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2009年12月15日
野菜と果物の抗酸化作用 たばことお酒が血中濃度を低下
- キーワード
- 糖尿病の食事指導 [間食] 食事療法

この研究は、浜松市北区三ケ日町で実施した栄養疫学調査「三ヶ日町研究」の成果。カロテノイド摂取と喫煙や飲酒などの生活習慣との関連を調べた研究は少なく、どのような相乗的な影響があるかはよく分かっていない。そこで同研究所の健康機能性研究チーム(
カロテノイドは果物や野菜などに多く含まれる天然の色素で、主要なものとしてリコペン、α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチン、ルテイン、ゼアキサンチンの6種が知られる。このうちα-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチンは体内に吸収されてビタミンAとなる。これらは二重結合を有し抗酸化作用が大きく、がんや動脈硬化症などの予防効果が期待されてい
その結果、1日当たりの平均摂取量がもっとも多かったのはルテイン(1.92mg)で、次いでβ-カロテン(約1.70mg)、ゼアキサンチン(約0.07mg)、β-クリプトキサンチン(約0.31mg)と続いた。一方、血中濃度がもっとも高かったのはβ-クリプトキサンチン(約1.46μmol/L)で、カロテノイドの中でも特に吸収性が良く体内に蓄積しやすいと推察された。また、食事調査から推定したカロテノイド摂取量と血中濃度との相関を調べたところ、カロテノイドの摂取量と血中濃度に有意な相関があることが分かった。
さらに、喫煙者と非喫煙者に分けた上で、アルコール摂取量から非飲酒群(1日当たり1g未満)、軽度飲酒群(1g以上25g未満)、アルコール常用群(毎日25g以上)に分け、計6群のカロテノイド血中濃度を調査した
その結果、非喫煙者では、軽度の飲酒量ではカロテノイドの血中濃度はほとんど変わらなかったが、毎日25g以上のアルコールを摂取しているアルコール常用者では、リコペン、α-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチンの血中濃度が有意に低いことが分かった。また、喫煙者でも飲酒量が比較的少量でもα-カロテン、β-カロテン、β-クリプトキサンチンの血中濃度は有意に低く、飲酒量が多いとさらに著しく低くなった。
カロテノイドの種類によって、飲酒や喫煙と血中カロテノイド値との関係が異なることも分かった。飲酒も喫煙もしない人に比べて、喫煙習慣のあるアルコール常用者では、β-クリプトキサンチンの血中濃度は約53%、β-カロテンは52%、α-カロテンでは約43%低くなった。一方、ルテインとゼアキサンチンの血中濃度は飲酒や喫煙による影響が小さかった。
野菜などに含まれるカロテノイドが強力な抗酸化作用を有する一方で、喫煙と飲酒は活性酸素種の発生源となる。研究チームは「飲酒量を控えて禁煙することが健康維持のためにもっとも重要だが、果物・野菜の推奨摂取量を考える上でも、飲酒と喫煙の影響が大きいことが確かめられた」と述べ、「喫煙習慣のあるアルコール常用者では、カロテノイドを豊富に含む多く果物・野菜をより多く摂取することが重要」と示唆している。
カロテノイドはサプリメントなどからも摂取できるが、健康食品からとった場合は、逆に心血管疾患などの発症が増えるという研究も発表されている。カロテノイドは野菜や果物からとるのが良さそう
この研究成果は英国の栄養学誌「British Journal of Nutrition」の2009年10月号に掲載された。カロテノイドの喫煙・飲酒による酸化ストレスに対する作用機構について、今後も実験的検討を行う

喫煙・飲酒習慣別にみた各カロテノイドの血中濃度(幾何平均値)
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 果樹研究所(果樹研)
Synergistic interaction of cigarette smoking and alcohol drinking with serum carotenoid concentrations: findings from a middle-aged Japanese population
British Journal of Nutrition, Volume 102, Issue 08, October 2009, 1211-1219.
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