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2021年06月18日

女性は食事からメンタルヘルスの影響を受けやすい 不健康な食事は精神的苦痛につながる

 女性は男性よりも、食事によりメンタルヘルスの影響を受けやすいことが、研究で明らかになった。
 食事と運動などの生活スタイルを改善することで、大人の女性は精神的苦痛の負の連鎖を断ち切ることができる。
質の良い食事でメンタルヘルスを改善
 米ニューヨーク州立大学の新しい研究で、女性は男性よりも、食事によりメンタルヘルスの影響を受けやすいことが明らかになった。

 ニューヨーク州立大学健康・ウェルネス研究学部のリナ バーダッチ氏らはこれまで、30歳以上の男女で、食事内容と気分障害は関連があり、質の良い食事がメンタルヘルスを改善する可能性があるという研究を発表している。

 今回の研究では、食事内容を調整することで、気分を改善できるかを確かめるため、30歳以上の男女1,209人を対象に調査を行った。

 参加者に食事と運動、気分についてのアンケートに回答してもらい、食事内容からいくつかのグループに分類し、運動頻度や精神的苦痛などの要素とあわせてメンタルヘルスへの影響を調査した。
女性は不健康な食事の影響を受けやすい
 その結果、女性は男性よりも、メンタルヘルスが食事の影響を受けやすいことが明らかになった。精神的苦痛と運動の頻度は、食事や生活スタイルのパターンに関連しており、メンタルヘルスを改善するために、食事などの生活スタイルを調整することが重要であることを裏付ける結果になった。

 「健康的な食生活や運動習慣と、メンタルヘルスとのあいだに、全般的な関係があります。興味深いことに、不健康な食事パターンを続けていると、精神的苦痛のレベルは女性の方が男性よりも上昇することが分かりました。女性は男性よりも、不健康な食事の影響を受けやすいと考えられます」と、バーダッチ氏は言う。

関連情報
「脳腸相関」は大人の女性でとくに重要
 北米更年期障害学会(NAMS)が発表した、5,800人以上の女性を対象とした研究でも、閉経前の女性のメンタルヘルスは食事と関連が強いことが示されている。

 この研究では、野菜、果物、全粒穀物、大豆類、豆類などの食品から食物繊維を十分に摂っている女性は、うつ病の頻度が少ないことが分かった。

 女性ホルモンであるエストロゲンは、腸内細菌叢からも影響を受けている。食物繊維を十分に摂り腸内細菌のバランスが良くなると、エストロゲンの分泌も改善する可能性が指摘されている。

 エストロゲンが減少している閉経後の女性では、こうした関連はみられなかった。脳と腸が身体にはりめぐらされたネットワークを通して相互に影響しているという「脳腸相関」は、閉経前の女性ではとくに重要である可能性が示された。
ウォーキングで不健康な食事の影響を断ち切る
 「今回の研究や過去の複数の研究にもとづくと、大人の女性の精神的苦痛を軽減するためには、まず食事と運動を健康的にすることを心がけることが効果的であると考えられます」と、バーダッチ氏は述べている。

 「高カロリーで栄養価の悪いファストフードを食べ過ぎたり、朝食を抜く、カフェイン飲料を飲み過ぎる、血糖値の上がりやすい高グリセミック・インデックス(GI)の食品を摂り過ぎるといった不健康な食事スタイルは、女性のメンタルヘルスを改善するという観点からもお勧めできません」。

 キャベツやレタス、ケールなどの新鮮な葉物野菜を食べたり、果物を食べるといった健康的な食事スタイルが、女性のメンタルヘルスを向上するために役立つことも示された。

 研究ではさらに、「ウォーキングなどの運動を習慣として行うことは、ファストフードや高GIの食品の食べ過ぎと精神的苦痛との負の連鎖を大幅に緩和する」ことも分かった。
若い男女を対象とした研究も進行中
 「今回の研究は、成人男女に健康的な食事と運動などの生活スタイルを奨励し、1人ひとりに合わせて食事指導を行う保健指導が、メンタルヘルスを改善するためにも重要であるという共通認識を支持するものです」と、バーダッチ氏は言う。

 研究グループは、30歳未満の若い男女を対象とした研究も並行して行っており、睡眠や食事といった概日リズムに影響する因子や、季節の変化、食事の質や内容といった観点から縦断的調査を行っている。

Women's mental health has higher association with dietary factors(ニューヨーク州立大学ビンガムトン校 2021年6月17日)
Customization of Diet May Promote Exercise and Improve Mental Wellbeing in Mature Adults: The Role of Exercise as a Mediator(Journal of Personalized Medicine 2021年5月19日)
Link Between Dietary Fiber and Depression Partially Explained by Gut-Brain Interactions(北米更年期障害学会 2021年6月6日)
Inverse Association Between Dietary Fiber Intake And Depression In Premenopausal Women: A Nationwide Population-Based Survey(Menopause: The Journal of the North American Menopause Society 2021年2月)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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