ネットワークアンケート
血糖自己測定の「採血(穿刺)」について
血糖自己測定(SMBG)は、血糖値の状態を把握する大切な治療の一つです。しかしながら、毎日続けるのは決して簡単なことではないでしょう。今回は血糖自己測定の中でも特に「採血(穿刺)」に注目して、患者さんの日々の困り事や意見を聞いてみました。
今回のアンケートは、697名(患者さん464名、医療スタッフ233名)にご回答いただきました。糖尿病ネットワークより、国際糖尿病支援基金に お一人50円分、合計34,850円の寄付をおこないましたのでご報告申し上げます。ご協力ありがとうございました。
患者さん・ご家族に聞きました
血糖自己測定の採血の操作で大変なこと1位は「必要な量の血液を出すこと」 そのほか嫌なこと1位は「準備や後片付けが面倒」
測定機器によって必要な血液量は異なりますが、だいたい米粒の半分程度の血液が必要となります。穿刺の(針を刺す)深さが足りないケースや、採血部位が冷えていると血液が出にくい場合があります。何度も同じ場所に穿刺して皮膚が硬く厚くなっている場合も血液の確保が難しいことがあります。今回のアンケート結果からも皆さんが苦労されている様子が伺えました。
自由記述では、「毎回、どの指にするか迷う」「毎日測定して指先が痛い」「指先が硬く採血しにくくなる」「寒い日は血液が出てこない」「低血糖の時に、やり方がわからなくなる」「血を見たくない」といったコメントが寄せられました。
血糖自己測定の採血に必要な操作の中で、難しさや大変さを感じることはありますか?(複数回答可) n=464
必要な量の血液を出すこと
難しさや大変さを感じる操作は特になし
針を廃棄する操作
採血後の消毒や傷口の保護
採血前の消毒
毎回きちんと針を交換すること
しっかりと穿刺器具を採血部にあてる操作
穿刺器具に針を装着する操作
採血前の手洗い
穿刺針のキャップをはずす操作
その他
また、操作以外の点で採血が嫌だと感じることとして「準備や後片付けが面倒」という声がもっとも多くあがったほか、「同じ場所に穿刺し続け、皮膚が固くなった」「採血そのものが嫌だ」「痛みが強い」という声も多く聞かれています。
自由記述では、「血が止まらないときがある」「うっかり血で持ち物を汚すことがある」「穿刺したところが痛む」といった意見があがっていました。
ほかに、採血に関して嫌だと感じることはありますか? 当てはまるものをすべてお選びください。(複数回答可) n=464
準備や後片付けが面倒
同じ場所に穿刺し続け、皮膚が固くなった
採血そのものが嫌だ
痛みが強い
穿刺後に跡が残る
針を刺す瞬間の音や衝撃が怖い
嫌だと感じることは特にない
失敗が多く、針が足りなくなる
穿刺器具の扱いが難しい
その他
穿刺器具で最も大切なポイントは「痛みが少ないこと」
そこで、患者さんに採血に使用する「穿刺器具」で最も大切なポイントを伺ったところ、「痛みが少ないこと」という意見が最も多く、次いで「測定に必要な血液量が確実に得られること」があがりました。「痛み」と「血液量の確保」が、採血時の患者さんの困り事であることがよくわかる結果となりました。
SMBGの穿刺器具について、最も大切なポイントは何だと思いますか? n=464
痛みが少ないこと
測定に必要な血液量が確実に得られること
コスト
持ちやすさ・扱いやすさ
準備や後片付けの容易さ
安全性(針の露出などがない)
特にない
操作が覚えやすく簡単であること
音や衝撃が少ないこと
その他
採血の困り事、患者さんの7割は医師や医療スタッフに相談していない
しかし、こうした採血に関する困り事について、患者さんの7割は、医師や医療スタッフに「相談したことがない」と答えています。その背景には、「しかたがないこと」という諦めや、「採血について医師に相談していいものかわからない」といった思いがあるのかもしれません。ぜひ、医師や医療スタッフの皆さんには、患者さんが抱えている見えない課題の存在も知っていただきたいと思います。
血糖自己測定の採血で困ったことがあった際に、医師や医療スタッフへ相談をしたことがありますか? n=352(困ったことがない112名を除く)
実施時期:2022年 6月
調査方法:インターネット調査
対 象:「糖尿病ネットワーク」「糖尿病リソースガイド」メールマガジン会員
協 力:株式会社三和化学研究所
<回答者の属性>
患者さんやその家族 464 名
病 態:1型糖尿病 198名、2型糖尿病 250名、わからない 10名、その他の糖尿病 6名
※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。
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