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2014年06月09日
世界の肥満人口は21億人 減量に成功した国はひとつもない
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- メタボリックシンドローム 糖尿病と肥満

「世界肥満実態(GBD)調査」は、ワシントン大学健康指標評価研究所(IHME)が188ヵ国の最新のデータをまとめたもので、結果は医学誌「ランセット」に発表された。
その結果、2013年の世界の成人の過体重・肥満の割合は、男性は37%、女性は38%であることが判明した。1980年にはそれぞれ29%と30%だった。
「過去33年間に、肥満人口を減らすのに成功した国はひとつもないことが判明しました。肥満は世界的に増え続けています」と、ワシントン大学のクリストファー マーレー教授(公衆衛生学)は言う。
米国や日本などの先進国では男性の過体重・肥満率が上昇しているが、発展途上国では女性の率も上昇しているという。
世界保健機関(WHO)は、国際的な基準として、BMI(体格指数)25以上を「過体重」、30以上を「肥満」と定めている。
日本人ではBMIが25を超えると2型糖尿病や循環器疾患のリスクが高くなり、内臓脂肪が増えていく傾向がみられるので、日本肥満学会は日本人の肥満を「BMI 25以上」と決めている。
厚生労働省の調査によると、日本でも肥満は特に40歳以上で、この20年間で増え続けている。20〜60歳代の男性の31.2%、女性の22.2%が肥満だ。
(1)米国(8,690万人)
(2)中国(6,200万人)
(3)インド(4,040万人)
(4)ロシア(2,920万人)
(5)ブラジル(2,620万人)
(6)メキシコ(2,490万人)
(7)エジプト(2,180万人)
(8)ドイツ(1,710万人)
(9)パキスタン(1,670万人)
(10)インドネシア(1,510万人)
肥満や過体重は世界的に1980年代から増えはじめたが、先進国では1992〜2002年に爆発的に増え、2006年頃から増加率が落ち着きはじめたという。逆に途上国では、今後も増え続ける可能性がある。
特に肥満が増えているのは子供や若者で、50%近く増えているという。2013年の過体重・肥満の子供や若者の割合は、先進国では男性24%以上、女性22%以上に上る。
BMIが23を超えると、心血管疾患、がん、2型糖尿病、変形性関節症、慢性腎臓病を発症しやすくなり、健康上の危険性が高まる。2010年に肥満・過体重が原因で死亡した人の数は世界で340万人と推定されており、そのうちのほとんどが心血管系の原因であった。
世界保健機関(WHO)は2025年までに全世界の肥満の増加を止める目標を掲げている。「肥満や過体重は寿命を縮める原因になります。肥満を解消するために、世界規模で対策する必要があります」と、マーレー教授は強調している。
Nearly one-third of the world's population is obese or overweight, new data show(ワシントン大学健康指標評価研究所 2014年5月28日)
Global, regional, and national prevalence of overweight and obesity in children and adults during 1980―2013: a systematic analysis for the Global Burden of Disease Study 2013(ランセット 2014年5月29日)
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