糖尿病セミナー
4. 高齢者の糖尿病
2016年11月 改訂
監修
東北大学名誉教授 後藤由夫先生
編集
地方独立行政法人
東京都健康長寿医療センター理事長 井藤英喜先生
このページは、高齢者(65歳以上)の糖尿病患者さん向けのものです。高齢になってから糖尿病になられた方、また、それ以前に糖尿病になられた方が老年期をむかえられた場合、どんな点に気をつけたらよいかを述べます。
高齢の糖尿病患者さんが増えています
糖尿病になる人数は、年齢とともに増加しますが、最近の調査では、60歳を超えると5〜6人に1人が糖尿病という、驚くべき数字です。また、加齢とともに、糖尿病性の合併症が多くなり、さらに動脈硬化などの病気も出てくるため、一人でいくつもの病気に苦しむ人が増えます。その一方で、若い人と変わらない元気さをもつ軽度な患者さんもいるわけで、一口に高齢者の糖尿病といっても治療法は、患者さん一人一人の病状と、個人的な生活背景も考慮したきめの細かい工夫が必要です。
次項に、高齢者の糖尿病の特徴を、項目別に挙げてみました。
高齢者の糖尿病の特徴
(1) 糖尿病の罹病期間(糖尿病になって何年たったか)や、それまでの治療、生活様式などによる、病状・体力の個人差が大きい。(2) 膵臓からのインスリンの分泌と、末梢組織での効き方(インスリンの感受性)の両方が加齢とともに低下し、血糖値が高くなる。
(3) 網膜症や腎症、神経障害などの糖尿病性の合併症の頻度が高くなる。また加齢とともに動脈硬化やがん、認知症になったり、日常生活動作(ADL)が低下したりしやすく、多病の人、要介護の人が増える。
(4) 腎臓の働きが低下して、尿糖が血糖値の割に少なくなる。また、薬剤が体内に蓄積しやすくなる。
(5) 体力・筋力が低下し、運動療法に加減が必要になりやすい。また、転倒や骨折の危険が増える。
(6) 低血糖が起こりやすく、かつ低血糖の特徴的な症状が現れにくくなるため、対処が遅くなりがち。
(7) 認知機能の低下が起こりやすく、糖尿病の治療に支障が出でくる人が多くなる。
(8) 自覚症状を「年のせい」にして見すごしたり、あきらめたり、家族へ遠慮したりと、治療への意欲が低いことがある。
(9) それまでの生活習慣を、なかなか変えられない。
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糖尿病3分間ラーニングは、糖尿病患者さんがマスターしておきたい糖尿病の知識を、 テーマ別に約3分にまとめた新しいタイプの糖尿病学習用動画です。
- 01. 糖尿病とは「基礎編」
- 02. 食事療法のコツ(1) 基礎
- 03. 運動療法のコツ(1) 基礎
- 04. 高齢者の糖尿病
- 05. インスリン療法(2型糖尿病)
- 06. 血糖自己測定とは
- 06_1. 生活の中にどう生かす血糖自己測定 『生活エンジョイ物語』より
- 07. 肥満と糖尿病
- 08. 小児の糖尿病(1) 基礎
- 09. 薬物療法(経口薬)
- 10. 糖尿病生活Q&A
- 11. 糖尿病用語辞典(より簡潔に)
- 12. 病気になった時の対策 シックデイ・ルール
- 13. 結婚から、妊娠・出産
- 14. 糖尿病による腎臓の病気
- 15. 糖尿病による失明・網膜症
- 15_1. 眼科医からみた失明しないためのアドバイス 『生活エンジョイ物語』より
- 16. 糖尿病と脳梗塞・心筋梗塞
- 17. 足の手入れ
- 18. 糖尿病による神経障害
- 18_1. 糖尿病からの危険信号神経障害 『生活エンジョイ物語』より
- 19. 糖尿病の検査
- 20. 低血糖
- 21. 食事療法のコツ(2) 外食
- 22. 糖尿病の人の性
- 23. 口の中の健康
- 24. 動脈硬化と糖尿病 メタボリック シンドローム(代謝症候群)
- 25. 糖尿病と感染症
- 26. 食事療法のコツ(3) 腎症のある人の食事
- 27. 糖尿病と高血圧
- 28. 小児の糖尿病(2) 日常生活Q&A
- 29. 運動療法のコツ(2) 合併症のある人の運動
- 30. 骨を丈夫に保つには
- 31. 痛風・高尿酸血症と糖尿病
- 32. 糖尿病予備群
- 33. 小児2型糖尿病
- 34. 糖尿病とストレス うつとの関連、QOLの障害