糖尿病Q&A1000
Q.392 新聞などで「コレステロール値を下げても意味はない」と書かれているのを見かけけますが、どちらが正しいのでしょうか?
「日本人の場合、心臓疾患で亡くなる人は欧米よりもずっと少ないからコレステロールが高くても問題ない」とか、「コレステロールが低いと脳出血になりやすい」といった情報が、しばしば流れます。もしこれらが本当だとしたら、高脂血症は病気でなく、無視してよいことになります。
結論からいうと、これらの考え方は断片的な情報としては間違っていませんが、血清脂質が高いすべての人達へ伝えるメッセージとしては、誤解を生じやすく注意が必要といえます。
これまで日本人に心臓疾患が少なかったのは確かですが、それは、現在心臓疾患を起こしやすい年齢層の人が若かったころには、心臓にとてもやさしい和食文化の中で暮らしていたからと考えるのが自然で、子どものころから洋食文化で育ってきた、これから心臓疾患多発年齢に入る人たちも同じだとはいえません。最近の調査では、アメリカの若者より日本の若者のほうが血清脂質が高いことがわかっています。
また、コレステロール値が低い人に脳出血が多い傾向を示す統計があるのも事実ですが、これは、栄養状態が悪いために血清脂質が低くなっている人に脳出血が多いことと、高脂血症の治療で血清脂質を下げることが区別されていないためと考えられます。
もちろん高脂血症の実際の治療では、患者さんそれぞれの身体状況を勘案して治療目標が定められます。ある程度高齢になってから血清脂質が高くなってきた方で、しかも動脈硬化がそれほど進展していないのであれば、血清脂質を下げる必要性はそれほど高くありません。一方、まだ30代、40代の若い方や、動脈硬化の進行が確認されている人の場合、血清脂質を下げたほうがよいことは疑いのないことです。
そして、このページをご覧の方にとって一番大切なことは、糖尿病と高脂血症があると動脈硬化が速く進行し、心臓疾患の発生率が明らかに高くなるということです。
結論からいうと、これらの考え方は断片的な情報としては間違っていませんが、血清脂質が高いすべての人達へ伝えるメッセージとしては、誤解を生じやすく注意が必要といえます。
これまで日本人に心臓疾患が少なかったのは確かですが、それは、現在心臓疾患を起こしやすい年齢層の人が若かったころには、心臓にとてもやさしい和食文化の中で暮らしていたからと考えるのが自然で、子どものころから洋食文化で育ってきた、これから心臓疾患多発年齢に入る人たちも同じだとはいえません。最近の調査では、アメリカの若者より日本の若者のほうが血清脂質が高いことがわかっています。
また、コレステロール値が低い人に脳出血が多い傾向を示す統計があるのも事実ですが、これは、栄養状態が悪いために血清脂質が低くなっている人に脳出血が多いことと、高脂血症の治療で血清脂質を下げることが区別されていないためと考えられます。
もちろん高脂血症の実際の治療では、患者さんそれぞれの身体状況を勘案して治療目標が定められます。ある程度高齢になってから血清脂質が高くなってきた方で、しかも動脈硬化がそれほど進展していないのであれば、血清脂質を下げる必要性はそれほど高くありません。一方、まだ30代、40代の若い方や、動脈硬化の進行が確認されている人の場合、血清脂質を下げたほうがよいことは疑いのないことです。
そして、このページをご覧の方にとって一番大切なことは、糖尿病と高脂血症があると動脈硬化が速く進行し、心臓疾患の発生率が明らかに高くなるということです。
2006年04月27日
※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。
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03-5 そのほかの合併症のQ&A
- Q.361 これまでに出てきた網膜症や腎症、神経障害、動脈硬化以外で、糖尿病と関係のある病気について教えてください。
- Q.362 なぜ感染症にかかりやすくなるのですか?
- Q.363 具体的にはどのような感染症にかかりやすくなるのでしょうか?
- Q.364 感染症の治療に時間がかかるのはなぜですか?
