ネットワークアンケート

医療スタッフのための『糖尿病情報 BOX&Net.』No.63 掲載

インスリン治療と注射手技

医療スタッフ向けアンケート

糖尿病患者さんにとって長い付き合いとなるインスリン治療。 薬剤の種類が増えるなど、治療は進歩し続けていると考えられますが、インスリン注射が患者さんの負担であることには変わりないでしょう。今回はインスリン注射への満足度と注射手技の理解度について少し検討してみます。

患者さん・ご家族に聞きました

インスリン治療について、満足していますか?

患者さんにインスリン治療に対する満足度を聞いたところ、「とても満足している」「満足している」人が約半数、満足していない人が約2割、どちらとも言えないという人が約3割でした。

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インスリン治療について、どんなことに不満を感じていますか?

さらにインスリン治療のどんなことに不満を感じているのか聞いたところ、下のグラフのように6割以上の患者さんが「医療費が高い」と回答しました。次いで「注射の手技がわずらわしい」「低血糖など副作用がひどい・怖い」という声が多くあがりました。

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その他
「注射が怖い」5%/「効果を感じられない」5%/「医療スタッフからの説明が不足」4%

<自由記述>
毎食前の「セレモニー」が面倒。/打つ部位を探すのが結構面倒/外出先で注射の度にトイレに行くことが苦痛 /針など廃棄物が多く出ることが気になる 注射部位を変えるとインスリンが効いてくる時間が変化しコントロールが難しい /夏場は温度管理に気を遣わなくてはならない/外食の時、お腹を出したくない

インスリン治療において医療費の負担をどう感じますか?

特に、インスリン注射への不満として、もっとも多かった「医療費」については、患者さんの9割が「大変負担である」「負担である」と感じていました。

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インスリンにも後発品があることをご存知ですか?

そこで、患者さんの医療費負担の軽減策の一つとなりうるインスリンバイオシミラーについて聞いてみたところ、「知っている」と答えた患者さんは25%にとどまりました。

※インスリンバイオシミラー:効果と副作用のリスクが同等で、安価な製剤のこと。

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インスリンの後発品を使用してみたいと思いますか?

しかし、インスリンバイオシミラーの説明をすると、65%の人が使用してみたいと答えました。ご自身の治療に後発品の使用が適しているのか、費用がどれくらい軽減するのか、かかりつけの先生に相談してみるのもいいかもしれません。

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インスリン注射の手技について十分に理解できていますか?

次に、患者さんの4割が不満の理由として挙げたインスリン注射手技について聞きました。注射手技には、薬剤の管理から注射針の取りつけ、注射部位の検討などなど、複数のステップとそれぞれに注意点があり、慣れるまで時間を要するものかと思います。

今回の調査では、患者さんの半数以上が「十分に理解し実施できている」と回答。「理解できている」という人を含めると、9割が理解していると答えています。

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「空うち」の実施頻度について教えてください

また、注射手技の大切なステップの一つ「空うち」を例に、実践度を検討したところ、7割以上の人が「毎回欠かさず実施している」と答えましたが、「ときどき」「初回使用時のみ」という人もちらほらと。

「空打ち」は、 空気を抜くためにも、またインスリンが適切に注入できるかどうかを確認するためにも大事なステップです。インスリン注射に慣れている患者さんも、今一度、ご自身のステップを確認してみてはいかがでしょうか。

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<調査概要>
実施時期:2019 年 10 月
調査方法:インターネット調査
対象  :「糖尿病ネットワーク」「糖尿病リソースガイド」メールマガジン会員
<回答者の属性>
患者さんやその家族 368 名
病態:1 型糖尿病 205 名、2 型糖尿病 153 名、その他の糖尿病 10 名

※ヘモグロビンA1c(HbA1c)等の表記は記事の公開時期の値を表示しています。

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