いま、1型糖尿病は

2011年11月15日

基本的な4回注射法の落とし穴 夕食が遅くなる

だいぶ、ご無沙汰いたしました。すこし忙しくなりまして、なかなか落ち着いて原稿を書く時間が取れませんでした。また、気づいたことをすこしずつ、皆様と考えてみたいと思います。
 今回は、一番多くの方が行っているインスリン注射法である頻回注射法について、再度考えてみます。
基本的な4回注射法
基本的な4回注射法と書いたのは、基本的には、ということです。
 実際には、1型糖尿病の方はその日によって4回であったり、5回であったりしますので、基本的には4回法であることが多いので、と書きました。

外来で、1型糖尿病のプロ級の方に「何回注射しているの?」と聞いても、「その場に行ってみないとわからない」といわれてしまいます。血糖コントロールの上手な方は、ほとんどそうです。

単位数についても、「今何単位くらい注射しているの」と聞いても、「さあ、行ってみないとわからない」と言われてしまいます。
 ですから、きっと、血糖コントロールの上手な方は、今回書くようなことはすでに解決済みのことでしょう。

食事と食事のインターバルが6時間から7時間の場合
基本的4回注射といえば、毎食前と寝る前ないし朝の4回注射でしょう。
 この方法は、それまでの混合2回注射や混合製剤や速効型製剤を使用した3回法より、画期的に血糖コントロールしやすい方法であることには、何の疑問もありません。

ただし、食事と食事の間が6時間や7時間くらいの場合という条件の下でのみ、疑問の余地がないほどに良い方法、なのですね。

つまり、食前の超速効型や速効型インスリンが切れるころまでに次の食事をするようにすれば、うまくいくわけです。もちろん、その食事前にインスリン注射をします。

食事と食事のインターバルが8時間とか9時間、それ以上の場合
インターバルの時間があけばあくほど、次の食事前の血糖値が上昇してきます。
 1型糖尿病の方は自分のインスリンがほとんどないのでもちろん、2型糖尿病の方も自分のインスリン分泌能が低下しているほど、食前血糖値は上昇します。
 特に、夕食が遅くなるほうが、昼食が遅くなるより血糖値が上昇しがちです。

また、超速効型製剤のほうが速効型製剤より早く切れるため、インスリン抵抗性気味の思春期や20代の1型糖尿病の若者で、特にはっきりと血糖が上昇してくるのがわかります。

どうすればいい?
持続型溶解インスリンないし中間型インスリン製剤を、朝と夕の2回、朝と寝る前の2回注射する場合もあるでしょう。昼と寝る前の2回に、注射している方もいるでしょう。
 このように、どうしてもうまくいかない場合は、基礎インスリンを2回注射することも行います。これでは、基本的4回注射法ではなく、5回注射法になりますね。

昼食前にミックス50製剤とか、70ミックス製剤を使用してみるのも一考です。この場合、比率を考え、超速効型や速効型製剤のインスリン量より単位数を多くします

夕食が遅いのなら、18、19時ごろに軽く食べることも一考です。そして、追加インスリンを2から4単位くらい注射する。ないし、食べなくても速効型インスリンを2単位くらい注射しておいて、帰宅する、などといった方法も、いいと思います。

[ Terahata ]



※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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