- Q.365 感染症対策はどうすればよいですか?
- Q.366 感染症にかかってしまった場合には、どうすればよいですか?
- Q.367 糖尿病の人は肝炎になりやすいのでしょうか?
- Q.368 糖尿病の人の肝炎治療の注意点などはありますか?
- Q.369 糖尿病と皮膚の病気の関係について教えてください。
- Q.370 皮膚の病気の治療法や注意点を教えてください。
- Q.371 歯周病という病名はよく耳にしますが、詳しいことはよく知りません。どのような病気なのでしょうか?
- Q.372 原因は?
- Q.373 歯周病と糖尿病は、どのような関係にあるのでしょう?
- Q.374 歯周病の症状は?
- Q.375 進行するとどうなりますか?
- Q.376 早い段階で見つける方法はありませんか?
- Q.377 歯周病対策を教えてください。
- Q.378 糖尿病がある場合に、歯周病の治療に注意点などはありますか?
- Q.379 骨粗鬆症というのは、骨がスカスカになってもろくなる病気のことですね。
- Q.380 なぜ骨折しやすいということだけで“病気”と診断し、治療するのでしょうか? 実際に骨折してしまった人だけに治療すればいいように思いますが…
- Q.381 骨折が起きるまでは、症状はなにも現れないのでしょうか?
- Q.382 骨粗鬆症の原因はなんですか?
- Q.383 骨量の減少が加速されたり、最大骨量が少なくなる原因を教えてください。
- Q.384 糖尿病は骨粗鬆症とどのような関係があるのですか?
- Q.385 骨粗鬆症対策を教えてください。
- Q.386 糖尿病がある場合に、骨粗鬆症の治療に注意点などはありますか?
- Q.387 転倒防止対策を教えてください。
- Q.388 高脂血症は動脈硬化のQ&Aで、「動脈硬化の危険因子」との話がありましたが、糖尿病の合併症としても起きる病気なのですか?
- Q.389 脂質代謝とは?
- Q.390 高脂血症の検査で示される、コレステロールや中性脂肪の値には、どんな意味があるのでしょうか?
- Q.391 高脂血症と診断される検査値、治療の目安となる検査値を教えてください。
- Q.392 新聞などで「コレステロール値を下げても意味はない」と書かれているのを見かけけますが、どちらが正しいのでしょうか?
- Q.393 高脂血症治療のための生活改善とは?
- Q.394 卵のようなコレステロールの高いものは食べないほうがよいと、聞きましたが…
- Q.395 からだに油がつきにくいという調理油が販売されていますが、効果のほどを教えてください。
- Q.396 そのほか、コレステロール値を下げる食事について、なにかよいアドバイスなどありませんか?
- Q.397 高脂血症の薬について教えてください。
- Q.398 高血圧については腎症のQ&Aや動脈硬化のQ&Aで何度も出てきましたが、このふたつの病気はどういう関係があるのでしょうか?
- Q.399 糖尿病がある場合の高血圧は、どのように治療するのですか?
- Q.400 高血圧の薬について教えてください。
- Q.401 痛風とは、「風が当たっただけで激しく痛む」という病気ですね。
- Q.402 高尿酸血症とはどんな病気ですか?
- Q.403 糖尿病と痛風・高尿酸血症は、どんな関係があるのですか?
- Q.404 糖尿病で血糖コントロールが高いからといって、痛風や高尿酸血症になるわけではないのですね。
- Q.405 耐糖能障害や糖尿病と高尿酸血症を併発すると、なにか問題があるのですか?
- Q.406 尿酸値はどのくらいにすればよいのですか?
- Q.407 高尿酸血症や痛風の治療法について教えてください。
- Q.408 高尿酸血症や痛風の生活療法とは?
- Q.409 プリン体の摂りすぎがよくないと聞きましたが…
- Q.410 高尿酸血症には、どんな薬がありますか?
- Q.411 痛風には、どんな薬がありますか?