ニュース

2020年12月04日

糖尿病の人は「ゆっくり食べる」と肥満リスクが低下 肥満になりやすい3つの食習慣とは?

 2型糖尿病の人では、短時間に多くのエネルギーを摂取する「早食い」は肥満リスクを高めることが、九州大学の研究で明らかになった。
 ゆっくり食べることで、満腹感を得やすくなり、食欲をコントロールしやすくなるという。
 九州大学の研究では、(1)間食、(2)早食い、(3)就寝前の食事の3つが重なると、肥満や内臓脂肪の蓄積のリスクが3倍近くに上昇することも分かった。
 「食事や体重を日記に記録するなど、食生活をふりかえる習慣を身に付け、1つずつでも改善すると、肥満リスクを軽減できます」と、研究者は述べている。
糖尿病の人は「ゆっくり食べる」と肥満リスクが低下
 「早食い」や「朝食をとらない生活」は、2型糖尿病のリスクを上昇させることが知られている。

 とくに肥満のある2型糖尿病の人では、短時間に多くのエネルギーを摂取する「早食い」や「衝動食い」、また昼食後から夜間にかけての「間食」は、健康悪化のリスクを高めると考えられている。

 九州大学が日本人約6万人を対象とした研究で、2型糖尿病で、早食いになりがちな人は、食物をよく噛んで箸を休めながら食事をすることで、体重を減らせる可能性があることが明らかになっている。

 研究チームは、期間中に2型糖尿病と診断された日本人5万9,717人を対象に、食べる速度と体重の増減との関連を調査した。研究に参加した2型糖尿病患者は、2008~2013年にかけて定期健診を受けており、糖尿病治療薬で治療を受けていた。
ゆっくり食べると、満腹感を得やすくなり、食欲をコントロールできる
 研究グループが解析した結果、食べる速度が速い人は全体の38%、普通の人は55%、ゆっくりの人は7%だった。体格数(BMI)が25以上の肥満の割合は、食べる速度が速い人に比べると、普通の人では29%減少し、ゆっくりの人では42%減少した。食べる速度がゆっくりであるほど肥満のリスクは低下することが明らかになった。

 食べる速度はウエスト周囲径にも影響していた。ウエスト周囲径の平均は、食べる速度が速い人では86.8cm、普通の人では82.8cm、ゆっくりの人では80.1cmで、食べる速度がゆっくりであるほど、お腹周りも引き締まることが分かった。

 「食べる速さがゆっくりであるほど、肥満の割合は減少することが明らかになりました。ゆっくり食べるよう食事のスタイルを変えていくことで、肥満の予防や、肥満による健康リスクを減らせる効果を得られる可能性があります」と、研究者は述べている。

 「食べるのが速いと満腹感が得にくくなり、十分なカロリー摂取をしたにもかかわらず、満腹感を得られるまで余計に食べ続けることになります。反対にゆっくり食べると、満腹感を得やすくなるので、食欲をコントロールし、食べ過ぎを抑えやすくなるのです」。
就寝前の食事は、翌日の朝食の欠食につながり、肥満リスクを高める
 研究では、食べるのが速い人は、就寝の2時間前以降に夕食を摂るなど、食事スタイルが不健康になりがちであることも判明した。食べるのがゆっくりであると、食事スタイルも健康的になる傾向がみられた。

 就寝の2時間前までに夕食を食べている人の割合は、食べる速度が速い人では43%、普通の人では33%、ゆっくりの人では37%だった。

 「就寝前に食事をすると、翌日の朝食も十分に摂れなくなり、肥満のリスクを高めるおそれがあります。長期間にわたって朝食を抜くと、糖尿病の人ではBMIが上昇し、心臓血管疾患のリスクが上昇することが報告されています。朝食をしっかり食べることが、肥満やBMIのコントロールにつながります」と、研究者は指摘している。
「間食」「早食い」「就寝前の食事」の3つが重なると、肥満リスクは3倍近くに上昇
 (1)間食、(2)早食い、(3)就寝前の食事――という3つの習慣があてはまる人は、肥満や内臓脂肪型肥満のリスクが3倍近くに上昇することが、「久山町研究」でも明らかになっている。

 「久山町研究」は、福岡県久山町と九州大学が行っている疫学調査で、久山町の住民を対象に1961年から行われている。40歳以上の住民を対象にした健康診断結果のデータを蓄積しており、日本を代表する精度の高い研究として注目されている。

 今回の研究は、九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野などが発表したもの。研究グループは、2014年に住民健診を受診した40~74歳の久山町の地域住民1,906人のデータを解析した。
食事や体重を記録する日記をつけ、1つずつでも改善すると、肥満リスクを軽減できる
 管理栄養士が、「間食をするか」「他人よりも食べるのが早いか」「就寝前2時間以内に食事をするか」という3つの食習慣について質問。

 その結果、この3つの習慣の、あてはまる数が多い人ほど肥満や腹部肥満が増えることが分かった。1つが当てはまる場合は肥満のリスクが1.53倍に、2つが当てはまる場合は2.62倍に、3つすべてが当てはまる場合は3.65倍にそれぞれ上昇した。

 腹部肥満についても同様で、1つが当てはまる場合はリスクが1.53倍に、2つが当てはまる場合は2.28倍に、3つすべてが当てはまる場合は2.87倍にそれぞれ上昇した。

 糖尿病や肥満の治療では、食事や体重を記録する日記をつけたり、それをもとに食生活をふりかえる習慣を身に付けると、食べ過ぎを抑えやすくなると考えられている。

 「不健康な食習慣が重ならないようにし、1つずつでも修正していくと、肥満や内臓脂肪の蓄積のリスクを軽減できる可能性があります」と、研究者は述べている。

九州大学大学院医学系学府医療経営・管理学専攻
Slow eating speed may be linked to weight loss(BMJ Open 2018年2月12日)
Effects of changes in eating speed on obesity in patients with diabetes: a secondary analysis of longitudinal health check-up data(BMJ Open 2018年2月)
九州大学大学院医学研究院衛生・公衆衛生学分野
久山町研究(九州大学大学院医学研究院)
Influence of the Accumulation of Unhealthy Eating Habits on Obesity in a General Japanese Population: The Hisayama Study(Nutrients 2020年10月16日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

play_circle_filled 記事の二次利用について

このページの
TOPへ ▲