ネットワークアンケート
血糖自己測定の「採血(穿刺)」について
医療スタッフに聞きました
患者さんの血糖自己測定時の「採血(穿刺)」について、医療者はどのように認識しているでしょうか。また、指導ではどのような課題があるのでしょう。医師・医療スタッフにうかがいました。
患者さんに慣れていただくのが難しいこと、1位は「必要な量の血液を出すこと」
採血の手技を指導する際、患者さんに慣れていただくのが難しいことは何でしょうか? 今回のアンケートでは「必要な量の血液を出すこと」が最も多く、次いで「しっかりと穿刺器具を採血部にあてる動作」があがっていました。必要な血液量を確保することは、患者さん対象のアンケートからも、患者さんが苦労されていることがわかっています。
血糖自己測定の穿刺の手技を指導される際、患者さんに慣れていただくのが難しいとお感じになるのはどの操作ですか?(複数回答可) n=233
必要な量の血液を出すこと
しっかりと穿刺器具を採血部にあてる操作
穿刺器具に針を装着する操作
穿刺針のキャップをはずす操作
採血前の手洗い
毎回きちんと針を交換すること
針を廃棄する操作
採血後の消毒や傷口の保護
採血前の消毒
指導が難しいと感じる操作は特になし
その他
患者さんの相談事1位は、「失敗が多く、針が足りなくなる」
今回のアンケートに回答してくださった医療者の皆さんのうち、約8割が「患者さんから血糖自己測定の採血について相談を受けることがある」と答えています。具体的に患者さんからはどのような相談を受けているのか聞いたところ、「失敗が多く、針が足りなくなる」「必要量の血液が出ない」「同じ場所に穿刺しつづけ、皮膚が硬くなった」という相談が多いことがわかりました。「採血そのものが嫌だ」という声も聞かれるようです。
患者さんから、血糖自己測定の採血について相談を受けることはありますか?
患者さんからSMBGの採血について、どのような相談がありますか?(複数回答可)n=196(患者さんから相談を受けることがない37名除く)
失敗が多く、針が足りなくなる
必要量の血液が出ない
同じ場所に穿刺し続け、皮膚が固くなった
痛みが強い
指先以外の穿刺部位について
採血そのものが嫌だ
針を刺す瞬間の音や衝撃が怖い
穿刺器具の扱いが難しい
穿刺後に跡が残る
準備や後片付けが面倒
その他
穿刺器具で最も重視するのは「患者さんにとって操作が覚えやすく簡単なこと」
医療者自身も使用する穿刺器具。どんなことが重要視されるのでしょう? 最も多かったのは「患者さんにとって操作が覚えやすく簡単なこと」でした。ほか、「痛みが少ないこと」「測定に必要な血液量が確実に得られること」など、患者さんのニーズとも合致した声が聞こえました。
血糖自己測定の穿刺器具について、最も重視されることは何ですか?
患者から見て操作が覚えやすく簡単なこと
痛みが少ないこと
測定に必要な血液量が確実に得られること
安全性(針の露出などがない)
準備や後片付けの容易さ
コスト
持ちやすさ・扱いやすさ
血糖自己測定器に付属するものなので選択の余地がない
音や衝撃が少ないこと
医療者から見て指導や説明がしやすいこと
その他
4人に1人が、穿刺器具でヒヤリ・ハット経験あり
穿刺器具の取り扱いは、感染症対策の点でも注意が必要です。皆さんは、どのような経験をされているでしょうか。
血糖測定用の穿刺器具の取り扱いで、ヒヤリ・ハットの経験はありますか?
ヒヤリ・ハットの具体的な内容を教えてください。(一部をご紹介します)
- ・患者さんが同じ針を繰り返し使用していた
- ・使用した針がとりはずされておらず、誤って針刺しした
- ・指導中に誤って自分に針刺しした
- ・使用済み針のボックスに、むき出しの針が捨てられていた
- ・一般廃棄物に捨てられていた
- ・インスリン注射針と穿刺用の針の取り違え
- ・穿刺ボタンと、針をはずすボタンを間違えそうになった
- ・針を交換したか心配になるときがある
- ・針が正しくセットされておらず、採血できない
- ・使用済みの針をビニール袋に入れて持参されて危険だった
実施時期:2022年 6月
調査方法:インターネット調査
対 象:「糖尿病ネットワーク」「糖尿病リソースガイド」メールマガジン会員
協 力:株式会社三和化学研究所
<回答者の属性>
医師・医療スタッフ 233 名
職 種:医師 25名、看護師 153名、管理栄養士 6名、薬剤師 31名、臨床検査技師 12名、理学療法士 2名、保健師 1名、その他 3名
※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。
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