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2017年08月04日

犬の散歩は運動になるか? 運動不足の解消に役立つ可能性

 犬を飼い定期的に運動させることは、飼い主の身体活動レベルの低下を防ぐ、効果的な方法となることが、英国の研究で明らかになった。犬を飼っている人は悪天候のときにも散歩をさせており、運動不足を防げる傾向がみられるという。
犬の散歩をする習慣のある人は運動量が多い
 英国のイーストアングリア大学食事・運動・リサーチセンターやケンブリッジ大学の研究チームは、49~91歳の男女3,123人を対象に、犬を飼っているかどうか、そして犬の散歩をするかどうかについて調査した。さらに、これらの参加者に活動量計を7日間装着してもらい、身体活動レベルを測定した。

 多くの人は日照時間の短い冬の時期や、天候不順があると、外出が妨げられることが知られる。そのため研究チームは、参加者の活動量データを、天候と照らし合わせ、さらに日の出と日没の時間を含めて検討を行った。

 解析した結果、犬の散歩を行う人はそうでない人に比べ、身体活動量が多く、さらに座業中心の時間も短い傾向があることが分かった。犬を飼っている人は平均で1日あたり30分間の散歩をしていたという。

 このことは予想されていた通りだったが、天候が身体活動にどの程度の影響を与えるかという点では、予想外の結果が出た。つまり、天候が悪くても、犬を飼っている人は身体活動量が、そうでない人に比べて多い傾向があることが分かった。

 さらに、日照時間が短く気温が低い冬にも、犬の散歩をする人たちは身体活動量の減少を防げていた。天候が悪い場合には、多くの人は座業中心の時間が増え、身体活動量が低下するが、犬を散歩させる習慣のある人は比較的その影響を受けにくいことが分かった。

 「犬を飼っている人はそうでない人に比べ、天候が悪く気温が低い冬にも、犬の散歩をしていることが分かりました。気温が上昇し晴れの日が多い夏にも、犬を飼っている人では、運動教室などによる介入でみられる以上に、運動量が増える傾向がみられました」と、イーストアングリア大学医学部のアンディ ジョーンズ教授は言う。
犬を散歩させることで身体活動量を増やせる(イーストアングリア大学)
犬を飼うことで運動不足を防げる可能性
 一般に、身体活動量は加齢とともに低下する傾向がある。年齢を重ねても身体活動量を維持するのに役立つ効果的な介入については、十分な研究が行われていない。

 誰もがペットを飼えるわけではないので、全ての人に犬を世話することを奨励するわけではないにしても、身体活動を促進するという側面からみると、犬を飼うことで大きなアドバンテージを得られる可能性がある。運動量を増やすことを支援するプログラムに、犬を飼い散歩させるという新しい方向性を加えることが考えられるという。

 運動プログラムによる保健指導では通常、自己目的なベネフィットに焦点をあてている。つまり、運動をすることで健康になれるという目的があるから、サポートを行うのが一般的だ。

 「しかし、犬の散歩は自己目的というよりはむしろ、パートナーとなる動物の欲求に影響されています。自身の欲求以外のものを媒介として身体活動が促進できることは、強力な動機付けとなる可能性があります。このことには、運動プログラムを作成するときに新たな手法となるかもしれません」と、ジョーンズ教授は指摘している。

Dog walking could be key to ensuring activity in later life(イーストアングリア大学 2017年7月25日)
Dog ownership supports the maintenance of physical activity during poor weather in older English adults: cross-sectional results from the EPIC Norfolk cohort(Journal of Epidemiology and Community Health 2017年7月24日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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