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2016年08月23日
1型糖尿病の「根絶」を目指し研究費助成 日本IDDMネットワーク
認定NPO法人「日本IDDMネットワーク」(代表:井上龍夫)は、1型糖尿病の「根絶」を目指す「1型糖尿病研究基金」で、第10回となる研究費助成課題4件を採択した。
1型糖尿病の「根絶」を目指す
日本IDDMネットワークは1型糖尿病の「根治」を願い、「1型糖尿病研究基金」を2005年に設立した。1型糖尿病根絶に向けた先進的な研究に取り組んでいる研究者や団体に対し研究費の助成を行っている。
日本IDDMネットワークでは、現在の治療法の改善により生活の質の向上を図る「治療」、インスリン補充から解放され病気前のもとの体に戻る「根治」、そして、新しく発症する患者を無くす「予防」に対し研究助成を行っている。これにより、1型糖尿病の「根絶」を目指している。
日本IDDMネットワークは2008年度以降、合計22件、8,000万円の研究助成を行った。第10回を数えるこの度は、研究助成重点対象分野を現在のインスリン補充療法を発展させる「治療」と定め公募を行い、下記の4件、総額500万円の助成を決定した。
これにより研究助成の累計は8,500万円となる。佐賀県庁の協力による「日本IDDMネットワーク指定『ふるさと納税』」を財源とする異種移植の研究助成などを予定しており、2016年末までに総額1億円を超える助成額を見込んでいる。
日本IDDMネットワーク 第10回研究費助成 研究課題
1型糖尿病患者における、カーボカウントに加えて脂質・タンパク質摂取にも対応できる新規追加インスリン投与法の開発<治療> | |
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川村智行(大阪市立大学大学院発達小児医学教室 講師) | |
100万円/年(最長3年間) | |
【研究概要】 研究の目的は、タンパク質と脂質摂取にも対応できる簡単なインスリン投与法を開発すること。1型糖尿病のインスリン療法は、カーボカウントを用いたインスリン調整により食生活の自由度が高まった。一方で、脂質・タンパク質の多い食事ではカーボカウントだけでは対応が不十分なことが経験されている。 今回の研究の方法としては、リアルタイムCGM(持続血糖測定器)+インスリンポンプ療法中の1型糖尿病患者の実生活における臨床研究と、マイクロミニブタを用いた動物実験を同時進行で行い、相互に成果を反映させながら実施する。 |
インスリンによらない1型糖尿病の薬物治療の可能性<治療> | |
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森山賢治(武庫川女子大学薬学部 臨床病態解析学講座 教授) | |
200万円 | |
【研究概要】 再生医療や移植医療により、インスリン産生・分泌細胞を再導入する試みが精力的に進捗中だ。一方、その成果が実際に臨床で応用されるまでには、いくつかの超えなければならない障害があり、克服するためにさらなる研究と時間が必要となっている。 今回の研究では、現行の薬剤を利用して、膵臓の細胞をインスリン産生・分泌細胞として再出現させる可能性のあることが分かった。これにより、完全な解決ではないものの、根治に至るまでの過程の選択肢が視野に入ってきた。毎日4回以上の注射による治療法を、月に一度の服薬で血糖コントロールが維持されるような治療法の開発を目指している。 |
1型糖尿病を発症しない動物モデルの確立と発症抑制機序の解明<予防> | |
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宮寺浩子(筑波大学 医学医療系 助教) | |
100万円 | |
【研究概要】 1型糖尿病はさまざまな遺伝要因、環境要因によって引き起こされるが、もっとも強い遺伝要因は「ヒト白血球抗原(HLA)」と呼ばれる免疫系遺伝子だ。しかし、特定のHLA遺伝子型と1型糖尿病とが関連するメカニズムは十分に解明されていない。 本研究では、1型糖尿病モデルマウスを遺伝的に改変したモデルマウスを樹立し、このモデルでの病態と発症・抑制のメカニズムを明らかにすることで、1型糖尿病の発症と抑制に関わる免疫系の働きと分子機序の解明を目指す。 |
次世代シーケンス法を駆使した1型糖尿病原因遺伝子の同定とβ細胞機能廃絶予知予防への応用<予防> | |
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能宗伸輔(近畿大学医学部 内分泌・代謝・糖尿病内科 講師) | |
100万円 | |
【研究概要】 日本人における1型糖尿病は、欧米に比べて一般人口における有病率は低いが、1つの家系内に複数名の患者を認めることが多く、疫学的特徴が異なる。また同様に発症に関わる遺伝因子も欧米と日本では差があることが指摘されている。 本研究では1型糖尿病を複数発症する日本人家系を集め、近年長足の進歩を遂げた遺伝子解析技術(次世代シーケンス法)を駆使して、日本人に特有、かつ発症に強く関わる遺伝因子を同定し、さらにβ細胞破壊への関わる遺伝因子を検討する。これにより1型糖尿病発症の予知のみならず、発症後のβ細胞保護の手法の確立を目指す。 |
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
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