ニュース
2016年04月07日
世界の肥満人口は6億4100万人に増加 10年後は5人に1人が肥満に
世界の186ヵ国を対象とした、肥満度をはかるためのBMI(体格指数)の最新の調査によると、世界の肥満人口は6億4,100万人(男性 2億6,600万人、女性 3億7,500万人)に増加した。
「肥満は2型糖尿病や高血圧、心臓病などの疾患を引き起こします。有効な対策をしないと、各国の医療体制の崩壊を招く要因となります」と研究者は指摘している。
「肥満は2型糖尿病や高血圧、心臓病などの疾患を引き起こします。有効な対策をしないと、各国の医療体制の崩壊を招く要因となります」と研究者は指摘している。
男性の10人に1人以上、女性の7人に1人以上が肥満
調査は、英国のインペリアル カレッジ ロンドンと世界保健機関(WHO)の研究チームが、世界の700人以上の研究者の協力を得て、1,698件の調査研究を解析。結果は医学誌「ランセット」に発表された。
それによると世界の肥満人口は1975年から40年間に急速に増えており、肥満人口は6億4,100万人(男性 2億6,600万人、女性 3億7,500万人)に達した。肥満の割合は、男性は3倍以上の11%に、女性は2倍以上の15%に上昇した。
「有効な対策を施さないと、2025年までに男性の18%、女性の21%が肥満になると予測しています」と、インペリアル カレッジ ロンドンのマジッド エザティ教授は言う。
BMIは身長(m)と体重(kg)をもとに算出し、WHOの基準によると25を超えると「過体重」、30を超えると「肥満」と判定される。
研究チームによると、世界の人々の平均体重は1975年から10年間で1.5kg増えた。BMI(体格指数)の平均値は、男性では1975年に21.7だったのが、2014年には24.2に増加した。女性では1975年に22.1だったのが、2014年には24.4に増加した。
肥満が目立って増えている国は、米国、英国、カナダ、アイルランド、オーストラリア、ニュージーランドなどだ。高所得の国の中でも米国は男女ともBMIがきわだって高いことが判明した。
チェコ共和国、ベルギー、フランス、スイス、シンガポール、日本などの国では肥満の増加は比較的抑えられており、40年間にわたり肥満は目立って増えていないことが判明した。
日本でも男性の29%、女性21%がBMI25以上の「肥満」
日本の比較的収入の高い層の男女が、世界でもっともBMI(体格指数)が低いという。ただし、日本肥満学会の判定ではBMIが25以上が「肥満」とされ、男性の28.7%、女性の21.3%が該当しており、いずれも1975年に比べ肥満の割合が増えている。
肥満や過体重はかつては先進国に限った問題だったが、最近の20年間で低所得の途上国にも拡大している。インドや東アフリカ、バングラデシュなどの低栄養が問題になっている一部の国でも、地域によっても肥満が増えているという。
肥満の増加は、2型糖尿病、高血圧、心臓病、がんなどの発症を増やす要因となる。肥満の中でも、歩行や呼吸などの日常での基本動作に障害があらわれる病的な肥満の割合は5,500万人に上り、男性の1%、女性の2%に相当する。
過体重や肥満の増加にともない、高血圧の治療に使う降圧薬や、糖尿病の治療に使う血糖降下薬の需要も増えている。肥満は医療費の伸びを上回って増加しており、各国の政府の財政を圧迫している。
「高カロリーで高塩分の食事を減らし、野菜や果物などのより健康的な食品の流通を増やす対策や、運動習慣のある人を増やす保健指導が必要とされています」と、エザティ教授は指摘している。
World's obese population hits 640 million, according to largest ever study(インペリアル カレッジ ロンドン 2016年3月31日)Trends in adult body-mass index in 200 countries from 1975 to 2014: a pooled analysis of 1698 population-based measurement studies with 19?2 million participants(ランセット 2016年4月2日)
[ Terahata ]
日本医療・健康情報研究所
糖尿病と肥満の関連記事
- 「和食」が認知症リスクを低下 日本型の食事は脳の健康にも良い 糖尿病の人は認知症リスクが高い
- 糖尿病の人のメンタルヘルスを改善 手軽にできる3つのストレス解消法 心と体をケア
- どんな食事スタイルの人が糖尿病リスクが高い? 食事を改善する簡単な方法「食べることに意識を集中」
- 暑い夏の水分補給 甘い飲み物を水に置き換えると糖尿病リスクは低下 食事改善にも役立つ「上手な水の飲み方」
- ブルーベリーが腸内環境を健康にして糖尿病や肥満を改善 メントールから抗肥満・抗炎症の化合物
- 緑茶を飲んでいる人は糖尿病リスクが低下 心臓病や脳卒中が減少 緑茶は歯周病の予防にも良い?
- 今年も猛暑に 「良い睡眠」で対策 睡眠不足は糖尿病を悪化 暑い夏の夜でもぐっすり眠る3つの方法
- 日本人がどれだけ運動・身体活動をしているかを調査 若年・中年・女性は運動不足が多い
- なぜ男性は女性よりも糖尿病リスクが高い? メカニズムを解明 男性はインスリンの働きを高める対策が必要
- 「豆類」が糖尿病リスクを減少 血糖管理が改善し合併症リスクが低下 豆は食事の質を高め栄養も豊富