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2016年11月18日

【国民健康・栄養調査】 男性の5人に1人、女性の11人に1人が糖尿病

 厚生労働省は「2015年国民健康・栄養調査」の結果を公表した。世代によって栄養摂取状況が異なり、若い世代ほど食事の偏りがみられることが明らかになった。必要な栄養素を摂取し、栄養バランスの改善するために、世代の特徴に合わせた対策が必要であることが浮き彫りになった。

 厚生労働省は「2015年国民健康・栄養調査」の結果を公表した。「2015年国民健康・栄養調査」は昨年11月に、20歳以上の男女計6,655人を対象に実施された。主な内容は下記の通り――
男性の19.5%、女性の9.2%が糖尿病
 「糖尿病が強く疑われる者」の割合は、男性 19.5%、女性 9.2%で、昨年の調査に比べ増えた。男性では50歳代 18.8%、60歳代 22.9%、70歳以上 27.3%、女性では50歳代 6.5%、60歳代 11.4%、70歳以上 17.2%が該当する。この調査の「糖尿病が強く疑われる者」は、HbA1cが6.5%以上、または糖尿病の治療を受けている人が該当する。

食事で主食・主菜・副菜を揃えていない人が半数
 「食事バランスガイド」では、食事は主食・主菜・副菜を揃えることを推奨しているが、調査では実行できているのは半数であることが明らかになった。主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日に2回以上食べることが「ほとんど毎日」という人は、男性の47.6%、女性の52.7%だった。

 年代別にみると、男女ともに若い世代ほど低い傾向があり、主食・主菜・副菜を「ほとんど毎日」食べている割合は、30歳代では男性37.9%、女性42.8%、40歳代では男性38.7%、女性45.4%だった。

 主食・主菜・副菜のうち、「副菜」はビタミンやミネラル、食物繊維などの供給源になる。この「副菜」を食べていない人が多く、男性の76.7%、女性の74.0%が「副菜」を摂っていない。特に男性では、30歳代で87.5%、40歳代で81.2%、50歳代で75.4%が「副菜」を摂っていないことが明らかになった。

 また、主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を高い頻度と摂っている人ほど、炭水化物、タンパク質、野菜の摂取状況は良好で、食事摂取基準などの目標に到達している割合が高いことが分かった。主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を「ほとんど毎日」摂っている男性では、(1)炭水化物のエネルギー比率が50~65%に調整されている人が64.2%、(2)タンパク質を60g/日以上の摂っている人が80.4%、(3)野菜を1日に350g以上摂っている人が42.4%だった。
栄養成分表示を参考にしている男性の4人に1人
 ふだん食品を購入する時に、栄養成分表示を参考にしている人の割合は、男性26.1%、女性53.0%だった。食品を購入する際の参考として必要だと思う栄養成分表示については、「エネルギー(熱量)」が男性35.0%、女性50.4%と最多だった。

 その他、参考にしている栄養成分表示は「タンパク質」(男性19.6%、女性29.3%)、「脂質」(男性18.2%、女性34.9%)、「食物繊維」(男性20.5%、女性35.4%)などが多い。「炭水化物」(男性11.5%、女性17.4%)の表示を参考にしている人は少なかった。
世代によって栄養摂取に差がある 若い世代ほど栄養バランスが乱れている
 1日あたりの栄養摂取量の平均値をみると、栄養摂取の状況は、20歳代(タンパク質70.4g、脂質64.1g、炭水化物261.4g)に比べ、60歳代(タンパク質73.3g、脂質57.4g、炭水化物264.6g)の方が栄養バランスが良い傾向があり、若い世代では脂質を多く摂取していることが分かった。

 60歳代が食物繊維を16.8g、カルシウムを560gを摂取しているのに対し、20歳代では食物繊維を12.4g、カルシウムを449gしか摂っておらず、若い世代では多くの栄養素の摂取に偏りがあることが分かった。この世代では、外食や中食の利用割合が高いことも明らかになった。

 特に20?30歳代の女性では栄養バランスが乱れている傾向があり、タンパク質(20歳代63.2g、30歳代60.4g)、カルシウム(同434g、同427g)、食物繊維(同11.8g、同12.5g)、カリウム(同1,893mg、同1,949mg)などの摂取量が、60歳以上に比べて少なかった。
睡眠時間が6時間未満の人が増加 睡眠時間が短いほど睡眠の質は低下
 睡眠時間が足りていない人が増えている。1日の平均睡眠時間は「6~7時間」がもっとも多く、男性33.9%、女性34.2%だった。「5~6時間」の割合も、男性29.4%、女性32.5%に上る。1日の平均睡眠時間が6時間未満の人は過去10年で増加している。

 睡眠時間が短い人ほど睡眠の質の低下を実感しており、6時間未満の人では「日中、眠気を感じた」(男性 44.5%、女性 48.7%)、「睡眠全体の質に満足できなかった」(男性 25.4%、女性 26.6%)といった問題を抱えていることが分かった。

 睡眠の確保の妨げとなっていることは、20~50歳代男性では「仕事」がもっとも多く、20歳代31.6%、30歳代39.3%、40歳代40.5%、50歳代32.2%に上った。 20歳代女性では「就寝前に携帯電話、メール、ゲームなどに熱中すること」(33.3%)ともっとも高く、30歳代女性では「育児」(32.7%)、40歳代女性では「家事」(27.9%)が多かった。

 十分な睡眠の確保するためにもっとも必要としていることは、20~50歳代の男性では「就労時間の短縮」、20歳代の女性では「就寝前に携帯電話、メール、ゲームなどに熱中しない」、40歳代の女性では「家事のサポート」、60歳以上の男女では「健康状態の改善」が多かった。
平成27年「国民健康・栄養調査」の結果(厚生労働省 2016年11月14日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所

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