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2015年08月25日
骨粗鬆症を予防 ダンベルを使った筋力トレーニングで骨を丈夫に
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骨密度は加齢とともに低下していく。その低下をできるだけ緩やかにするために運動が必要だ。年齢を重ねてから転倒と骨折が起こるのを避け、寝たきりを防ぐために、若い頃から対策する必要がある。
「年齢を重ねるにつれ骨は弱くなっていきますが、週に60~120分の筋力トレーニングを行うと、筋力を改善できるのに加え、骨形成を刺激し骨が丈夫になります」と、ミズーリ大学の栄養・運動生理学部のパム ヒントン氏は言う。
研究者によると、米国では約200万人の男性が骨粗鬆症を発症しており、約1,600万人の男性が骨密度の減少した予備群だという。
骨粗鬆症に対策するための運動では、背筋と下半身を中心に鍛えて骨密度と筋力を高めることと、転倒予防のためにバランス感覚を鍛えることが大切だ。
また、骨を丈夫にするためには、骨に十分な刺激を与えることが必要になる。特に骨に縦方向の刺激を加えることが有効で、ウォーキングが効果的だが、筋力トレーニングを組み合わせるとさらに効果が高まるという。
ダンベルを使った筋力トレーニングは、自宅でもできるのが魅力的だ。気温の高い夏に屋外でウォーキングできない場合に、涼しい屋内で筋力トレーニングを行えば、健康増進の効果を得られる。
今回の研究では、「スクワット」「デッドリフト」「ランジ」といった運動が骨を丈夫にするために効果的であることが判明した。
使用するダンベルは必ずしも重量の大きいものである必要はない。1~2kgの軽いダンベルを使用しても、繰り返し行えば効果を期待できるという。ダンベルの代わりに水の入ったペットボトルを使用しても効果がある。
筋力トレーニングには、高血圧、2型糖尿病、心臓病の予防・改善の効果もあることが過去の研究で確かめられている。
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スクワット (1)肩幅程度に足を開いて直立し、両手を前へ突き出す。 (2)バランスを保ちながら、上体をまっすぐに伸ばし、ゆっくり膝を曲げて腰を落とす。 (3)腰を落とした状態をキープしたのち、膝と背筋を伸ばし、腰を上げる。 |
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デッドリフト (1)直立したままダンベルを肩幅より少し広い位置で握る。 (2)正面を見て背筋を伸ばした状態で、お尻を後ろに突き出すようなイメージで上体を下げていく。 (3)両膝を伸ばし、ゆっくりと上体を起こし、元の姿勢に戻る。 |
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ランジ (1)ダンベルを両手に持って、膝がつま先より出ないようにしながら、片脚を踏み出す。 (2)片足を前に踏み出した状態で、大臀筋が伸びるのを感じながら、腰を下げていく。 (3)踏み込んだ足で床をけって腰を上げ、元の姿勢に戻る。 |
※運動はご自身の体調に合わせて無理なく行ってください。 |
参加者に週に60~120分のトレーニングに取り組んでもらい、カルシウムとビタミンDのサプリメントを摂取してもらった。1ヵ月ごとにエックス線検査を行い、全身の骨密度を測定した。
その結果、トレーニングを開始してから6ヵ月の時点で、全身と脊椎、股関節の骨密度は増加し、この傾向は試験が終了する12ヵ月後まで維持されていた。
「1日に10~20分の筋力トレーニングを毎日続ければ効果を得られることが判明しました。これは、毎日忙しいという人でも十分に実行可能な量です。筋力トレーニングは自宅ででき、仕事の合間に職場でも行うこともできます」と、ヒントン氏は指摘している。
筋力トレーニングは、慣れてきたら徐々に運動負荷を強くしていくと効果的だ。運動をはじめて間もない頃は筋肉痛や疲労感が出てくるが、毎週続ければそれらは軽減されていくという。
「骨を強くするためには休養も必要なので、必要に合わせて運動しない週を設け、無理をしない程度に運動することも大事です」と、ヒントン氏は付け加えている。
Exercise May Reverse Age-Related Bone Loss in Middle-Aged Men(ミズーリ大学 2015年7月14日)
Effectiveness of resistance training or jumping-exercise to increase bone mineral density in men with low bone mass: A 12-month randomized, clinical trial(Bone 2015年6月16日)
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