥満傾向にある子供を対象に、保護者、学校、地域社会、食品産業、政府が連携して取り組む内容になっている。肥満予防には健康的な食事と運動の習慣が必要だという認識を定着させることが重要で、そのためには行政や地域、企業だけではなく、社会全体に変化を起こすことが必要と結論付けている。

菓子や飲料水のコマーシャルが子供の肥満を誘発
 IOMの昨年12月の発表によると、菓子や飲料水などの食品のコマーシャルが子供の肥満を誘発している可能性が高い。IOMは食品業界に自主規制を求めると同時に、政府に指導を求める調査報告書を発表した

 報告書は、栄養学、心理学、メディアなどの専門家が、子供の肥満に関する研究や企業情報など123文献を分析してまとめたもの。ここでも、政府の指導力が不足しているため現状改善に迅速に対応できていないと指摘している。

 それによると、子供向け食品の米国での2004年の広告費は110億ドル(約1兆3,000億円)で、うちテレビCMが50億ドル(約6,000億円)に達したという。多くが高エネルギー、高脂肪の食品で、子供に勧められるものではないという。

日本でも子供の肥満は深刻な問題
 米国ほどではないが、日本でも子供の肥満が増えている。

 文部科学省が発表した「平成17年度学校保健統計調査」で、学校の定期健診で「肥満傾向児」と診断された子供(6〜14歳)は、1977年に比べ1.5倍から2倍(男女平均)に拡大したという結果が出た。

 調査は、全国の公立小中学校の児童・生徒を対象に昨年4月から6月にかけて実施された健康診断を基に集計。性別・年齢別に身長別平均体重を求め、その平均体重の120%以上の児童を「肥満傾向児」とした。

 親の世代が小中学生だった時期を30年前の1977年度と想定し、子供の世代と親の世代を比べその現状を確かめたところ、男女ともに全年齢で肥満傾向と判定された児童が増えていた。最も差があったのは12歳で、今年度が10.42%だったのに対し、親世代は6.64%だった。

 内臓脂肪型肥満であると見た目では肥満と分かりにくい場合があるので、肥満傾向の児童は実際にはもっと多いだろうと考えられている。糖尿病と関連の深い肥満の増加が国民全体で指摘される中、小中学校の段階から肥満対策を進めていく必要性があらためて示される結果となった。

●詳しくは米医学研究所のサイトへ(英文)
○報告書:小児の肥満予防の進歩
 Report Release: Progress in Preventing Childhood Obesity: How Do We Measure Up?
○子供と若者の食品市場
 Food Marketing to Children and Youth: Threat or Opportunity?


関連情報

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[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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