24. 動脈硬化と糖尿病 メタボリック シンドローム(内臓脂肪症候群)

2017年9月 改訂

動脈硬化を防ぐには

 ここまでみてきたように、糖尿病はほかの動脈硬化危険因子の存在を、大きなものにしてしまいます。動脈硬化は一度発症すると、血管を元通りの状態に戻すのは難しく、進行を遅らせることが治療の主目的になります。
 しかし、糖尿病、高血圧、脂質異常症それぞれは、適切な治療により、十分コントロールが可能な病気です。動脈硬化を防ぐには、危険因子をひとつでも減らし、悪循環の輪を小さくすることが大切です。

危険因子をひとつでも少なくしましょう

 まず、血糖をよくコントロールしましょう。ナイスコントロールを保てば、危険因子のひとつはなくなったのと同じです。同時に、血圧、中性脂肪、コレステロールをコントロールしていきます。もちろん内臓脂肪型肥満の人は、ウエストをマーカーにして、それを解消することが基本となります。幸いにも、内臓脂肪は皮下脂肪に比べて、蓄積はされやすいものの、エネルギー消費(運動)により解消されやすいという性質があります。

食事療法の進め方

 食事療法は、基本的には「糖尿病食事療法のための食品交換表」にそって進めていきます。指示エネルギー量を守ったうえで、次のような点に注意しましょう。

高血圧の場合

 塩分の摂りすぎに注意します。食品交換表の、塩分が多い食品を示すマークに気をつけましょう。また、しょう油やみそなどの調味料は控え目にし、酢やレモンなどの酸味を利用するなどの工夫をします。漬けもの類は塩分が多いので、なるべく避けるようにしましょう。
 一般に日本人は塩分を1日平均11gと、摂りすぎの傾向にあります。塩分を1日10g未満に抑え、それでも血圧が下がらなければ、1日6g未満に、さらに減らすことも必要です。うす味の料理に慣れて、食材本来のおいしさを楽しんでください。

脂質異常症の場合

 食品交換表の表3と表5の摂り方に注意します。表3では、脂肪分が多いことを示すマークに気をつけます。同じ肉でも脂肪の少ないものを選ぶようにしましょう。牛肉、豚肉、ハム、ソーセージなどの飽和脂肪が多い食品、コレステロールの多い卵などは控え目にしましょう。
 調理油は植物性のものを使います。また、食物繊維は血糖値やコレステロールの上昇を抑えてくれますので、なめべく多く摂るように工夫してください。コレステロールは、1日200mg未満に抑えるようにします。鶏卵の黄味(20g)にはコレステロールが280mg含まれています。

からだを動かしましょう

 運動は糖尿病の治療に欠かせません。同時に血圧を下げ、血行をよくし、ストレス解消に効果があり、そしてなにより肥満を防止して、動脈硬化の危険因子の多くを改善する、とても重要な意味があります。体重そのものの減少がそれほど大きくないとしても、運動によって内臓脂肪が減ることが確認されています。積極的にからだを動かす習慣を身につけましょう。
 ただし、すでに動脈硬化が起きている人が激しい運動をすると、発作を起こしかねませんし、肥満の人では関節に負担をかけてしまいます。医師の指示を受け、適切な運動療法を進めてください。
 なお、食事・運動療法を続けても、十分な効果が現れないときは、薬により治療します。

たばことアルコール

 喫煙は血管を収縮させて高血圧を起こしたり、血管の壁を傷つけて動脈硬化を招く、重大な危険因子です。三大合併症にも悪影響を及ぼしますので、ぜひ禁煙してください。
 飲酒は適量なら高血圧や動脈硬化に良いともいわれています。しかし、糖尿病や脂質異常症には悪いので、糖尿病の人が動脈硬化防止のためにお酒を飲むのは間違いです。

定期的な検査を忘れずに

 動脈硬化を取り巻く病気は、ほとんど自覚症状に現れずに進行しますから、定期的な検査は欠かせません。検査には、血圧や血中脂肪の測定はもちろん、心臓の予能力を調べる負荷心電図、血管の状態を直接確認する眼底検査、超音波による動脈硬化の程度の確認など、いろいろな方法があります。
 糖尿病の人は、これらの検査の意味をよく理解して、血糖値とともに、より良いコントロールの維持をめざしましょう。

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